雨のF1第11戦ドイツGPから5日後、2週連続開催となった第12戦ハンガリーGPは、初日から雨となった。
「一日のどこかで雨が降るという予報は出ていたので、できるだけドライコンディションの中で走行しようと、路面がグリーンのフリー走行1回目から走り込みました」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)というレッドブル・ホンダの2台は、マックス・フェルスタッペンが2番手、ピエール・ガスリーが4番手でハンガリーGPをスタートさせた。
このフリー走行1回目でも時折、雨が降ったものの、路面はほとんどドライコンディションで、28周走行したフェルスタッペンも、25周したガスリーも、雨用タイヤを履いたのは1周だけ(インターミディエイト)で、あとはドライタイヤでの走行だった。
フリー走行2回目もすでに雨が降り始め、いつ本格的に降り始めても不思議ではない空模様の下でセッションがスタートした。田辺TDによれば、「天気予報は土曜日が雨で、日曜日は晴れ」ということだ。
通常であれば、フリー走行2回目のメニューは、予選用に軽い燃料でのタイムアタックの練習の後、レース用に燃料を積んだ状態でのロングランでのタイヤのデグラデーション(劣化)を確認するのが主な項目となる。
しかし、土曜日が雨になり、日曜日が晴れることを考えると、チームこのフリー走行2回目ではドライタイヤでのアタックよりも、タイヤのロングランのデータ取りを優先したと考えられる。多くのチームが1~2周の確認走行をした後、ふたりのドライバーに異なるコンパウンドを装着させて10周前後のロングランを行なっていることからもわかる。
■ロングラン中にトップタイムを記録したピエール・ガスリー
ガスリーのトップタイムとフェルスタッペンの2番手のタイムは、ライバル勢が軽い燃料でアタックする前に、叩き出したタイムというわけではなく、10周のロングランの10周目のタイム。フェルスタッペンも8周走行の7周目に出したタイムだった。
田辺TDも「ここは低速コーナーが多くあり、今日はウエットコンディションにもなって、パワーユニット(PU/エンジン)のドライバビリティがより重要になりましたが、大きな問題もなく、いいレベルからスタートできたと思います。クルマの仕上がりがいいようなので、できればドライで予選を行いたい」と語り、レッドブル・ホンダの調子がドイツGPから引き続き好調であるようだ。
もちろん、雨に対する対策も万全だ。
「エネマネ(回生エネルギーのマネージメント)のほうも、いろいろ試すことができ、土曜日に天候が急変しても対応はできると思います。ウエットになろうがドライになろうが、PU側の準備は順調です」
1周が短くタイム差が接近し、渋滞に巻き込まれやすいハンガロリンクでは、予選が荒れるケースが少なくない。しかし、そのような状況はいまは必要ないという田辺TDの言葉に、現在のレッドブル・ホンダの実力が垣間見えたような気がする。