8月4日、アメリカ・ウィスコンシン州のロード・アメリカでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第9戦の決勝レースが行われ、最高峰カテゴリーのDPiクラスに参戦しているマツダチーム・ヨーストの55号車マツダRT24-P(ジョナサン・ボマリート/ハリー・ティンクネル組)が、2019年シーズン2勝目となる総合優勝を飾った。また、僚友77号車マツダRT24-P(オリバー・ジャービス/トリスタン・ヌネス組)も3位に入り、チームはワン・スリー・フィニッシュを果たしている。
55号車が待望のチーム初優勝を持ち帰った第6戦ワトキンスグレン。その翌週、モスポートパークで、今度は77号車が初優勝を飾りマツダチーム・ヨーストは2戦連続優勝、それも両レースともワン・ツー・フィニッシュで終えてロード・アメリカでの第9戦を迎えた。
そんな今戦の前にはBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)と呼ばれる性能調整が課され、2台の『マツダRT24-P』は最低重量が前戦からプラス20kgとなる930kgに設定されたほか、ターボブースト圧の抑制によって約17馬力分に相当するエンジンのパワーダウンを余儀なくされた。
しかし、連勝の波に乗るマツダは3日の予選で2台がセカンドロウを確保すると、翌日午後にスタートした決勝でも3、4番手からライバルを攻略するタイミングを窺っていく。
そのチャンスが訪れたのは1回目のピットインを終えた後の第2スティントだ。ボマリートから55号車のステアリングを受け継いだティンクネルは、直前のピットタイミングで77号車の前に出て3番手に浮上。さらに、首位を走っていたライバルがアクシデントに見舞われ、優勝争いから脱落したことで2番手となった。
そのティンクネルは37周目、2番手から首位にポジションを上げたファン・パブロ・モントーヤ駆るアキュラ・チーム・ペンスキーの6号車アキュラARX-05にストレートで並びかけブレーキング勝負に持ち込むと、これをターン1のアウト側から大胆にオーバーテイクしてみせた。
最終ラップには6号車アキュラと3番手を走る77号車の猛追を受けることになった55号車だが、最後は0.227秒差で逃げ切りに成功。ロード・アメリカにおけるIMSAレースの歴代最多周回数を7周更新する83周を走破し、今季2度目となる総合優勝を勝ち取った。また、3位表彰台を獲得した77号車は、ジャービスがファステストラップを記録した。1分51秒133というタイムはDPiクラスのレースラップレコードを更新している。
■「3連勝を祝うことができるとは想像もしていなかった」とジョン・ドゥーナン代表
「最初にチェッカーフラッグを受けたとき、それをなかなか信じることができなかった。クールダウンラップでは思わず涙が出てきたよ」と語るのは、優勝を決定づけるオーバーテイクを決めたティンクネル。
「僕たちはこの週末、ずっとトップのライバルと近い位置にいた。そのなかで3位は今日できる最善の結果だと思っていたんだ」
「しかし、ジョナサン(・ボマリート)からクルマを引き継いだ後、前を入るアキュラ・チーム・ペンスキー勢のすぐの後ろに留まることができたらチャンスがあるのではないかと思い始めたんだ」
「(モントーヤをパスして)リードを奪ってからは、ベストを尽くしてトラフィックを管理しなければならなかった。とくに最後の3ラップでは、真後ろに迫ってきたライバルの猛攻をしのぎながら周回遅れを処理しなければならず、本当に大変だったよ」
長いトンネルを抜けた直後の3連勝という結果に、マツダUSAモータースポーツ担当のジョン・ドゥーナン代表は「チームの3連勝を祝うことができるとは想像もしていなかった」と胸の内を明かしている。
「これは、マツダチーム・ヨースト、マルチマティックおよびAERの全員が『マツダRT24-P』をどれだけ改善したかを示している」
「私たちのマシンは3位と4位にはなれるだろうと予想していた。そして、イエローコーションが出れば、作戦を駆使してより良いポジションを狙えるかもしれないと踏んでいたんだ」
「しかし、4人のドライバー全員が、イエローコーションのないレースで素晴らしい展開を見せてくれた! 私自身のホームコースであるロード・アメリカでの勝利は、私と私の家族にとって幸福感でいっぱいに包まれるものになったよ」
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第10戦バージニアはGTオンリーラウンドとなるため、DPiクラスを戦うマツダチーム・ヨーストはサマーブレイクに突入する。チームが再び始動する次回イベントは9月13~15日、カリフォルニア州のラグナ・セカで行われる2019シーズン第11戦ラグナ・セカだ。