トップへ

TCR EU第5戦:勝者失格の波乱で3位ダン・ロイドが初優勝。コロネルは連続表彰台

2019年08月07日 20:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

金曜プラクティスから速さを見せていたダン・ロイドが意外な形でシリーズ初勝利を手にした
8月2~3日にドイツのオッシャースレーベンで開催されたTCRヨーロッパ・シリーズ折り返しとなる第5戦は、レース1で自身初ポール・トゥ・ウインを飾ったターゲット・コンペティションのアンドレアス・バックマン(ヒュンダイi30 N TCR)と同2位のマシンがレース後車検で失格となる波乱に。結果、3位だった初代TCR UK王者ダン・ロイド(FK8ホンダ・シビック・タイプR)が初勝利を手にしている。

 TCRシリーズ年初に開催されるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)テストの公式ドライバーも務めるダン・ロイドは、今季から散発的プログラムながらBrutal Fish Racing TeamのFK8ホンダ・シビック・タイプRで欧州最高峰のTCR選手権にエントリー。このオッシャースレーベン戦では金曜プラクティスからトップタイムを記録する好調さを披露していた。

 そのロイドに続き、プラクティスでホンダのワン・ツーを実現させたのは隣国オランダ出身、同郷チームBoutsen-Gionion Racingからの参戦となるトム・コロネル(FK8ホンダ・シビック・タイプR)で、今季WTCR世界ツーリングカー・カップとのラウンド・バッティングがないイベントのみ、世界選手権でドライブするセアト・クプラTCRではなく、おなじみのホンダ車でシリーズを戦っている。

 しかし、土曜午前の予選で最速を記録したのは、このラウンドを前にさらなるウエイト搭載を課されたヒュンダイで、ロイドと同じくTCR UKを戦ったバックマン兄弟の兄・アンドレアスが、ヨーロッパ・シリーズ初となるポールポジションを獲得した。

 続く午後のレース1でもこの若きスウェーデン人は落ち着いたレース運びを見せ、フロントロウに並んだロイドに先行を許す苦しい展開で始まるも、パニックに陥ることなく全コーナーでシビックにテール・トゥ・ノーズの追走を見せ、リーダーの隙を伺っていく。

 その背後ではM Racingのネルソン・パンチャティッチ(ヒュンダイi30 N TCR)がアンドレアスの妹、ジェシカ・バックマン(ヒュンダイi30 N TCR)にヒットし、彼女は堪えきれずにスピンを喫しコースオフ。さらにルカ・エングストラー(ヒュンダイi30 N TCR)、オーレリアン・コンテ(プジョー308 TCR)ら6台が絡むマルチクラッシュも発生してしまう。

 このアクシデントで先頭集団はさらに独走態勢となり、12周目にはロイドのシビックとアンドレアスのヒュンダイはマシンを連結したかの状態でバトルを展開。その2台を開幕勝者のパンチャティッチが3番手で静観し、漁夫の利を狙う状況となっていく。

 そしてレースが残り2周となった14周目。コントロールラインを0.160秒差で1コーナーに向かった先頭2台は、そのまま並走してコーナーをクリアすると、ターン2、ターン3の攻防でアンドレアスが強引にドアをこじ開け、ついに首位奪還に成功。このバトルでワイドランとなり失速したシビックを、3番手だったパンチャティッチが続けてパスし、そのまま16周のフィニッシュラインへ。

 アンドレアス・バックマンがシリーズ初のポール・トゥ・ウインを飾り、2位パンチャティッチ、3位ロイドの表彰台。そして4位コロネル、5位ジョシュ・ファイルズ(ヒュンダイi30 N TCR)のリザルト……となるかと思われたレースは、なんと再車検の結果、ターゲット・コンペティションのウイニングカーが「フロントエンドの最大幅1950mmを超えていた」として失格処分に。

 さらに2位パンチャティッチにもオープニングの1コーナーでジェシカ・バックマンをスピンさせたインシデントに対し30秒のタイムペナルティが加算され10位にまで降格。これでロイドが意外な形でのヨーロッパ・シリーズ初勝利を手にし、2位にコロネル、3位ファイルズの正式結果となった。

 続く日曜のレース2は前日の失格、降格処分の影響で「ラッキー」なリバースポールを獲得したWolf-Power Racingのアレックス・モーガン(セアト・クプラTCR)が、好機を逃さず16周のレースをしのぎきり、クプラにとっての今季シリーズ初優勝を飾ると同時に、自身にとってもTCRヨーロッパ初勝利を獲得。

 その背後には前日同様2位にコロネル、3位ファイルズの表彰台となり、これでコロネルは2日連続で表彰台に登壇。そして元TCRドイツ2連覇王者のファイルズは、前戦で得たポイントリーダーの座をさらに磐石なものとし、2位のエングストラーに対し78ポイントもの大量リードを築いた。

 これでTCRヨーロッパ・シリーズはサマーブレイクに突入し、残すは2戦。再開は9月21~22日のスペイン・バルセロナでの1戦となる。