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海外有名ゲーム配信者「Ninja」、TwitchからMixerに“莫大な金額”で電撃移籍&独占契約

2019年08月04日 08:11  リアルサウンド

リアルサウンド

Ninja、Twitterでの発表ツイートより。

 米国シカゴ郊外に住むプロゲーマーでストリーマーの「Ninja」こと、リチャード・タイラー・ブレヴィンス氏は8月1日、Mixerでの活動を開始することを発表した(参考:www.mixer.com/Ninja)。


(参考:トップゲーム実況者の時給は550万円!? 拡大するゲーム実況市場はStadiaによって変革するか


・MicrosoftのMixerと独占契約、条件は不明
 NinjaはTwitchでの『Fortnite』配信などで絶大の人気を誇っていたが、競合するMicrosoftのMixerと独占契約を結んだ。Ninjaの契約条件は明らかにされていないが、ライブストリーミングサイトのTwitchは、最大のスターを失うことになる。


 Ninja本人曰くTwitch、YouTube、Instagram、Twitterといったオンラインで、4000万人にものファンが彼をフォローしているという。今回の契約をまとめたNinjaのマネージメント会社、LoadedのCEOブランドン・フレイタグ氏は「NinjaとMixerのコラボレーションは、ストリーマーやゲーマーにとって大きなパワーになるものです。 Ninjaのファンのために開かれるすべての機会をとても楽しみにしています」と声明を発表した。


 このことについて、『Forbes』は「NinjaがTwitchからMicrosoftのMixerに独占契約でジャンプ」「NinjaはMixerを代表するアイコンになるだろう」と報じた(参考:https://www.forbes.com/sites/dbloom/2019/08/01/twitchs-biggest-star-ninja-joins-microsofts-mixer-in-exclusive-programming-deal/#5c554d6f6550 参考2:https://www.forbes.com/sites/paultassi/2019/08/01/fortnite-star-ninja-leaves-twitch-for-mixer-with-new-microsoft-deal/#5e1462a4183a)


・Ninjaとの契約は『Mixer』追い上げの切り札となるか?
 Mixerは、Microsoftが2016年に買収したBeamが前身だ。ライブストリーミング・プラットフォームStreamElementsによると、TwitchはWeb上のすべてのゲーム関連のライブストリーミング・トラフィック(視聴時間)の約4分の3(72%)を占めており、MixerはYouTube LiveやFacebook Gamingに次いで4位で、トラフィックの約3%にとどまっている。Twitchはインターネット上で最大のビデオゲーム・ストリーミングプラットフォームで他を圧倒している。


 Forbesは「これはNinjaに痛手にはならないと思うが、それが実際にMicrosoftが望んでいるMixerへの後押しになるかどうか疑問に思う。ゲームストリーミングの主要企業であるTwitch(Amazon)、YouTube(Google)、Facebook(Facebook)、Mixer(Microsoft)のうち、Mixerは、ストリーマーと視聴者数の面で間違いなく後れをとっている。Mixerは長い間、Xbox Oneダッシュボードのフィーチャーであり、PCやXboxのストリームを直接コンソールに提供しているが、まだブレークの瞬間を見ていない。おそらく、Microsoftは、これ(Ninjaとの契約)でブレークすることを願っているのだろう」と分析する。


 『CNBC』は「これは、AmazonのTwitchサービスに遅れをとっているMicrosoftのMixerにとっての勝利だ」と報じた(参考:https://www.cnbc.com/2019/08/01/tyler-ninja-blevins-moves-from-twitch-to-microsoft-mixer.html)。


 なお、MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラ氏は以前の決算発表で「Xbox Liveの月間アクティブユーザー数は5700万人に達し、Mixerの利用が急増しています。この忠実で価値の高いコミュニティは、当社の最強のアセットであり、ファーストパーティーとサードパーティーのゲームの収益化を拡大しています。Fortniteはその好例であり、記録的なソフトウェアとサービスの収益とエンゲージメントが弊社プラットフォームで進行しているのを目の当たりにしています」と述べている。


・ゲームストリーミングの“企業間”戦国時代が幕開け
 今回の件について、『TechCrunch』は「Mixerがストリーミングのスター(Ninja)が移籍するに当たり、莫大な金額を提供した可能性がある。それはメガストリーミングスターの引き抜きのために金銭を支払う潮流の始まりを示唆しているかもしれない。プレイヤーとプラットフォームのどちらが、この方程式で支配力が上位なのかという疑問もある。幸いなことに、ビデオゲームのストリーミング業界始まって以来の最大のタレントの移籍により、じきに分かるだろう」とした(参考:https://techcrunch.com/2019/08/01/ninja-is-leaving-twitch-for-microsofts-mixer/)


 今後、ますます拡大することが予想されるゲームストリーミング市場。今回のNinjaの動きにより、大手テクノロジー企業による熾烈なプレイヤーの奪い合いが、本格的に始まったといえる。次の大きなニュースは、どの企業・配信者からもたらされるのだろうか。


(Nagata Tombo)