営業時間だけでなく準備や片付け、翌日の仕込みなど、飲食業界は長時間労働になりやすい。さらに人手不足がブラックぶりに拍車をかけてしまう。飲食店で働いた経験を持つキャリコネニュース読者からも激務ぶりが明かされている。
ある30代男性は、「開店前の午前11時から閉店する午前2時まで」の14時間労働が当たり前だった。
「定休日は週1日ありましたが、その日が祝日前後にあたると休みはなくなりました。残業の概念はなく、『36協定って何?』という感じでした。そんな状態ですから、月350時間労働なのに、残業代0円です」
板前をしていた30代女性は、「朝から夜中まで15時間勤務はザラでしたね。スキルを身につけたら違う店か、フリーランスで働かない限り、収入が上がることはありません。離職率が高い業界です」と振り返った。
「私は忙しいから休む。あなたは暇でしょ?代わりに働いて」
大手飲食チェーンで働く50代女性の勤務先では、赤字店舗との理由で休憩なしで勤務を継続させられている。しかし、勤怠管理では休憩をしたこととされていた。それに加えて、
「店にはリーダーがいたのですが、パワハラがひどい。『私は忙しいから休む。あなたは暇でしょ?代わりに働いて』と仕事を押し付けてきました。上司に相談しても『そんなのは自分の仕事ではない』と一蹴されて終わりです」
耐えかねた女性は、第三者委員のパワハラコールセンターに通報したが、その後状況は悪化してしまう。
「会社にその連絡が入り、聞き取りや面談が行われました。リーダーたちはうまく立ち回って、結果として通報した私は店を追い出されてしまいました。健康保険に加入していたのに、時間数が足りないからと返却を求められました」
シングルマザーである女性は、辞めたくも生活のために辞められない。「こんな会社は、この世で一番ブラックだと感じながら、日々過ごしています」と現状を嘆く。
「飲食にありがちな『お客様のために』という考えや、人件費抑制の動きがよくない」
20年間にわたり飲食業界で正社員をしていた40代男性は、「飲食業界そのものが、ブラックになりやすいと思います」と漏らす。
「飲食にありがちな『お客様のために』という考えや、人件費抑制の動きがよくないですね。社員はサービス残業で対応しますし、休みなんて、月に1日あればいい方です。ブラック体質にならないと利益が出ないことが多いんですよ 」
飲食チェーン店で働いていた30代女性は、給与発生のタイミングに疑問を抱いていた。開店前の準備時間から給与が出る店鋪もあれば、そうでない店鋪もあった。基準がバラバラだったのだ。
「他店舗では開店前の準備時間から給与が発生していたのに、私がいた店では準備時間は無給でした」
女性が働いていた店舗には人件費を調整する人間が常駐しており、女性はこの人物の仕業だと見ている。当該人物は「とても陰湿なやり方で人を追い詰める人間」だったという。
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