2019年シーズンの前半12戦を終えたばかりのフェラーリのセバスチャン・ベッテルは自らの出来について、「どんなに甘い採点でも、せいぜい50点」と厳しい自己評価を下した。
前半戦を終えて、ベッテルはドライバーズ選手権で4位となっている。バルテリ・ボッタス(メルセデス)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)にも後れを取り、首位ルイス・ハミルトン(メルセデス)には94ポイントもの大差を付けられている状況だ。所属するフェラーリもコンストラクターズ選手権2位で、メルセデスとの差は150点ポイント。もはや容易に挽回できないビハインドとなっている。
ベッテルがシーズン前半戦を終えて1勝もできないのは、ダニエル・リカルド(現ルノー)がチームメイトに加わった2014年のレッドブル時代以来のことである(注:この年はリカルドが3勝を挙げたのに対し、ベッテルは結局1勝もできず。シーズン終盤に、フェラーリ電撃移籍を決断した)。
冬のバルセロナテストでフェラーリの2019年型マシン『SF90』は高い戦闘力を発揮したものの、開幕戦オーストラリアGPでメルセデスに惨敗を喫してしまう。それでも新たにチームに加入したシャルル・ルクレールは、第2戦バーレーンGP、第9オーストリア戦とポールポジションを獲得し、ベッテルをしのぐ速さを見せた。
ベッテルもカナダで今季初のポールポジションを獲り、レースでも首位を快走していた。しかし終盤ハミルトンに追いつめられ、コースオフ。何とか順位逆転を防いだが、その際に5秒ペナルティを科され、勝てたはずのレースを失った。
「もちろんここまでの成績には、満足してない」と、ベッテルは語った。
「100点満点でいえば、どう見積もっても50点だ。もっといい結果が出せると思っていたし、そのはずだった。でもまだ全然あきらめていないし、シーズン後半には十分巻き返せると信じているよ」
ベッテルは今季ここまで、表彰台に6回上がっている。その一方でマシントラブルにも見舞われたが、本人のミスも少なくない。バーレーンGPではハミルトンとのバトル中にスピン。第6戦モナコGPの予選直前のフリー走行では、大クラッシュを喫した。カナダのコースオフは背後に迫るハミルトンのプレッシャーから来たものだったし、第8戦フランスGPでは予選を失敗し、第10戦イギリスGPはフェルスタッペンに追突してしまう。確かにこれでは、50点以上の採点は付けられまい。