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「組合費500円」は高い? Uber配達員、労組結成に向けて議論

2019年08月02日 11:21  弁護士ドットコム

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フードデリバリーの「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の配達員が8月1日、東京都内で2回目の労働組合設立準備会を開いた。配達員10数人が集まり、京都からスカイプで参加した配達員もいた。


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この日は、ユニオンの設立趣意書案やUber Eatsへの要求事項案、仮の規約案を確認。今後、ホームページでも案を公開し、意見をつのることにした。



●自由な働き方と安心安全「両立可能なもの」

Uber Eatsの配達員は、好きな時間に働いて報酬を得られる「自由な働き方」が注目されている一方、個人事業主のため労働基準法などの保護はない。そのため、自分が事故にあった場合の治療費は自己負担となっている。



準備会の初めに、この日司会をつとめた都内の男性配達員が、ウーバーイーツユニオン設立趣意書(案)を読み上げた。



趣意書は「自由な働き方と、安心安全に働くことは相反するものではなく、両立可能なもの」と指摘し、「ウーバーイーツの労働環境の改善を通して、全てのプラットフォームワーカーが安心して働ける制度の整備を目指します」といった内容が盛り込まれた。



●Uber Eatsに何を要求するか

要求事項は、これまでの準備会で配達員から上がった不満や疑問を踏まえて、以下の6項目が案としてまとめられた。



・業務中の配達員の事故および仕事ができない期間の保障を創設
・Uber Eats側の距離計算の誤りを受け、全期間の調査、誤差支払いと報酬計算の透明化
・アカウント停止基準の明確化
・注文を受けて、現在地からお店に商品を取りに行く「ピック」について、300円の最低額を報酬とする
・店や顧客からの配達員に対する評価の透明性と公平性の確保
・サポートセンターのオペレーターの教育徹底



これに加えて、アプリのシステムとして「顧客が正しい住所を入れないと、リクエストを受けつけられないようしてほしい。現状はサービスの不備をドライバーに負担させている」(男性配達員)との声もあった。



●組合費はどうする

議論になったのは、ウーバーイーツユニオン規約(案)に書かれた「組合費1カ月500円」についてだった。



全国ユニオンの関口達矢さんは「500円は比較すると安い設定」と話したが、配達員の一人は「働き方が新しいものだから、これまでの組合の例をトレースして欲しくない。生活が楽ではないギリギリの人もいて、月額固定の500円は安いと感じられない人が多いと思う」と組合費を売り上げの1%とすることを提案。



これに対し、「全額寄付でやるのはどうか」、「月の稼ぎを誰が確認するのか、コストを考えると現実的ではない」、「有志の活動だから、お金払いたくない人は入らなくてもいいのかなと思う。払ってでも良くしたい人がくる所だと思う」など、さまざまな声が上がった。



組合費は必ず徴収しなければいけないのかという意見に対し、棗一郎弁護士は「財政がちゃんとしていないと労働組合と認められない可能性があるので、300円でも500円でも集めたほうがいいと思う」と話した。



●加入予定者は広がるか

全国ユニオンの関口達矢さんは「議論が煮詰まってきたが、職場を共有していないので、役員選出をどうするかもなかなか悩ましい。ユニオン加入者があまりに少ないと会社も相手にしてくれないので、どのように加入予定者を広げていくかが課題だ」と指摘。



この日の準備会で司会を務めた都内の男性配達員は「組合はあったほうがいいと思うし、面白そうだったので、勉強がてら参加している。今まで話し合いも重ねてきたが、今日も妥当なラインの話ができた」と話した。



9月3日に予定されている第3回準備会では、規約案を確定し、要求事項や活動方針、予算案と役員候補を決める予定。組合費についても、次回に持ち越して議論がされる見込みとなっている。