メディウェルは7月29日、「好きな医療漫画」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2018年2月7日~25日の間、20~70代の医師303人を対象に行った。
現役医師に好きな「医療漫画」を聞くと、1位は「ブラック・ジャック」(秋田書店)。手塚治虫さんの名作で、無免許の天才外科医であるブラック・ジャックが活躍する物語だ。理由としては、
「小学生の頃に出会ってからまったく色あせていない手塚漫画の中の傑作」(50代男性、泌尿器科)
「きれいごとだけでなく、医療や社会の矛盾などを考えさせられるから」(40代女性、神経内科)
などが挙げられた。
「医龍」「コウノドリ」ドラマ化した作品が上位にランクイン
2位は「医龍-Team Medical Dragon-」(乃木坂太郎/小学館)。天才的な技術を持つ外科医、朝田龍太郎を主人公に、チーム医療に取り組むストーリーとなっている。坂口憲二さん主演で実写ドラマ化・シリーズ化もされた作品だ。
「エンタメとして見れば面白かった」(40代男性、整形外科)
「医局制度への皮肉がしっかり描かれていることと、いわゆる天才医師ではない、普通の医師についての描写が丁寧であること」(40代男性、小児科)
3位は「コウノドリ」(鈴ノ木ユウ/講談社)だった。累計700万部発行の産婦人科を舞台にした漫画で、2015・2017年には綾野剛さん主演でドラマ化もされている。
「医療の不確実性を描出しているから」(30代男性、循環器内科)
「事実に限りなく近い事例がある」(30代女性、産科)
4位は「ブラックジャックによろしく」(佐藤秀峰/講談社)、5位は「研修医 なな子」(森本梢子/集英社)となった。
医療漫画にツッコミたいところ「病院の屋上は出入りできない」「聴診器が逆」
医療漫画を読むのが好きな医師は63%。好きな理由としては「面白いから」(54%)が最も多く、「考えさせられるから」(24%)、「仕事の役に立つから」(13%)、「やる気が出るから」(7%)と続く。
一方で、医療漫画を読むのは好きではないと答えた医師からは、「リアルじゃないから」(29%)や「プライベートでは仕事を忘れたい」(28%)という声が多く寄せられた。
実際に「医療漫画にツッコミを入れたくなったことがある」と回答した人は71.5%。「医師の仕事でないことを医師がしている」との回答が最も多く、「あまりにも現実離れしている」「あまりに古い治療方法でリアルじゃない」といった意見もあった。具体的には、
「病院の屋上は出入りできない」(40代男性、精神科)
「主人公がむちゃくちゃ熱意ある設定が多いが、研修医が終われば楽できるところを探す人が多いので、あんな主人公は存在しない」(30代女性、精神科)
「聴診器が反対」(50代男性、循環器内科)
などが挙げられた。また、医療漫画が社会へ与える影響について、
「救急や外科系のスーパーマン的な側面を誇張し過ぎないで欲しいです。医師も人ですから」(50代男性、病理診断科)
「奇跡がいつも起こることを期待される」(40代男性、循環器内科)
といった声が寄せられる一方で、「医療現場の悲哀、矛盾や葛藤を伝える場になるとよい」(50代男性、脳神経外科)、「最近は、優れた漫画が増えている。良い影響を与える本が増加している」(50代男性、精神科)といった声も挙がっている。