2014年チャンピオンのルーベンス・バリチェロを筆頭に、リカルド・ゾンタやネルソン・ピケJr.ら同国出身の元F1ドライバーが多数参戦する人気ツーリングカー選手権、SCBストックカー・ブラジルで、今季もチャンピオン争いを展開するトップチーム、ユーロファーマRCがルーカス・ディ・グラッシの起用を発表。高額賞金の掛かるシーズン最大のお祭り“ミリオン・レース”で4台目のマシンを託すことを決めた。
2019シーズンは8月25日にインテルラゴスでの開催が決まっている年1開催のミリオン・レースに向け、ユーロファーマRCはチームの歴史上で前例のない試みを決断した。過去16シーズンで最大となる4台体制に拡大することを決め、そのゲストカーにABBフォーミュラE王者で国際レース経験が豊富なディ・グラッシをスポット起用することをアナウンスしたのだ。
「まずはブラジル最大のシリーズで、カレンダー中もっとも重要なイベントにカムバックすることができてうれしい。ユーロファーマRCはとても強力でプロフェッショナルなトップチームであり、その一員に加われることも光栄だよ」と、チームリリースのなかで喜びを語ったディ・グラッシ。
これに対し、チームの商業部門を担当する女性ジェネラルマネージャーのジャナイナ・プロコーピオも「グリッドに4台のマシンを並べるのは初の試みであり、これによりチームのブランド認知とスポンサー各位の露出、そしてチーム全体のクオリティ向上に繋がるはず。その最後の1台に、ブラジルを代表するトップドライバーを招聘できたことを誇りに思います」と歓迎の意を述べている。
ブラジル国内でも「過去10年で世界的にもっとも成功したブラジル人ドライバー」と称されるディ・グラッシは、マカオGPでの優勝を皮切りに、GP2では3年連続ランキング3位以内を記録し、並行して複数のF1チームでテストドライバーを歴任。2010年にはヴァージン・レーシングでF1フルタイムデビューを果たすと、その後はル・マン24時間で3度の表彰台獲得を経て、2016/17シーズンにはアプト・シェフラー・アウディスポーツでフォーミュラEのドライバーズチャンピオンに輝いている。
2018年はこの母国シリーズであるSCBにヒーロー・モータースポーツからフル参戦も果たしており、初年度ながら年間3勝を記録するなど、このシザーズウイングを持つワンメイク仕様『シボレー・クルーズ』のドライビングをすでに体得している。
そのディ・グラッシはユーロファーマRCに加入し、2年連続シリーズ王者を獲得しているダニエル・セラや、すでに今季2勝のリカルド・マウリシオ、そしてマックス・ウイルソンのラインアップに加わることになる。
「そう、僕のチームメイトは非常に強力だ。素晴らしく速く、すでにいくつものSCBタイトルを手にしてきたメンバーばかりだ(マウリシオは2008年、ウィルソンは2010年に王座獲得)」
「その意味でも、僕らはとても競争力のあるチームを形成できると思う。素晴らしい結果を手にするための要素がすべて揃っているからね」
「また、家族、友人、ブラジルの多くのファンの前でまたレースを戦えるのもうれしい。彼らはつねに活力がみなぎっていて、その声援がいつも僕の励みになっているんだ」
そのユーロファーマRCのエースであり、今季もシリーズ3連覇に向け視界良好。6月にはAFコルセのフェラーリ488 GTE Evoでル・マン24時間のLM-GTE Proクラスを制したセラも、ディ・グラッシの加入を歓迎するコメントを残した。
「彼の存在は非常に大きい。海外での実績だけでなく、昨季は初のフル参戦でいきなり3勝を挙げているからね。ルーカスはクレバーなドライバーだし、マシンの進化に大きく貢献してくれるはずだ。ユーロファーマのために僕らの戦いに加わってくれて最高にうれしいよ」
2018年シーズンはバリチェロが勝利し、100万レアル(約2950万円)の高額賞金を獲得したミリオン・レースは、今季はゴイアニアからインテルラゴスに戻ることになり、今後もグローバルに活躍するゲストドライバーの参戦が多数アナウンスされる予定だ。