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Pixel 4、顔認証とモーションセンスの実装が明らかに 初代iPhone級の衝撃を世界にもたらすか?

2019年08月01日 07:11  リアルサウンド

リアルサウンド

US版Google公式ブログ「(Don’t) hold the phone: new features coming to Pixel 4」より

 「iPhoneキラー」の呼び声の高いPixelシリーズ最新モデル「Pixel 4」の注目機能について、ついにGoogleはその内容を一部公表した。この発表によって、リークされた太いベゼルが写った画像の正体が明らかになった。


(参考:Pixel 4の前面デザイン画像がリーク ToFセンサー実装&ジェスチャーコントロール実現か?


・太いベゼルの正体
 Googleは29日、Pixel 4の開発進捗を伝えるUS版公式ブログ記事を公開した。その記事には、様々な憶測を呼んだ太いベゼルに実装される諸機能を図解した画像が掲載されている。なかでも注目すべきは、顔認証とモーションセンスだろう。このふたつの機能については、挙動を収めた動画を見れば一目瞭然だ。


 顔認証自体はもはや珍しい機能ではないのだが、Pixel 4の顔認証はクールな動作で差別化を図る。現在使われている多くの顔認証ではスマホを顔の前に持っていき、ロックが解除されるのを待った後にスワイプ等でホーム画面を表示する。対してPixel 4では、端末を顔の前に持っていくとすぐにロック解除動作となり、ロック解除すると即座にホーム画面が起動するのだ。さらに端末を上下逆さまに持っても、問題なく顔認証を実行する。また、ユーザーの顔に関するデータはサーバにアップされることなく端末だけに保存されるので、セキュリティ的にも安全である。


 モーションセンスとは、動画を見ると分かるようにスマホにタッチせずにジェスチャーだけで操作する技術だ。具体的にはスマホ画面の前で手をスワイプするだけで再生中の音楽をスキップしたり、アラームのスヌーズや通話を停止することができる。この技術にはレーダーによって飛行機を管制制御するのと同じ原理が活用されており、空港のレーダーと異なるのはサイズが極小である点だ。


 なお、モーションセンスにはある種の電波を使っていることから、一部の国でのみ利用可能(日本が対象国かは不明)とのこと。また、Pixel 4のリリース時期は「今年後半」とだけ明記され、具体的な日程はまだ分からない。


・活発化するジェスチャーコントロール
 Pixel 4のモーションセンスに関して、海外メディアはおおむね好意的に報じている。Google製品専門ニュースメディア『9to5Google』は7月29日、Pixel 4の太いベゼルにフォーカスしたコラム記事を公開した。同記事ではディスプレイを最大化するためにベゼルを細くする最近のスマホデザインのトレンドを確認したうえで、Pixel 4は一見するとこうしたトレンドに逆行していることを指摘する。しかし、クールな顔認証やモーションセンスは細いベゼルを犠牲にしてでも実装する価値がある、と評している。


 『CNET』が30日に公開した記事は、モーションセンスが実現するジェスチャーコントロールを主題としている。同記事によると、ジェスチャーコントロールを実装した製品はPixel 4以前にも多数存在しており、現在も研究開発中である。例えば、最近のLG製のスマホ『LG G8 ThinQ』はジェスチャーコントロールに対応しているものも、動作感度はあまり良くないようだ。また、Netflixは昨年に視線でアプリを操作するデモ動画を公開しているが、実際に実装する予定はまだない。


 ジェスチャーコントロールに関する様々な試みがあるなか、Pixel 4のモーションセンスはスマホ市場においてGoogleがAppleに対抗するうえで重要な機能となる。ただし、iPhoneを制するという役割を果たすためには、この機能が十分にユーザーを満足させるほどに完成されていなければならない、と論じている。


・ジェスチャーコントロール時代の盟主?
 US版『WIRED』も7月30日、モーションセンスをテーマとした考察記事を公開している。その記事の書き出しは、2007年にスティーブ・ジョブズが初代iPhoneを発表した時の描写から始まる。当時スマートフォンと言えばBlackBerryやノキアの高機能端末だったのだが、iPhoneはタッチスクリーンを採用したことによって、その後のスマホ市場と文化の方向性を決定づけた。


 『WIRED』の記事は、Pixel 4のモーションセンスには初代iPhoneのタッチスクリーンが登場した時に匹敵するポテンシャルがあるのではないか、と語る。つまり、この機能は単にPixelシリーズの新機能のひとつであるのではなく、タッチスクリーン時代に幕を降ろしジェスチャーコントロールが新たな主役となる時代の象徴となるのではないか、というのである。


 Googleがジェスチャーコントロール時代の盟主になる可能性は十分にある。というのも、同社はジェスチャーコントロールと親和性のあるVRヘッドセットも開発しており、また2017年にはLevi’sとコラボしてジェスチャーコントロールに対応したデニムジャケットも作っている。こうした一連の製品をジェスチャーコントロールで連携・統合すれば、新たなエコシステムを生み出すことも可能だろう。


 スマホ市場が成熟し成長が鈍化しているなか、新たな成長の起爆剤となるのはモーションセンサーのような新たなユーザインタフェースの登場と普及なのかも知れない。


(吉本幸記)