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長濱ねるが残したラストメッセージとは? 卒業イベントやANNを振り返る

2019年08月03日 17:31  リアルサウンド

リアルサウンド

長濱ねる1st写真集『ここから』

 元欅坂46の長濱ねるが、7月30日に卒業イベント『ありがとうをめいっぱい伝える日』をもって欅坂46の活動を終了した。


参考:長濱ねるは、なぜ欅坂46にとって特別な存在だったのか 卒業イベント開催を機に考える


 筆者は現地へは行けなかったものの、ライブビューイングで長濱ねるの最後のステージを見ることができた。イベントは、ラジオが好きな長濱が2代目パーソナリティーを務めた『欅坂46 こちら有楽町星空放送局』をはじめ、「長濱ねるが伝えたい5つのありがとう」というドキュメンタリー映像で彼女のアイドルとしての歴史を振り返った。また、書き下ろし曲「立ち止まる手前で」を歌い、そして最後に手紙を読んだ長濱。卒業理由については最後の手紙で明かされ、要約すると、4年間駆け抜けてきて違う道を考えるなら20歳という今のタイミングかなと考えたこと、これまで放電し続けてきたことでからっぽになったため、色んなものを吸収したいと考えるようになったこと。秋元康が書き下ろした「立ち止まる手前で」の歌詞に、その思いが集約されているのだろう。


 イベントで配られたメッセージカードには「何年後か何十年後、もしかしたらもうないのかもしれないけれど、いつかどこかでまた逢えたなら この4年間の そして今日の思い出話をしよう~!」という言葉が記されていた。そして“普通の人”になった長濱ねるが、この日の深夜『長濱ねるのオールナイトニッポン』(ニッポン放送・以下、ANN)に出演。卒業イベントの裏話や、将来やってみたいことなどを語り、これで一旦最後となる生放送は、長濱らしく緩くて温かい番組となった。


 『ANN』の放送が始まると、卒業イベントや欅坂46の話ではなく、そうめんの話で盛り上がる。蕎麦屋やうどん屋はあるのに、そうめん屋がないことに気づいた長濱は「そうめん屋さんをやりたい」と話した。店名は”SO_Neru”だと真剣に起業を考えるという、実に長濱らしく緩いスタート。


 2015年11月から活動をしていた欅坂46。17歳から20歳の4年間所属し「もう濃密で、4年間じゃないぐらい、10年ぐらいの体感時間ですかね」と語り、幕張メッセで行われた卒業イベントは、長濱ねるプレゼンツで自分主体で企画したことを改めて説明。「やりたいことを全部させていただいた。幸せな気持ちでニッポン放送に参りました」と語る。卒業イベント後にメンバーが来てくれて、メッセージアルバムをもらったこと、さらに平手友梨奈から花束をもらったという、てちねるの絆を感じるファンにはとても嬉しい裏話を語り、そして「今夜はアイドルを卒業した長濱ねる、一個人の、普通の人のオールナイトニッポンということですね」と改めて自己紹介。欅坂からの卒業を実感させた。


 守屋茜、尾関梨香、齋藤冬優花、菅井友香、佐藤詩織といった欅坂メンバーから労いのメールが次々と届き、尾関梨香から「ずっと免許を取りたいと言っていたので、卒業して時間ができたこの機会に教習所に通ってみてはいかがでしょうか?」と提案のメールに、卒業イベントでも語っていた「将来すっごいゴツい車に乗りたい。教習所通いたいな。ぜったいおぜちゃんを一番に乗せよう」と回答。「自宅で早く流しそうめんパーティーをしたい」という齋藤冬優花に、SO_Neruの共同CEOを提案し、「2人で起業しませんか?」と呼びかけたりと、グループを卒業しても、メンバーとは普通に友達としてこれからも付き合っていくことを想像させる自然な会話が実に印象的だった。


 リスナーから「長濱さんの尊敬するアイドはいるんでしょうか?」という質問メールに、元乃木坂46の伊藤万理華の名前をあげた長濱は「今自分が存在している全てのきっかけになった方です」と語り、番組の終盤にサプライズで、長濱が出演した長崎発地域ドラマ『かんざらしに恋して』(NHK・BSプレミアム)で共演した俳優の遠藤憲一、そして長濱が尊敬する元乃木坂46伊藤万理華からのメッセージに驚きと涙を流した。


 伊藤は長濱との思い出を語り、「もっとたくさんの人と出会って、色んな話を聞いて、たくさん話して、ねるちゃんのその素直な性格で、どんどん吸収してほしいです」と長濱にエールを贈る。「3年半、欅坂として活動してきた期間、ねるちゃんの存在が周りの空気を柔らかくしてたと思うし、それはグループにとって大きな価値だったと思います。だからそこは本当に自信を持って下さい」という労いの言葉に、号泣して言葉が出なくなる長濱。「唯一相談できるというか、素直な自分の気持ちを話せる先輩で、万理華さんが言ってくださる言葉が凄く自分の答えになることが多くて、今回の卒業イベントについても万理華さんに相談しました」と明かした。


 最後に長濱は「正直このラジオは、私が皆さんの前でお話する最後の機会になるのかなと思って」と挨拶し、「正直今は実感がなくて、明日から自分がどういう風になっていくのか、さっき普通人って言ってたけど、上京してアイドルしかやってこなかったので、どんな風にこの街で暮らしていくのか、挑戦をしながらになるんですかね。不思議だー」と素直な思いを言葉にする。「今日の卒業イベントに『私、長濱ねるに憧れてアイドルになりました』って言って下さる方がいて、自分が万理華さんに憧れてこの世界に入ったみたいに、自分が何かのきっかけになっていたのかなっていう実感をして、幸せな気持ちになりました」と語った。


 そして時間に追われるように「ありがとうございました。さようなら。またねー」と、余韻を残さずあっさり気味に終了したのも長濱らしく、「またね」という言葉に、永遠の別れではないことを期待させる。とは言え、「長濱ねるANN」がTwitterの世界トレンド1位になるなど、放送後は長濱との別れを惜しむファンの声がネット上に溢れ、いかに彼女がファンから愛されていたのか、そしてこれまで歩んできたアイドル人生を改めて実感することができ、唯一無二のアイドル・長濱ねるを失うことの大きさを感じた1日であった。(本 手)