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ホンダ山本MD決勝後インタビュー:メルセデスとの一騎打ちに惜敗も、「前半戦の締めくくりとしては最高の結果」/F1ハンガリーGP

2019年08月07日 13:11  AUTOSPORT web

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2019年F1第12戦ハンガリーGP決勝で2位となったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
マックス・フェルスタッペンととレッドブル・ホンダにとって、初ポールを獲得したF1第12戦ハンガリーGPの決勝レース。終盤まで首位を守ったものの、メルセデスが捨て身の作戦で逆転を喫し、ポール・トゥ・ウィンとはならなかった。その事実には「悔しい思いしかない」と、山本雅史マネージングディレクターは言う。

 しかし同時に、「レッドブル・ホンダとマックスの組み合わせは、メルセデスとルイス・ハミルトンに対し、少なくともハンガリーでは互角の戦いができた。そのことには、強い達成感を感じました」と、誇らしく語るのだった。

――初ポールを獲得したものの、ポール・トゥ・ウィンとはなりませんでした。ハンガリーGP、山本さんにとってはどんなレースでしたか。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):まずはマックスにとっては、初ポール。ホンダにとっても、復帰後初ポール。それはとても、よかったですね。予選一発は速さの証明ですから、そこで一番を取れたことは、前半戦の締めくくりとしては最高の結果だったと捉えています。もちろんパワーサーキットではないという、有利さはありましたが。

 そしてレースに関しては、これまでの2勝はいずれもマックスがスタートを失敗していた。それで冗談で、「失敗した方がいいんじゃないの」と、クリスチャン(・ホーナー代表)とも言っていたくらいなんですよ(笑)。

 それが今回は、きっちりトップで1コーナーを抜けて行った。それは事前ミーティングでも、絶対に達成すべきことの第一に挙げていた。そこまでは、うまく行っていたんですね。

 その後は2秒くらいの間隔を開けてレースをしていて、さすがマックスという感じで進んで行った。そして途中からはメルセデスとレッドブルの、戦略の一騎打ちという感じになりましたよね。

 言い換えると、チームの総合力の戦いになった。タイヤをうまく持たせるマックスか、タイヤを換えて猛追するハミルトンか。僕らもハラハラしましたけど、お客さんにとってもすごく面白いレースだったと思います。


■ポール・トゥ・ウィンできず、「最初は悔しい思いしかなかった」
――しかし、今回は勝てませんでした。
山本MD:ええ。ポール・トゥ・ウィンができなかったのは、最初は悔しい思いしかなかったですね。ただ夏休み前最後のレースで初ポールを取って、エンジニアたちが勲章をもらえたのはよかったと思います。

 ここまでの12戦で、マックスがすべて5位以内に入賞しているというのも凄いことですしね。ホンダにとっては思っていた以上に、いい前半戦でした。

――少し前までメルセデスは仰ぎ見る存在だったわけですが、少なくともハンガリーでは互角の戦いができました。その達成感を強く感じたレースでしたか?あるいは最終的に敗れて、やはり彼らの総合力にはまだかなわないという思いの方が強いでしょうか。
山本MD:個人的には、前者ですね。メルセデスとハミルトン、レッドブル・ホンダとマックスという組み合わせでは互角の戦いができると、今日のレースで見えたかなと。もちろん新たな課題も見えてきたし、その意味でも次につながるレースでしたね。2位なのに悔しいというのは、一種の贅沢病かもしれませんが(笑)。


――3強のもう1チーム、フェラーリに関してはどんな感想をもっていますか?
山本MD:ある程度、客観的に全10チームを見た時に、レースをよく見て、臨機応変に状況に対応して、いい形で戦えるのはメルセデスとレッドブルの2チームという印象ですね。

 一方フェラーリは、パワーユニット(PU/エンジン)はピカイチの性能だし、車体も決して悪くない。しかし総合力では、メルセデスに及ばない。2番手にフェラーリとレッドブル。とはいえレッドブルがやや上にいる、という感じでしょうか。パワーユニットに関しては、フェラーリ、メルセデス、ホンダです。

――ルノーは1000馬力出ているそうですよ。
山本MD:マックスも、そう言っていました(笑)。真面目な話、僕らは自分たちの計画をきっちり遂行することに一生懸命なので、ルノーやフェラーリ、メルセデスがどうしているということよりも、パフォーマンスと信頼性のバランスをとることに必死です。ただライバルたちに負けているという認識だけは、みんな持っています。

■レッドブル・ホンダがトップ争いに絡んだことで生まれた名勝負

――今日のレースは、どこまでは安心して見れいられましたか?
山本MD:ハミルトンがいきなり2番手に上がったのは、まずいなと思いましたね。ただミディアムタイヤに替えるまでは、このまま行けるかなという思いはありました。

 でもそのあとすぐに、ハミルトンに火が付いてしまいましたからね。ひとりだけ、違う走りをしていました。あの辺りから、「ああ、もしかしたら残り3、4周で、追いつかれるかも」と思っていたので、実際にそうなるまではあっという間でしたね。

 もうマックスはタイヤが限界だったし、それでもプッシュしてたわけですけどね。メルセデスの作戦勝ちですけど、でも彼らも一杯一杯だったと思いますよ。

――必死の決断だったということでしょうか。
山本MD:と、思いますよ。無線でハミルトンが、「本当にこれでいいのか」と、訊いていましたしね。そんな風にメルセデスとレッドブルの、トップチームバトルが見られた。F1にとっても、本当にいいことだったと思います。そこにホンダが関わってるのも、最高ですしね(笑)。

――最近の名勝負は、みんなホンダが関わっています。
山本MD:それは本当に、うれしいですね。今までやってきたことが、間違っていなかったということも含めて。その意味でも前半戦は、いい形で終われたと思いますね。