映画『愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景 vol.1』が、10月19日から東京・新宿のK's cinemaほか全国で順次公開される。
『アレノ』『海辺の生と死』『二十六夜待ち』などの越川道夫監督が手掛ける同作は、ある状況下に置かれた男女を描く『誰でもない恋人たちの風景』シリーズの第1弾。癒えない悲しみを抱えて生きてきたユリ、ユリの夫となる古本屋の店主・トモさん、トモの幼なじみで父を亡くしたリュウタの三角関係が描かれる。ユリ役に瀬戸かほ、亡くなった前妻のことを毎日思い出すトモさん役に宇野祥平、リュウタ役に深水元基がキャスティング。同作は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが晩年に恋人関係になった若い人妻マリアンヌと「愛の詩」を共作したエピソードに着想を得ているという。
瀬戸は「女優としてやっていけるのか悩んでいたときに、監督からこの作品をいただき挑戦したいと思いました」、越川監督は「この小さな作品が、ご覧いただくみなさんそれぞれの『愛の歴史』を反射するような映画になったのならばこんな嬉しいことはありません」とコメント。発表とあわせて、瀬戸と宇野祥平のラブシーンを捉えた場面写真も公開されている。
■瀬戸かほのコメント
女優としてやっていけるのか悩んでいたときに、監督からこの作品をいただき挑戦したいと思いました。
果たして自分は応えられるのか、不安でいっぱいだったのですが、監督をはじめとするみなさまのおかげで、そのときの私のすべてを出すことができました。
撮り終えたあと、ユリからなかなか離れられなかったことを強く覚えています。
このままお芝居をやっていこうと思えたきっかけの、大切な作品です。
■越川道夫監督のコメント
ひとには皆、それぞれに「愛」をめぐる「歴史」があります。
僕にも、誰にでも。
それがささやかな映画にならないかと思っていました。
ひとは幸福でありたいと思い、幸福になろうとして行動するけれども、それがいつも正しいとは限らない。
愚かかもしれない。でも愚かであるからと言って、幸福でないとも限らない。
そんなことを繰り返しながら、ひとはそれぞれの愛の小さな歴史を紡いでいるのかもしれません
新人の瀬戸かほさんで映画を撮ることになり、深水元基さん、宇野祥平さんにも参加してもらい、アンサンブルを作りながら、そんな映画を想像しました。
作りながら、この映画に登場する三人の様々な箇所に自分の「愛の歴史」を見出してまい、古傷が疼くようなそんな思いもしました。
この小さな作品が、ご覧いただくみなさんそれぞれの「愛の歴史」を反射するような映画になったのならばこんな嬉しいことはありません。