WRC世界ラリー選手権最上位クラス参戦へ向け、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムのもとで経験を積んでいる勝田貴元が、8月1~4日に行われたWRC第9戦フィンランドのWRC2に参戦。序盤はクラス3番手につけるなど速さを発揮したが、競技3日目にクラッシュ。完走はならなかった。
トミ・マキネン・レーシングのもとで武者修行を積んでいる勝田は、現在フィンランド国内に生活拠点を構えており、フィンランド国内ラリーにも数多く参戦している。2019年で4回目の出場となるラリー・フィンランドは“ホームイベント”とも呼べるような1戦だ。
勝田は、そんなラリー・フィンランドにMスポーツが新たに開発した新型フォード・フィエスタR5で参戦。同車両のWRCデビュー戦でステアリングを握る役目を担った。
競技開幕前のシェイクダウンではR5車両を使うドライバーのなかで7番手、WRC2では5番手につける。競技初日の1日(木)に行われたSS1ではWRC2で7番手と後方に沈んだものの、その後はコンスタントにステージ上位タイムを刻み、競技2日目を終えた時点でWRC2の3番手までポジションを上げてみせた。
しかし競技3日目最初のステージとなるSS12、最初のコーナーでコース外側に設置されていたマーカーフラッグに接触。その際、フラッグの裏側に置かれていたコンクリート製ブロックにもヒットしてしまい、マシン右リヤのアームなどを壊してしまった。
このクラッシュによるダメージは、レギュレーションで規定されている時間内に修復できるものではなかったため、勝田とチームは競技続行を断念。リタイアを選択することとなった。
SS11終了時点で、同じ新型フィエスタR5を操るエリック・カミリよりも上位につけていた勝田は「開発をしながら走るのは非常に難しかったですが、すべてのステージでプッシュし、金曜日のいくつかのステージではトップの選手達に近いタイムを刻むことができました」と走行をふり返る。
「金曜日のパフォーマンスには概ね満足できたので、土曜日に関しても同じアプローチで臨みました。しかし、最初のステージの最初のコーナーで、コースサイドのマーカーフラッグの裏側にあった大きなコンクリートブロックに当たってしまいました」
「ただの旗だと思ってコーナリングラインを変えなかったのですが、非常に大きな衝撃を受けました。小さなミスではありましたが、僕らのラリーはそこで終わってしまいました」
「とても残念ですが、この経験から多くを学び次のチャレンジに活かしたいと思います」
インストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンは「将来のために、すべてのステージを競争力のあるスピードで走り切ることが重要だったが、不運にもこのような結果に終わってしまった。最初のコーナーであろうと、最後のコーナーであろうと、このようなことが起こるので、ラリーは本当に難しいスポーツだ」と述べている。
勝田が挑む次のイベントは、8月22~25日に開催されるWRC第10戦ドイチェランド。勝田はこのラリー・ドイチェランドで、フィエスタR5からトヨタ・ヤリスWRCへマシンをスイッチ。WRC最上位クラスデビューを果たし、オット・タナクやヤリ-マティ・ラトバラ、セバスチャン・オジエといった面々と戦うことになる。
また、勝田がラリー・ドイチェランドに参戦するのも今年が初めて。峠道やぶどう畑の間を縫うような農道、軍事演習場“パンツァープラッテ”内のコンクリート舗装路など、ラリー・ドイチェランド特有のトリッキーなステージとも格闘することになる。