チェコGPの翌日、ブルノでMotoGPクラスのオフィシャルテストが行なわれた。レースウイークは不安定な天候に悩まされたが、月曜日は午後に雨がぱらつく場面があったものの、ドライコンディションで、各ライダー、シーズン後半戦、さらには来季に向けた新しいハードウェアのテストやレースウイーク中はできないセットアップの確認などのテストメニューに取り組んだ。
トップタイムを記録したのはルーキーのファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)。マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が2番手、フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が3番手に続き、上位をヤマハ勢が独占した。
バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は6番手に止まったが、2020年シーズンに向けたプロトタイプマシンを初ライド。ビニャーレスも数ラップ、プロトタイプマシンを走らせた。
「プロトタイプを試したが大きな変化はなかった。エンジンは異なり、シャシーのセッティングも若干異なるが、これはまだプロトタイプ。ファーストライドの感触はよく、いくつかいい点があるが、ミサノで改めてテストが必要な部分がある」とロッシ。
「プロトタイプで数ラップを周回したが、オーストリアに向けて2019年型の改善に集中したかった。2020年型プロトで走った周回はフィーリングはよく、ラップタイムもよかったから、次のテストが楽しみだ」とビニャーレス。
ヤマハYZR-M1の課題は加速とトップスピード、トラクションの改善にある。第10戦チェコGPのウイーク中のベストトップスピードで見ると、ドゥカティのドビジオーゾがトップとなる314.8km/hを記録しているのに対し、ビニャーレスが307.6km/h、ロッシが306.8km/hというデータだった。チェコGPでビニャーレスが、ペースがよかったにも関わらず、ドゥカティサテライトのフランチェスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)を交わすのに時間がかかったのも、加速やトップスピードの問題が大きい。
また、YZR-M1は今回のチェコGPのように気温や路面温度など、外的要因の変化に敏感な傾向にあり、これは共通ECUソフト、ミシュランタイヤとなった2016年から抱えている問題だ。
それらを解消すべく、マシンの開発が重ねられて来たが、決定打が見い出せていないのが現状だ。今シーズンはここまでビニャーレスが1勝、2位1回、3位1回でランキング5位、ロッシが2位2回でランキング6位に止まっている。ライバルに先駆けて、次年度プロトマシンをオフィシャルテストに持ち込んだヤマハの巻き返しはなるのか。次回のテストはイギリスGPの後にミサノで行なわれる予定だ。