2019年08月01日 16:22 弁護士ドットコム
学生主体の労働組合「首都圏学生ユニオン」は8月1日、東京・霞が関で会見し、学生駅員バイトを対象に実施したアンケートの結果を発表した。回答した110人のうち、約半数にあたる52人(47.3%)が、学業に支障を出しているという。
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アンケートは今年5月から7月にかけて、学生駅員バイト(退職者を含む)を対象に、インターネット上で実施した。ユニオンの尾林哲矢さんは「学生アルバイトが学業と両立しやすい労働環境にない。ブラックバイトの要素がみられる」と問題視。学生駅員バイトの待遇改善を訴えた。
ユニオンが実施したアンケートでは、駅員バイトの半数以上(50.9%)がバイトをしなければ生活が困難な状況にあることも明らかになったようだ。
「駅員バイトで稼いだお金は何に使っていましたか?」(複数回答)という質問に対する回答は「学業」が23.6%、「生活費」が67.3%だったという。
また、尾林さんは「生活のためにバイトをしている人ほど学業に支障が出ている」と指摘。ユニオンの栗原耕平さんは「奨学金制度の不備なども背景にある。生活のためにバイトが必要ない人はやめることができるが、バイトが必要な人は逃げづらい」とした。
アンケートの自由記述欄には「責任が重い」、「学業に支障が出ている」などの声が寄せられた。具体的な内容を一部抜粋する。
「想像以上に重労働でした。バイト後の授業では疲れて熟睡してしまうこともありましたし、遅延発生時は残業もしていました」
「学生駅員のシフトが埋まらない場合は、学生の中でシフトを埋めなければならず非常に辛いです。しかも埋められない場合には正社員に怒られます。辞める人も非常に多いです。なんとかしてほしいです」
「アルバイトが居ないと回らないため、シフトが埋まらないときには講義中にも電話が来てとても困りました」
尾林さんは「どの業務も覚えなければいけない知識が多く、責任が重いという声も上がっている」と説明。業務内容は、混雑時の安全確認、清算業務、忘れ物の問い合わせ内容など多岐にわたるとした。
また、人身事故などの輸送障害が起きると2、3時間の残業を余儀なくされることがあるという。家に帰れなかったり、授業に出席できなかったりする学生もいるようだ。
実際に小田急電鉄で駅員バイトをしている大学4年生のAさんは、「人身事故などの輸送障害が起きたときは、駅員が少ないため、帰れるような状況ではなくなります。残業せざるを得なかった」と語った。授業に遅れてしまうなど学業に支障が出たこともあったという。
ユニオンは小田急電鉄に駅員の増員や賃金の引き上げなどを求め、団体交渉を続けている。7月におこなった4回目の交渉では「正社員の配置人員を見直す」という回答を得られたという。