MotoGP第10戦チェコGPの予選がブルノ・サーキットで行われ、MotoGPクラスはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がポールポジションを獲得。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は13番手だった。
フリー走行3回目はフルウエット状態で行われ、全車がレインタイヤで走行。ただ、セッション中には次第に陽が差し、青空がのぞき始める。コース上はレコードラインから徐々にウエットからドライへと色が変わり出したが、まだ水しぶきが上がる個所もあり、スリックタイヤで走るまでには至らない。
セッションは序盤に2分4秒279をマークしたマルケスがトップ。マルケスは9周したのちにピットに戻り、ピットに待機したままセッションを終えた。2番手にはマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、3番手にはシルバン・ギュントーリ(チーム・スズキ・エクスター)が続き、4番手はダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)、5番手はバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)。初日総合トップのクアルタラロは6番手、中上は19番手だった。
フリー走行3回目はウエットコンディションとなったため、各ライダーとも前日に行われたフリー走行2回目までのタイムを更新できず、フリー走行2回目までの結果で予選Q1、Q2の振り分けが決まった。
路面状況はMotoGPクラスのフリー走行3回目のあとに行われた、Moto2クラスのフリー走行3回目のころにはところどころにウエットパッチが残るものの、ほぼドライに回復。その1時間後のMoto3クラスの予選を迎えるころには再び雨が落ち始めてウエットコンディションとなるも、MotoGPクラスのフリー走行4回目終盤には青空がのぞくなど、不安定な天候となった。
フリー走行4回目は序盤からトップにつけたマルケスがそのままのポジションでセッションを終え、2番手にはビニャーレス。3番手がドヴィツィオーゾ、4番手がペトルッチ、5番手がミラーとドゥカティ勢が続いた。クアルタラロは9番手、中上は18番手だった。
■マルケス、セカンドアタックにスリックタイヤを選択
予選Q1は気温20度、路面温度26度のウエットコンディションで始まった。Q1に挑むのは、中上、ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)、ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)などの面々だ。
まずトップタイムをマークしたのはヨハン・ザルコ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)。中上は2番手に続いていたが、ポル・エスパルガロがザルコのタイムを0.332上回るタイムでトップに浮上する。
さらにこの週末、ワイルドカード参戦ながらコンスタントに上位に顔を出していたギュントーリ、フランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)なども続々とタイムを更新する。
中上は4周を終えてピットに戻ると、セカンドアタックを開始。中上は残り1分を切って2分5秒265を叩き出し、トップに浮上した。しかしすぐさまそのタイムをポル・エスパルガロが更新。さらにチェッカーが振られた後の最後のアタックで、ザルコがポル・エスパルガロのタイムを0.020秒上回り、トップに躍り出た。
これにより、レッドブル・KTM・ファクトリーレーシングのふたりがワン・ツーで予選Q2進出。中上はわずかに及ばず3番手となり、明日の予選を13番グリッドから迎える。
予選Q2も引き続きウエットコンディション。最初のアタックは全ライダーがレインタイヤを履いて行った。
序盤にトップに立ったのはザルコ。その後は大きなタイムの更新はないまま時間が過ぎていく。そんななか、2回目のアタックのためのピットインを迎えようかというタイミングで、リンスがマルケスのインに入ってマルケスをパス。その際にリンスとマルケスが接触し、マルケスがマシンの挙動を乱した。その後、マルケスとリンスは同じタイミングでピットに入ると、ピットレーンでも並走。その距離が近かったためか、マルケスが左手でリンスの体を押すシーンも。一瞬緊張の走るシーンだったが、二人はそのままピットに戻っている。
そのマルケスはセカンドアタックに向け、スリックタイヤを選択した。フロントにはミディアムタイヤ、リヤにはソフト。スリックタイヤ勢とレインタイヤ勢は、ほぼ半々だ。コースコンディションは、レコードラインが次第にドライの色に変わり始める難しい状況であった。
セカンドアタックに入ったマルケスは、まず2分4秒165秒のトップタイムを叩き出す。そして奇しくもこのタイミングで、雨粒が落ちてきたことを知らせる、レッドクロスフラッグが振られた。しかしマルケスはチェッカーが振られたあとのラストアタックでも、スリックタイヤのままタイムを更新。2分2秒753というタイムをマークしてポールポジションを獲得した。難しいコンディションのなか、2番手のミラーに対して2秒以上の差をつける、圧巻のタイムだった。
これにより、マルケスは最高峰クラスでのポールポジション獲得記録を通算58回目に伸ばした。この記録は最高峰クラスで最多ポールポジション獲得記録を持つミック・ドゥーハンに並ぶもので、マルケスは最高峰クラスの最多ポールポジション獲得記録でトップタイに立った。
2番手のミラーも最後はスリックタイヤでアタック。最後に14コーナーでクラッシュを喫したものの、セカンドグリッドを手にした。そして3番手には、Q1を突破してきたザルコ。最後までレインタイヤでアタックを敢行し、フロントロウに並んだ。ザルコにとってレッドブル・KTM・ファクトリーレーシングに移籍した2019年シーズン初のQ1突破、そして2019年シーズン初の1列目獲得となった。
2列目は4番手がドヴィツィオーゾ、5番手がポル・エスパルガロ、6番手がリンス。ビニャーレスは9番手、クアルタラロは10番手だった。
予選日は終日雨に翻弄されたセッションとなったが、最終的にはマルケスが集中力と貫禄を見せ、ポールポジションを獲得した。