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すとぷり 莉犬の心にともった赤い灯 るぅともサプライズ登場した『すたーとらいふっ!』初日レポ

2019年08月07日 12:02  リアルサウンド

リアルサウンド

莉犬

 アンコールの楽曲披露の直前、「もし、また生まれ変わっても俺はすとぷりの莉犬でありたいと思うし、君の支えになれるなら何度だって走り続けたいって思って、今ここに立っています」と涙を浮かべ語る莉犬に共鳴して飛び交っていたのは、多くの「頑張れ!」の声だったーー。


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 さとみ、ジェル、ころん、莉犬、るぅと、ななもり。の6人からなる動画配信エンターテインメントユニット・すとぷりの赤担当である莉犬が、8月2日、Zepp Tokyoにて、ソロでは約1年ぶりとなるワンマンツアー『すたーとらいふっ!』の初日をスタートさせた。


 個性豊かなキャラクターが揃うすとぷりの中でも、莉犬は歌手活動に積極的に取り組んできたメンバーのひとり。歌ってみた動画のアップから始まり、2018年には1stアルバム『「R」ealize』をリリースしてライブを開催。また、特徴ある声色を生かして声優としても活躍中だ。今回が自身2度目のワンマンツアーとなる。


 期待を膨らませながら会場内に足を運ぶと、真っ先に飛び込んできたのは、犬耳のついた黒板や苺のモチーフで飾られたステージ。そして、赤を基調としたグッズを身に着けた女子を中心とする大勢の若年層のリスナーたちの姿だ。会場は約2,700人でぎっしりと埋まっている。


 SEが鳴り響き熱気が高まったステージに、赤いナポレオンジャケットと黒のサルエルパンツ、赤いしっぽを付けた莉犬が登場すると、驚くほどの歓声が起こる。1曲目の「すとろべりぃぬまじっく」から、莉犬がハツラツとした歌声をもって、大きく手を振り続けると、会場は赤いペンライトの光と歌声で応答。その後も莉犬は緊張した様子を見せつつも「バンバン歌っちゃうよ!」と威勢よく振る舞い、背中を向けて赤いしっぽを振る「なでなで」に突入。とにかくエネルギー全開で楽しませようとする莉犬の原動力はどこにあるのか。次第にそんな問いが生まれていく。


 続くMCでは莉犬がゲストの存在を匂わせ、皆ですとぷりメンバー・黄色担当のるぅとを呼ぶことに。莉犬の前回のワンマンライブのグッズTシャツにチョーカー、犬耳カチューシャとしっぽを身に着けたるぅとが登場。プレゼントとして隠し持っていた犬耳カチューシャを莉犬の頭に付けてあげると、二人は仲良くお揃いの格好に。クイズ形式で導いた「ちこくしてもいいじゃん」からリズムに合わせ円を描くように、るぅとが莉犬を追いかけては、その逆も然りの「すとろべりーごーらんどっ」へ。心を通い合わせた歌声と踊り、普段の放送と変わらないじゃれ合いぶりでリスナーを楽しませる二人。2曲を歌い終えると、「みんなありがとう。僕の友達をここまで連れてきてくれて……アディオス」と告げ、るぅとは手を振りながらステージを後にした。安心感とさらなる笑顔をもたらしたるぅとの存在は、莉犬にとって間違いなく、前を向けるひとつの原動力となっているはずだ。


 ここからは雰囲気を変えて、「ロキ」、「ヒバナ」をクールに歌い上げる莉犬。バンドメンバーを紹介していくくだりでは、会場中から待ってました!といわんばかりに「ボーカルは?」との声が飛ぶ。リスナーの愛の大きさを物語るような場面だ。切ない歌声が心に浸透する「タバコ」から繋いだ「おねがいダーリン」では、莉犬もリスナーも1曲目さながらのありあまる元気を見せる。自身のYouTube公式チャンネルでも956万回再生されている「小さな恋のうた」で高鳴るコール&レスポンスを響かせ、本編を締めくくった。


 ジャケットを脱いで首からタオルを下げ、再度ステージに姿を見せた莉犬が心中を吐露。以前、同じ会場でおこなったライブで自分の番になると同時に、赤色のペンライトを下ろされた経験があったという。目を潤ませながら話していると、至るところからすすり泣く声が聞こえてくる。誰もの純粋な気持ちが溢れ返るなか、莉犬の懇願に応えて会場中が赤一色で染まっていく光景は、莉犬の心に灯がともった様子を映し出しているようだった。


 また、これまでの人生を振り返ると、苦しかったこと、嫌なことばかりだったと告白し、「普通の男の子として生まれ変われるよって言われたら、俺は死ぬことを選んでしまうかもしれないって思うくらい、そのくらい嫌なことがたくさんあった毎日で……」ーーそんな衝撃的な言葉をこぼすも、そのような考えを頭に巡らせる時に思い浮かぶのは、すとぷりのメンバーとリスナーである“君”のことだと明かし、「生まれ変わっても、すとぷりの莉犬でありたい」と誓ったことで、ひとり一人の心に光が差していった。そして、一帯が明るくなったところで銀テープが舞った「ファンサ」、るぅとが誕生日にプレゼントしてくれた曲に自ら作詞した「君の方が好きだけど」で、この日のライブを全て終了した。


 莉犬がステージ上でありったけの力を振り絞るその原動力は、すとぷりのメンバーとしてリスナーを楽しませることが生き甲斐となっていることにあるのだろう。何度も何度も「ありがとう」を繰り返しては「俺のこと好きですか?」と尋ね、「大好き!」が返ってくる。リスナーからの溢れるほどの愛情を噛み締めながら、「俺のほうが愛しているよ! またね」と最大限の言葉を残し去った莉犬。会場にはしばらくの間、とてつもなく大きな感動の波が広がっていた。(小町 碧音)