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風間俊介、人の良さと温もりが滲み出る名演 『監察医 朝顔』時任三郎との絶妙な掛け合い

2019年07月30日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『監察医 朝顔』(c)フジテレビ

 上野樹里が主演を務める月9ドラマ『監察医 朝顔』(フジテレビ系)が、7月29日に第3話を迎えた。


参考:SixTONES 森本慎太郎、『監察医 朝顔』でジャニーズJr. “ドラマ班”へ? 知られざる演技力への期待


 第2話にて話題になったのが、桑原(風間俊介)からの万木朝顔(上野樹里)への涙のプロポーズ。朝顔から東日本大震災に被災した母・里子(石田ひかり)の話を初めて聞き、桑原は馴染みのお好み焼き屋に続く2度目のプロポーズを道端で自転車を押しながら告げる。結婚指輪を持ち合わせていないのを理由に、プロポーズは有耶無耶に。上機嫌で帰宅した朝顔の前に立ちはだかるのが、2人の交際についに勘付き、「挨拶がない。紹介もされていない」と認めない父・平(時任三郎)の存在だ。


 第3話においても、すでに恒例となっている朝顔と平の朝食のシーンからスタートする。しかし、これまでと違うのは朝顔からの問いかけをはぐらかす平の態度。桑原は、朝顔の恋人であり、刑事として平のバディでもある。「俺の部下だ。話は変わってくる」と主張する平の意見ももっともだ。そんな平の心変わりを知ってか知らずか、第3話での事件で桑原は尽力する。捜査本部で“所轄くん”と呼ばれながらも、冷たいおしぼりを配り、電話番、コピー取りを率先して行う。犯人を全速力で追いかけ確保するという功績に捜査一課課長の本宮(神尾佑)にも「面白い子」と一目を置かれる。そんな桑原の姿に平も犯人への取り調べという大役を任せる。ささくれた犯人の心をそっとほぐすかのように語りかける桑原。法医学教室の面々への報告にも表れているが、人の良さと温もりが滲み出た演技は、俳優・風間俊介の最大の武器であり、『朝顔』というヒューマンサスペンスに配役となった理由だ。


 第3話におけるクライマックスとなるのは、平と桑原が酒を酌み交わすシーンだ。桑原は改めて朝顔と結婚を前提に交際していることを平に挨拶する。そこで平から返ってきた言葉は、被災した妻・里子について。そして、8年前の3月11日への後悔だ。今も時間を見つけては東北へ行き、里子を一人捜し続けている平にとって、あの日の記憶はつらく、閉ざされたものだ。その記憶を自ら話すということは、桑原を部下としてだけでなく、将来の娘婿として信頼しているサイン。朝顔からの話と同じように涙を隠せない桑原だが、今回の涙には平から認められたという嬉しさと覚悟が入り混じっているのだろう。


 「朝顔は君を選んだ。娘を……朝顔をよろしく頼む」と平はプロポーズを受け入れ、桑原は顔を洗うためにトイレへ。そこからシーンは、居酒屋から万木家へ。居間でランニングにパンツ一丁で大の字になって寝る、桑原の姿。朝顔曰く、布団に運ぶために、平が桑原をお姫様抱っこしたと言い、せっかくの婚約の許しが無しになる失態だ……(第3話にして、そんな桑原のキャラも可愛く思えてくるが)。


 布団の上で一気に我に帰る桑原に差し出されるのは、おにぎりと味噌汁。万木家の朝ではあるが、朝顔と桑原が卓を囲み朝ごはんを食べる光景は、未来の夫婦としての2人を想像させる。泥酔した桑原に平が余計に2個おにぎりを作っているのも、ほっと安心させるポイント。里子が写る家族写真を桑原が見つけたところで、次の事件の着信が平穏な朝をかき消していく。


 第4話の予告では、おにぎりを持って里子を捜しに東北に向かった平が、里子の父・浩之(柄本明)に「もう来ないでくれ。いい加減に受け入れろ」と伝えられるシーンが。さらに、朝顔が解剖中に倒れる一幕も。事件を通して、少しずつ変化していく朝顔たちの関係性に注目だ。(渡辺彰浩)