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WEC代表、将来のハイパーカー規定とDPi 2.0のコラボレーションを期待

2019年08月01日 14:31  AUTOSPORT web

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WECのジェラール・ヌーブCEO(中央)とIMSAのスコット・アサートン代表
WEC世界耐久選手権のジェラール・ヌーブCEOはIMSAのスコット・アサートン代表と同様のビジョンを持っており、2020/2021年シーズンから導入される“ハイパーカー規定”と2022年にIMSAで採用予定の“DPi 2.0”、このふたつのトップカテゴリーが将来的に同じレースを戦うことを望んでいる。

 ヌーブとACOフランス西部自動車クラブは、WECの新しいトップクラスに北米シリーズとは異なる車両規則を設定し別の道を切り開いた一方、早ければ2022年にもハイパーカーフォーマットのクルマと現時点ではまだ完成していないDPi 2.0規則車両とを同じレースの中で混在させることができる可能性があると示唆した。

 また、氏はACOとIMSAの技術部門がハイパーカー規定とIMSAの新規則の間で、同じレベルのマシンパフォーマンス目標を模索していることを明らかにしている。

「現時点で明らかなのは、運営委員会におけるすべての上級管理者がACOとIMSAの技術部門に、それについて取り組むことを求め、DPi 2.0とハイパーカーが一緒にレースするチャンスがあると確信するにはどうすればよいかを真剣に調査していることだ」と語ったヌーブCEO。

「そのためには、それぞれの技術規制の進化に関するすべての情報を事前に共有する必要がある」

「ふたつの規則のコラボレーションが可能であることを実証する必要があるため、これが容易であるとか100%確実であるとは言い切ることはできない。しかし、どちらの側から見ても明らかなのは『この計画に取り組み、実現させよう』という意思に基づいた指示があることだ」

 FIAとACOはオプションのハイブリッドシステムを備えた、プロトタイプベースと公道走行可能車ベースというふたつのハイパーカーを対象とする2020年に向けた新しいハイパーカー規制を最終決定したが、IMSAは2022年にデビューする次世代プラットフォームを定義するためステアリンググループ・ミーティングを現在も行っている。

 そのパフォーマンス数値は未だ公表されていないが、IMSAのいわゆるDPi 2.0では、現在のLMP2ベースの方式に高電圧ハイブリッドシステムを追加する“進化版”とすることがが好まれているようだ。

 早ければ2022年にも複数のプラットフォームを持つマシンが混在するレースが開催されるのではないかとの質問に対して、ヌーブは楽観的な見方を示した。

「そのように計画している。DPI 2.0が登場したときには、確実に機能しなければならない」と彼は語った。

「互いのシリーズが協力し合えば、それぞれの側で作業してから再び参加しようとするよりも効果的に物事を進めることができる。両カテゴリーのクルマが同じようなパフォーマンスレベルを達成するためには、すべての情報を互いに共有する必要があるんだ」

「ティエリー・ブーベ(ACOテクニカルディレクター)とシモン(・ホッジソン=IMSAコンペティション部門副社長)、ビンセント(・ボーメニル=ACOスポーティングディレクター)がともに多くの物事を共有できることを願っているよ」

「私たちはスポーツカーレースの世界に対して、同じ情熱と関心を共有している。ル・マン、セブリング、デイトナと言えば、その名は人々にとても強く響く。それらを管理するのは私たちの責任であると考えているんだ」

■IMSAとの関係強化がACOにとって『重要』に

 ヌーブは、ACOとIMSAによる長年の技術的パートナーシップと2020年に再び開催される予定の“スーパーセブリング”イベントの成功を受け、両者のさらなる関係拡大を望んでいると強調した。

「我々はACOとIMSAとの間に結ばれているパートナーシップ及び、これらふたつの主要組織を強く信じている。「多くのことを一緒にできることを見つけることは理にかなっていると思う。それを実現するためにも、我々の間にはとても強い協力関係が重要だ」

 昨季、2012年以来のセブリングラウンドを成功させたヌーブは「スポーツカーレースの世界の2大舞台はアメリカとル・マンだ。我々はそれをよく理解している」とコメント。

「私たちは共通の分野の知識を持つ人たちと、並行してプログラムを作る能力があれば、スポーツカーに興味を持つすべの人にとってより大きな価値を生み出すことができることを知っている。セブリングはそれを完璧なデモンストレーションとして示した」

「疑いようもないことだが、私はピエール・フィヨンACO会長についても話すことができる。彼は私と同じ見解を共有している。WECとACOにとってIMSAとの関係は非常に重要なんだ」

 ヌーブCEOによると、運営委員会はアサートンIMSA代表、ACOのフィヨン会長、IMSAのジム・フランス議長および、IMSAのCEOであるエド・ベネット氏の間で設立され、定期的にパートナーシップを“増加”させる方法について議論しているという。

「これは歴史的な関係であり、おそらくスポーツカーレースの将来に直結するものだ。私はそう信じている」とヌーブ。

「IMSAは北米でスポーツカーレースを非常にうまく運営している。言うまでもなく素晴らしい選手権だ」

「WECは世界の他の地域でその役割を果たしている。ル・マンはル・マンだがね。私たちは、この緊密な関係を今後も維持し続けなければならないんだ」