MotoGP第10戦チェコGP MotoGPクラスの決勝がブルノ・サーキットで行われ、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がポール・トゥ・ウインを飾った。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は9位でチェッカーを受けている。
Moto2クラスの決勝レースまではドライコンディションで行われていたが、MotoGPクラスのスタート前にはところどころに雨が落ちて一部の路面ではフルウエットに。しかしドライコンディションのままの箇所もあり、ドライとウエット両方の路面状況となった。サイティングラップでコースに出たもののピットに戻るなど、各ライダーはタイヤ選択に悩むことに。レースはウエット宣言がなされている。
サイティングラップを終え各ライダーがグリッド上についたが、こうしたコースコンディションを鑑み、レーススタート前10分を切るころにレースディレイが宣言。全ライダーとマシンはいったんピットに戻った。その後、予定されていたレーススタート時刻から遅れること40分後、現地時間14時40分のレーススタートが発表された。
周回数は1周減算の20周となり、まだウエットパッチが残る路面状況のなかでスタート。タイヤについてはすべてのライダーがスリックタイヤを選択した。
ホールショットを奪ったのはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)。2番グリッドのヨハン・ザルコ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)はスタートで失敗して大きく後退し、2番手に4番手スタートのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)、3番手にジャック・ミラー(プラマック・レーシング)が続く。
2周目を終えてトップのマルケスから4番手のリンスまでがトップ集団を形成。3周目、リンスは3コーナーでミラーのインに入り、オーバーテイク。3番手に浮上したリンスはこの周回でファステストラップをマークすると、トップのマルケス、2番手のドヴィツィオーゾを追う。
その後方では、ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)とバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、さらにここにカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)も加わった5番手争いが展開される。
一時はマルケスが抜け出すかと思われたトップ争いは、ドヴィツィオーゾとリンスがマルケスの先行を許さず追随。やや遅れて4番手にミラーが続く。4台はその差を保ちつつ、周回を重ねていった。
レース折り返しの10周目を迎えてもマルケス、ドヴィツィオーゾ、リンスの差はほぼ変わらない状況。しかし中盤以降、ドヴィツィオーゾは序盤からトップのマルケスと0.5秒以内の差につけるも、なかなかその差が縮まらない。マルケスとドヴィツィオーゾ、そしてリンス、ミラーも等間隔で差を広げていった。
残り5周時点で、トップのマルケスと2番手のドヴィツィオーゾとの差は2秒以上。マルケスが独走態勢を築くことに成功する。
13番手からスタートした中上は、序盤から10番手付近を走行していたが、残り4周となったところでポル・エスパルガロを交わして9番手に浮上。粘り強くポジションを上げていく。
残り2周、それまで3番手を守っていたリンスを、4番手で追っていたミラーがオーバーテイク。リンスに序盤の勢いはなく、ミラーにパスされてしまう。リンスが履くタイヤはフロントにミディアムタイヤ、リヤにソフト。対するミラーはリヤは同じソフトながら、フロントはハードであった。
一方、トップのマルケスは独走態勢を守ったまま先頭でチェッカーを受けた。ドイツGPに続くポール・トゥ・ウインを飾り、後半戦最初のレースとしても好スタートを切った形だ。また、マルケスはこの優勝で最高峰クラスで50勝目を挙げた史上4人目のライダーとなった。Moto2クラスでは弟のアレックス・マルケスが2戦連続のポール・トゥ・ウインを飾っており、兄弟そろって連続ポール・トゥ・ウインを果たしている。
2位にはドヴィツィオーゾが入り、実に第6戦イタリアGP以来の表彰台獲得。3位のミラーも久々の表彰台獲得で、第3戦アメリカズGPぶりにポディウムに立った。
終盤まで3番手を走行しながらもミラーに交わされたリンスは4位フィニッシュ。5位争いはクラッチローが制した。6位にはロッシが続き、これがヤマハ勢最上位。中上はポル・エスパルガロやマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)などとの9位争いを制した。
そのビニャーレスは9番グリッドからスタートで大きく後退。ほぼ最後尾集団にまでポジションを落とすと、オープニングラップを15番手で終え、そこから追い上げる苦しい展開で、最後は中上に次ぐ10位フィニッシュとなった。
決勝日も天候に翻弄されたチェコGP。しかし一方で、変わらないマルケスの強さを、ポール・トゥ・ウインが証明する形となった。