8月4日現地時間15時10分、F1第12戦ハンガリーGP決勝がスタートしメルセデスのルイス・ハミルトンが逆転勝利を飾った。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは2位表彰台を獲得。チームメイトのピエール・ガスリーは6位に入賞している。
日曜日は朝から好天に恵まれたがそれほど暑くはならず、気温は24度、路面温度は35度というコンディション。
アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)は、予選中の妨害行為に対し3グリッド降格ペナルティが科され17番グリッドからのスタート、Q1敗退のダニエル・リカルド(ルノー)はパワーユニット(PU/エンジン)を丸ごと新品に換装し最後尾グリッドスタートとなっている。
上位6台はQ2を通過したミディアムタイヤでスタートし、それ以下はQ2で使用したソフトタイヤ。タイヤを自由選択できる11番手以下はハードタイヤを履いたリカルド以外の全車がミディアムを選んだ。
ポールポジションスタートのフェルスタッペンが好加速でインを取りホールショットを奪った。2番グリッドのバルテリ・ボッタス(メルセデス)は、ターン1でハミルトンとの間に挟まれて中央でタイヤをロックさせてしまい、続くターン2でもロックアップ。ここにアウトへ並びかけたハミルトンが前に出て、ターン3で僅かにワイドになったボッタスのインにシャルル・ルクレール(フェラーリ)までが飛び込んでタイヤ同士を僅かに接触させながら前に出る。
その後ターン4手前で再びルクレールと接触したボッタスはフロントウイング右側にダメージを負ってペースが上がらず、2周目のターン1ではセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にも抜かれて5番手まで後退してしまう。チームはノーズ交換の準備をするがボッタスはなかなか入らず、5周目にようやくピットインしてノーズを交換し、最後尾に落ちるもののハードに履き替えて最後まで走り切る戦略に切り替えた。
6番グリッドスタートのガスリーは、スタート直後のターン1でマクラーレン勢に抜かれ、さらにキミ・ライコネン(アルファロメオ)にまで抜かれて9番手まで後退。ここから抜け出すことができず。その後ろには10番手ロマン・グロージャン(ハース)、11番手ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、12番手セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、13番手アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)、そしてジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)が14番手まで浮上してきた。
ソフトを履いた5番手カルロス・サインツJr.(マクラーレン)を先頭とした中団グループは上位4台から大きく引き離されていく。
ここからレースは膠着状態に入っていき、各車がタイヤマネージメントに徹する。首位フェルスタッペンの2秒後方にハミルトンがつけ、フェラーリ勢はこれついていくことができずじわじわと引き離されていく。
15周目に下位にいるジョビナッツィらがピットインを始め、ハードに交換。上位では19周目にグロージャンがピットイン、21周目にダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)もピットに向かう。そして20周を迎える頃には首位フェルスタッペンがタイヤグリップの低下を訴え始めるが後方のフェラーリとのギャップを見てそのまま引っ張り続ける。
フェルスタッペンは25周目にピットに飛び込んでハードに交換するが、フェラーリ勢の前で戻ることができたものの、ジョビナッツィやストロールなど後続集団の周回遅れの直後に入ってしまう。それでもハミルトンとのギャップには余裕があり、ハミルトンはステイアウトしてプッシュを続けるが「これ以上速く走れない!」と訴える。
27周目にルクレールがピットインし中団グループの前に戻り、28周目にはランド・ノリス(マクラーレン)とガスリー、アルボンがピットインし、タイヤ交換に手間取ったノリスはガスリーに逆転されてしまう。29周目にはサインツ、ライコネンもピットインし、まだピットインしていないヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセン(ハース)を挟んで実質的に5番手以下はサインツ、ガスリー、ライコネン、ノリスの順になる。
ハミルトンは31周目まで引っ張ってピットインするが左右フロントタイヤの交換に時間が掛かり4秒を要してしまい、コースに戻るとフェルスタッペンとの差は5秒に開いてしまった。しかしピットアウト直後にフェルスタッペンよりも2秒速いファステストラップを連発して一気にギャップを縮めてテールトゥノーズの状態に持ち込んでいく。6周の差を生かし、タイヤがフレッシュな間にアタックを仕掛ける戦略だ。
36周目のターン2でやや挙動を乱しワイドになって一旦はギャップが縮まったものの、ハミルトンは再びフェルスタッペンの背後に迫る。
38周目のターン4手前でハミルトンにスリップストリームに入られたフェルスタッペンはインを守り、ハミルトンがターン4でアウト側に並びかけるが、ランオフエリアへとコースオフしてフェルスタッペンが首位を守る。
チームメイトよりも長く引っ張る戦略をとったベッテルは、39周目にピットインするが作業に5秒を要してしまう。しかしソフトに履き替えてここからレース終盤に勝負する『プランC』で挽回をはかっていく。一方のボッタスは46周目にピットインしミディアムに履き替えて12番手まで後退するが、フレッシュなタイヤでポジションアップを狙う。
しばらくギャップを広げてタイヤやブレーキをクールダウンしたハミルトンは、45周目あたりから再びギャップを縮めていき、フェルスタッペンは「フルパワーを使わせてくれ」と訴える。
メルセデスAMGは48周目にハミルトンもピットインさせミディアムに交換。後方とのギャップは充分にありポジションを失わないため、ここでタイヤのグリップ差を生かしてピットストップ分をコース上で挽回し、さらにコース上でフェルスタッペンを抜こうという戦略だ。ギャップを縮めた上で先手を打ったことでレッドブルは同じ戦略で追随することができなかった。
ハミルトンは「これが正しい戦略だったのか?」と言いながらも1周1秒速いペースで追い上げていく。51周目にはフェルスタッペンも自己ベストペースで走るがハミルトンはそれより0.6秒速いファステストラップを刻む。しかし53周目あたりからはラップタイムにほとんど差がなくなり、ギャップは15秒から縮まっていかない。
57周目からハミルトンがファステストラップを刻み始めフェルスタッペンとのギャップを縮めていく。60周目を過ぎると両者のペース差は1.5秒近くに広がり、ギャップは見る間に縮まっていく。ハミルトンはタイヤの磨耗がギリギリになるのを覚悟の上でプッシュを続けていく。一方フェルスタッペンは「タイヤが終わった」と訴える。
65周目にハミルトンは0.8秒差まで迫る。レッドブルはフェルスタッペンにディフェンス用にオーバーテイクボタンの使用を許可するが、67周目のメインストレートでインを守るもののDRSを使うハミルトンにあっさりとパスされて首位を奪われた。
フェルスタッペンはたまらずピットインしてソフトに履き替え、1分17秒103を記録してファステストラップを奪うのが精一杯だった。ハミルトンは結局独走でハンガリーGPを制し今季8勝目を挙げシーズン前半戦を締めくくった。
後方では68周目のターン1でフレッシュなソフトを生かしてルクレールをパスしたベッテルが3位に入り表彰台を獲得。4位ルクレール、中団グループトップの5位にはしっかりと最後までタイヤを保たせてガスリーを1.5秒差で抑えきったサインツ。ライコネンが7位、ボッタスが0.735秒届かず8位、9位ノリス、10位アルボンという結果になった。