2019年のWorldRX世界ラリークロス選手権は8月3~4日、カナダのトロワ・リビエールで第7戦が行われ、アンドレアス・バッケルド(アウディS1 EKS RXクアトロ)が、2016年シーズン以来の勝利を飾り、ポイントランキングで首位と5ポイント差に迫り、シリーズチャンピオン争いは残り3戦で混戦模様となってきた。
全10戦で争われている2019年の世界ラリークロス。第7戦はシリーズ唯一の北米ラウンドとしてカナダのケベック州にあるサーキット・トロワ・リビエールを舞台に開催された。
セミファイナル進出を決めるクオリファイヒートでは、バッケルドやニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20スーパーカー)、ティミー・ティミジヤノフ(ヒュンダイi20スーパーカー)などが速さを発揮。決勝ファイナルへ進出する6台を決めるセミファイナルでもセミファイナル1をティミジヤノフが、セミファイナル2をバッケルドが制し、ファイナル1列目につけた。
ファイナル2列目にはゲラン・シシェリー(ルノー・メガーヌRS RX)とヤニス・ボウマニス(フォード・フィエスタRXスーパーカー)、3列目にはアントン・マークルンド(ルノー・メガーヌRS RX)とポイントリーダー、ケビン・ハンセン(プジョー208 WRX)が続いた。グロンホルムはセミファイナル1で4番手に終わり、ファイナル進出を逃している。
スタートでは1列目アウト側スタートのティミジヤノフが好発進を決め、先頭に出たかと思われたが、右コーナーのターン1に向けてイン側をキープしていたバッケルドが進入でトップを奪還。2番手にボウマニス、3番手ティミジヤノフと続いていく。
ポジションをひとつ落としたティミジヤノフは、この1周目に全車通過義務のある遠回りセクション“ジョーカーラップ”を走行して義務を消化。暫定5番手でコースに戻った。
これで3番手には最後列スタートだったランキングリーダーのハンセンが浮上する。そのハンセンは先行する2台に先駆け、3周目にジョーカーラップを消化していった。
ジョーカーラップを消化しメインコースへ復帰したハンセンは、4番手マークルンドとほぼ横並びの状態で続く右コーナーへ飛び込んでいったが、このコーナー立ち上がりでマークルンドをウォールに追いやりクラッシュを誘発してしまう。
このクラッシュでマークルンドは走行を続けられなくなりリタイア。またハンセンもマシンにダメージを負ったか、翌周に単独スピンする場面があり、ポジションを落としてしまった。
後方で激しいバトルが繰り広げられているなか、首位のバッケルドは危なげない走りでレースを支配。先にジョーカーを消化した2番手ボウマニスに対し、4.085秒リードを築いた5周目にジョーカーを通過すると、ポジションを守ったままメインコースへ。
そのままファイナルラップも走りきり、2016年シーズン以来となるトップチェッカーを受けた。2位はボウマニス、3位はティミジヤノフだった。
「最後に優勝してから950日くらい時間が経ってしまった」とバッケルド。
「正直、カナダは得意なコースではないから勝てると思っていなかった。マシンに大きなダメージなく戦い終えたことに満足しているし、チームに優勝をもたらせてハッピーだよ」
ランキングトップのハンセンがレース中にマークルンドをクラッシュへ追いやったとして失格処分を受けたこともあり、バッケルドは138ポイントでランキング2位に浮上。ファイナル進出を逃したティミー・ハンセンは129ポイントでランキング3位となっている。
2019年の世界ラリークロス第8戦は8月31~9月1日に、フランス・ロエアックを舞台に行われる。