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SKE48、シングル『FRUSTRATION』首位獲得 多彩な楽曲にチャレンジした意欲作に

2019年08月05日 01:11  リアルサウンド

リアルサウンド

SKE48『FRUSTRATION』(Type-A)(通常盤)

参考:2019年8月5日付週間アルバムランキング(2019年7月22日~2019年7月28日)


 冒頭からしゃがんでいるメンバーたち、そしてダンサー風の男性、さらに「泡パ」を連想させる泡……。そんなLAで撮影された映像で構成されているのが、SKE48の「FRUSTRATION」のMV。7月24日発売にして2019年最初のシングル、そして2011年の「バンザイVenus」から21作連続の1位獲得曲(2019年8月5日付オリコン週間シングルランキング)となりました。


(関連:【写真】SKE48 古畑&大場が語る、結成11年目に掲げる攻めの姿勢


 イントロから男声のラップが入る「FRUSTRATION」は、思いきりダンスミュージックに傾倒した作品です。作曲は、SKE48の「Innocence」や「ピノキオ軍」を手がけてきた横健介、編曲はLAを拠点に活動するICHI、そしてKEN HARADA。Aメロやサビでは男声がサンプリングされ続け、随所にラップも挿入されます。こうしたトライバルな匂いのするサウンドは、欧米のトレンドとも共振するもの。これだけエッジが尖ったサウンドにすることは現在のSKE48にとっては大きな冒険だったでしょうが、それにチャートの結果がついてきたわけです。


 カップリングは、Passion For You選抜による「ゲームしませんか?」。「FRUSTRATION」から続けて聴くと、「48歌謡」と呼びたくなるようなクセのなさに驚かされます。ただ、そうしたサウンドも、実際にはブラスセクションやコーラスの多用など、独自のマナーや美意識に強く支配されているものです。


 Type-Aに収録されているカミングフレーバーによる「せ~ので言おうぜ!」も、そうした48歌謡のマナーを踏襲しています。こちらはアップテンポにしてエレキギターが前面に出ており、楽曲ごとにサウンドの要素も調整されているわけです。


 一気にエレクトロなサウンドになっているのがType-Bに収録されている紅組による「人生の無駄遣い」。ダブステップの要素も顔を出します。


 Type-Cに収録されている白組による「あの日のSecret Base」では、〈殴り合ったら分かり合える/そんな単純な生き方だった〉という歌詞に思わずギョっとしてしまいました。プログラミングによるサウンドで歌われる、ストレートな青春懐古ソングです。


 ピアノソロで幕を開けるのが、Type-Dに収録されている野島樺乃の「夢の在処へ」。凛としたボーカルにして、彼女の歌い回しはどこかヨーロッパのトラッドを連想させます。


 劇場盤に収録されている研究生による「滑り台から」は、歌謡性が強め。ここで歌われているテーマが「私らしさ」であることで、聴く者に初々しさを強く印象づけます。


 エッジなダンスチューンから歌謡性の強い楽曲まで。SKE48の『FRUSTRATION』は、楽曲の振れ幅の大きさを恐れなかったことが功を奏したシングルと言っていいでしょう。(宗像明将)