2019年F1第11戦ドイツGPではレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが大荒れのレースを制し今季2勝目を挙げた。フェルスタッペンにとってF1キャリア通算7回目の勝利となる。難しい路面コンディションのなかライバルたちが次々と脱落するなか、冷静に状況を見ながら走り続けたフェルスタッペンに、週末のレースについてインタビューを行った。
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――マックス、優勝おめでとう。これまでの6回の優勝と比べて、今回の勝利または違ったものですか?
フェルスタッペン:もしかしてこれからも、勝つたびに同じ質問をするつもり?(笑)どうなんだろう。勝利はいつも、違うものさ。いつも違う感じがする。でも今回は、特別だ。とてつもなく荒れた展開を制しての勝利だったからね。ミスを犯すような贅沢は、とても許されなかった。
でも一度、360度スピンをやらかしてしまったけどね。ただあの時はミディアムタイヤを履いていて、ほとんどグリップがなかったんだ。今日のようなコンディションでは、ドライバーからのフィードバックとチームからの情報と、両方がとても重要になる。僕らはそれができたからこそ、正しい決断を下せて、勝利を勝ち取れたんだと思う。
――ドライバーたちが次々にクラッシュする中、(クリスチャン・)ホーナー代表によれば「あなただけは、こんな混沌としたコンディションでこそ冷静でいられる」と言っていました。雨のレースにおける強さの秘密は何でしょう?
フェルスタッペン:もっとずっと若い時から、ウエット練習を山ほどしてきたからね。父(ヨス・フェルスタッペン)も雨は得意だったそうだし、彼がウエット走行のコツを叩き込んでくれたんだ。
それ以外にもレース中の決断の下し方とか、ライバルたちが周りでどんな動きをしているか、何が起きているかをつねに注意するようにとか、ずっと言われ続けたよ。あとは、経験だね。90戦以上もF1を戦ってれば、色んな経験が積めるし、そこからより的確な決断を下せるようになるものだよ。
――今回はメルセデスが、意外な脆さを見せました。ここまでは彼らの独走が続いてましたが、これでタイトル争いの行方は見えなくなってきたのでは?
フェルスタッペン:そうかなあ。まだ、かなりのポイント差があるよね?
――首位のルイス・ハミルトンとは。62ポイント差です。
フェルスタッペン:それって、2勝分以上だよね。それにメルセデスが依然として、一番強いことには変わりはない。今回はああいう荒れた展開に、足をすくわれただけだと思う。
僕らはいい仕事をしたと思うけど、今後ギャップを縮めようと思ったら、相当努力しないといけない。とはいえ彼らより全然多いポイントを取ったのは、すごくいい気分なのは間違いないね。
――今日のようなレースは、そのクレイジーさにおいて、あなたの中では何番目に入りますか?
フェルスタッペン:2016年のブラジルも、相当のものだった。フルウエットタイヤとインターメディエイトを、数え切れないくらい履き替えてね。でも今回のように、スリックタイヤはほとんど履かなかったはず。いずれにしても今日のレースは、もっともクレイジーなグランプリのひとつだね。
――今日のトップ3ドライバーはいずれも、ヘルムート・マルコ博士に見出されてF1デビューを果たしました。あなたにとってマルコ博士とは、どんな存在ですか。
フェルスタッペン:ヘルムートはまだものすごく若かった僕を、トロロッソからF1デビューさせるというギャンブルをしてくれた。あの決断がなければ、今の僕はなかったかもしれない。
何よりヘルムートは真のレーサーで、あれだけの高齢なのにいまだにサーキットで起きていることを鋭く観察し続けてる。僕たちドライバーは、いい仕事をするときもあれば、ミスを犯すこともある。
そしてミスを犯したとき正直にそう言わずに、変な言い訳をすることをヘルムートは何より嫌うんだ。僕の場合、父がまさにそうだったから、というかもしかしたらヘルムートよりひどかったから(笑)、そういうやり方には最初から抵抗がなかった。
ヘルムートのような存在がチーム内で重要な役割を果たしてるのは、とてもいいことだ。僕にとってはいまだにものすごく重要な存在だし、これからもできるだけ長くいっしょにいて、たくさんの経験を共有できたらと思っているよ。まだまだ、お楽しみはこれからだよ。