2019年08月10日 11:11 弁護士ドットコム
作家の川上未映子さんが8月5日、自身のインスタグラムで、ネット上で危害予告を受けて数カ月にわたり講演などに登壇できなくなった経験を告白した。川上さんは「卑劣な方法で他人をコントロールすることができるのだと暗に認めてしまったようで、忸怩たる思いをしました」と打ち明けている。
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こうした悪質な脅迫行為にどう対応すべきなのだろうか。
殺害予告された回数が約100万回以上にのぼるという唐澤貴洋弁護士は「足しげく警察に通い、逐次、被害について報告することが何よりも重要」と話す。
唐澤弁護士は2012年3月、掲示板「2ちゃんねる」(当時)で誹謗中傷されていた少年の代理人として削除請求をしたことをきっかけに、インターネット上で誹謗中傷され続けている。12年8月には「五反田で殺す」といった殺害予告が投稿され、次第にエスカレートしていった。
殺害予告について唐澤弁護士は「個人で対応するのは限界がある」として、まずは警察への相談をすすめる。
「インターネット上で殺害予告を受けた場合は、ウェブサイトのURLが表示された記事そのものを印刷して持っていきます。警察も被害申告の中で内容の具体性があるものについては、より対応しやすい」
唐澤弁護士も、警察に事務所付近の巡回を多くしてもらい、110番した際にすぐに状況を把握してもらえるよう警察に情報を登録してもらった。
それでも殺害予告は後を絶たず、2014年5月には逮捕者も出た。逮捕された派遣社員の男性(20)は「みんなが書き込んでいるので警察に捕まるとは思わなかった」と供述していると報道された。唐澤弁護士とは何のつながりもない男性だった。
こうした卑劣な殺害予告について、唐澤弁護士は「相手の行動を止めたいというのが一番の目的でしょう。個人の自由を止めることが、極めて安易に行われている」と指摘する。
8月7日には、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」の展示について、FAXで脅迫文を送った愛知県の会社員男性が逮捕された。こうした脅迫やテロ予告が複数寄せられたため、企画展は中止となった。
唐澤弁護士は、次のように指摘する。
「具体的な危険性が判断できない場合には、警備した上で、開催を維持すべきであった。実力行使による表現の自由の妨害には屈してはならない。
書き込みした側は、面白がってしたインターネットの書き込みで一生を棒に振る。自分のした行為とそこに発生する責任の重みをちゃんと考えて、行動してほしい」