8月3日(土)に行われた2019年のスーパーGT第5戦富士の公式予選。戦いを終えてGT300クラスのポールポジションを獲得した埼玉トヨペットGB マークX MCの脇阪薫一と吉田広樹が予選をふり返るとともに、真夏の長距離耐久戦500マイル決勝に向けての展望を語った。Q2アタックを担当した吉田にとっては、これが自身初のGT300ポールポジションだ。
埼玉トヨペットGB マークX MC
脇阪薫一
「(ポールポジション獲得は)単純にひとつの要素じゃなくて、チーム、ブリヂストンさん、それぞれが頑張ってくれた結果。複雑な要素を改良してきた結果が1番苦手な富士でポールという形で表れたので、単純に良かったなと思っています」
「明日はレースが長いですし、ある程度(争いに)飲みこまれると思うので、今日は今日、明日はまた明日ということで。(決勝に向けて戦略を)また考えたいですし、(スタートタイヤ抽選で“B”を引いたロニー・クインタレッリを見て)僕たちにとって非常に嫌なことをロニーがやったな、と」
(スタートでBのタイヤを履くのが嫌な理由は?)
「単純に吉田が履いたタイヤはゲンが悪いから(笑)」(吉田からは「僕、一応ポール獲りました」と反論)
「正直なところ、この富士のあとの(第6戦)オートポリス、(第7戦)SUGOが僕たちにとって(勝つ)チャンスがあるのかなと思っていますし、開幕戦以外、ドライバーによるもの、メカニカルなものを含めてトラブルなく終えたことがないので、この長い800kmのレースでまずはしっかりしたレースをしたい」
「完走というか、レベルの低い目標を設定するのではなく、しっかり走りきっていいデータを持ち帰って、(8月10~11日に予定されている)SUGOのテスト、それからオートポリス、SUGOのレースに向けて臨みたいなと思います」
吉田広樹
「フリー(公式練習)でもバランスはそれなりに良かったんですけど、セッションの最後で少しトラブルがありました。そのトラブルがQ1で(脇阪)薫一さんがアタックしている、まさにその瞬間に出てしまいました。それでも薫一さんがうまくQ2につないでくれました」
「その上で薫一さんも言われたとおりチームがこの苦手な富士に向けて、マシンが少しでもコースに合うようにと、いろいろな部分を細かく詰めてくれた結果であり、その上で僕たちがうまく走れたことがポールにつながったかなと感じています」
「Q1で起きたトラブルは、メーターが全部消えてしまうというもの。無線も使えず、シフト(タイミング)のランプも点かないので、薫一さんがエンジンの音などを頼りにシフトチェンジしていました」
「僕たちも『セクターベストが出ている』といった情報を伝えたかったんですけど、無線の交信もできなくて。残り時間とのバランスも分からなかったでしょうし、そこを薫一さんがクルマの中で全部判断してくれました」
「(ピットで見ている)僕たちはどんどん順位が落ちていくのを見ていて、16番手まで来たときは『どうなるかな!?』と思いましたけど、うまくまとめて順位を守ってくれました。正直自分(が同じ状況)だったらと考えると……怖いですね」
(スーパーGTでの長いキャリアのなかで、初ポールを獲得した率直な気持ちについて)
「単純にうれしいです。長くGTで戦ってきて、昨年も何度かうまくいきそうかなというところで(ポールポジションを)獲れませんでした」
「予選でポールを獲る難しさは去年に引き続き、今年も身をもって……ではないですけど、本当にいろいろな要素、サーキットとの相性、タイヤ、気温、路温、それらがかみ合わないと、なかなかチャンスが来ないので、その意味ではチャンスが来たと思っていました」
「それでも、先ほど言ったように薫一さん(のアタック中)にトラブルが起きて、それでもQ1を突破してくれたことは本当にすごいなと思えることです。そのあと、チームもQ2までにトラブルを直してくれました」
「個人的なことで言えば、この前の(第4戦)タイ、その前の(第3戦)鈴鹿とQ1を任せてもらったのに失敗していたので、ポールを獲れたことは本当にうれしいですし、狙ってはいたものの、まずはしっかりミスをせず、みんなが(バトンを)つないでくれたところをマシンのポテンシャル、タイヤのポテンシャルを引き出して、自分の仕事ができたことに一安心しています」
(決勝に向けて)
「自分たちの車両特性を考えても、すべてが速いわけではありません。正直、スタートしてから、どこまで順位を守れるかというのはわかりませんが、ブリヂストンさんが用意してくれたタイヤがあり、チームのセットアップもタイヤに優しいと思うので、その意味でレースが長いことは僕たちにとってプラスです」