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Spotifyとイープラスがパートナーシップ締結 「FANS FIRST」プログラムも拡大へ

2019年07月30日 17:21  リアルサウンド

リアルサウンド

Spotifyとイープラスによるパートナーシップ締結告知画像。

 音楽ストリーミングサービスSpotifyとチケットサービスを運営する株式会社イープラスが、本日7月30日にパートナーシップを締結。東京・渋谷 TRUNK(HOTEL)ONDENにて、合同記者説明会を開いた。


(参考:SpotifyとApple、なぜ論争勃発? 両社の主張を徹底検証


 登壇したのは、スポティファイジャパン株式会社 代表取締役社長 玉木一郎氏、株式会社イープラス 代表取締役社長 倉見尚也氏、常務執行役員 松田勝一郎氏の3名。スポティファイの玉木氏、イープラスの倉見氏からそれぞれの会社サービスについて説明があり、パートナーシップについて玉木氏、イープラスの松田氏から背景と目的、具体的な取り組みについてプレゼンテーションがなされた。


 今回のパートナーシップによる大きなテーマは「アプリやサイト上の機能を連携し、ストリーミングからコンサートまで音楽を一貫して楽しめる体験を提案」というもの。玉木氏は、高額なチケット転売をどのように抑制するか、という大きな社会問題、特定のアーティストにしか興味がない、音楽は聴くがアクティブにライブ情報を探すわけではない一定数に向けて楔を打つことを明言し、3つの実現を目指すことを提唱した。


1.Spotifyのおすすめによって新たなアーティストに出会ったリスナーが、パーソナライズされたコンサート情報に触れることでいち早くチケットを購入し、アーティストをライブで体験できる機会を提供する。


2.イープラスのサイトやアプリを閲覧していたファンが、Spotifyですぐに音楽視聴体験できることで、これまで知らなかったアーティストの音楽にもっと多く触れるきっかけを提供する。


3.アーティストと熱量の高いファンが結びつきを強め、長期的な関係を築けるようSpotifyのFANS FIRSTプログラムを国内アーティストに拡大し継続的にサポートする。


 さらに、松田氏は、アーティストとファンを繋ぎ、そのファンをどのように増やすのかといった共通の思いを持っていることを前提に、その解決策として「Spotifyからイープラスのコンサートチケット販売サイトへの連携」「イープラスの各種サイトおよびアプリからSpotifyへの連携」をそれぞれ説明した。


 Spotifyからイープラスへの流れについては、Spotifyのアーティストページに「コンサート」コーナーを新設し、個人の視聴履歴に基づくおすすめコンサート情報が一覧表示される。さらに、世界のリスナー数に基づく都市別おすすめコンサート情報が、「付近で人気」としても表示されるようになっている。イープラスで簡単にチケット購入が可能だ。


 イープラスからのSpotifyへの流れは、サイトで気になったアーティストをSpotifyを通じてすぐに視聴できるようになった。さらに、イープラスが提供するフェスアプリ「FesPlus」「サマソニアプリ」「中津川THE SOLAR BUDOKAN」「VIVA LA ROCK」などを通じて、音楽の体験からライブ体験に繋げていくとのこと。具体的には、フェス全体のプレイリストで、アーティストの予習、終演後の余韻を楽しむことができたり、知らないアーティストを発見することによりマイタイムテーブルに反映するといった流れだ。


 最後に玉木氏から、アーティスト体験をトップリスナーに優先的に提供する「FANS FIRST」プログラムの拡大を発表。これは、アーティストのトップリスナーに対し、そのアーティストに関連する特別な体験を優先的にサプライズで提供するというもの。日本でもこれまでにエド・シーランやMaroon 5など、海外アーティストのコンサートチケットの先行購入機会を日本のトップリスナーに提供してきた。今回から、イープラスの協力により、国内アーティストについても「FANS FIRST」プログラムを開始し、無用なチケット販売の抑止を目指していく。


 会見の終わりに玉木氏は「今回の2社のパートナーシップは、まさに音楽リスナーの裾野を広げるという意味でも、一人ひとりの視野を広げるという意味でも、また熱量を持ったファンの方に一人でも見て欲しいと願っているアーティストの方にとっても、ひいては日本の音楽業界にとっても貢献できると思っていますし、またその貢献が実現できるよう、2社が手と手を取り合っていきたいと思っております」と挨拶した。(渡辺彰浩)