トップへ

チェコ大規模フェスに世界各国のレジェンドバンドが出演 FORWARD ISHIYAの現地レポート

2019年07月29日 22:41  リアルサウンド

リアルサウンド

FORWARDのライブの模様(写真=片岡冬樹)

 筆者のバンドFORWARDは、2019年7月3日から7月7日までチェコ共和国で行われるフェスティバル『Obscene Extreme Festival2019』に出演してきた。


(関連:『Obscene Extreme Festival2019』写真


 2016年にもう一つの筆者のバンドDEATH SIDEでも参加したフェスだが、今年は日本からFORWARDの他にWARHEAD、FINAL EXIT、VISCERA INFESTなども出演した。今回で21回目を迎える『Obscene Extreme Festival』は、世界中からパンクス、メタル、グラインドなどのエクストリームミュージックが集まるかなり大規模なフェスである。


 2016年にDEATH SIDEで訪れたときと同様、チェコ共和国の田舎街であるトルトノフという街で行われた。スキー以外の産業がないこの小さな街であるが、このフェスが開催される期間は人が溢れ、街中のホテルもソールドアウトになる。街おこしのようにもなっているイベントなのだ。実際、ホテルから会場に行くにも、会場の名前を告げなくとも到着することができ、街全体に理解が行き届いているフェスになっていることがうかがえる。


 このフェスには、2016年のDEATH SIDE以外にも、2015年にS.O.B、2016年にMELT BANANA、2017年にSystematic Death、2018年にはself deconstructionなど毎年日本のバンドも数多く出演している。


 当初はメタルやグラインドを中心としたフェスだったようだが、徐々にPUNK/HARD COREのバンドも出演するようになり、今年は初日に「Punk as Fuck fest」と銘打ち、パンクバンドだけを集めた日も設けられた。


 残念ながら筆者は飛行機の到着が初日の夜だったために観ることができなかったが、日本からはWARHEADが出演し観客の度肝を抜くステージを展開した。他にもこの日にはイギリスのG.B.H、OI POLLOIなども出演し、世界各国からやってくるパンクスたちを熱狂させたフェス初日となったようだ。


 夜になりFORWARDがホテルに到着すると、WAR HEADが待ち構えていて、そのままホテルの部屋でパーティーが始まる。翌日にはフィンランドへ旅立ちツアーを行うWARHEADだが、海外で会うとまた違った感覚で盛り上がり、お互いの健闘を約束し、朝方までパーティーは続いたのであった。


 初日以外にも多くのパンクバンドが出演し、メタルやグラインドと共に楽しめるのもこのフェスの特徴である。


 2日目にはFOREWARDの他に、アメリカのDropdead、Negative Approach、3日目にはイギリスのANTI-SYSTEM、オランダのVitamin X、4日目にはアメリカのSiegeと、レジェンドクラスのバンドが出演している。


 こうしたンドを、CANBIBAL CORPSEやMUNICIPAL WASTEといったメタル系バンドと楽しめることもなかなない。


 初めて観るバンドにも素晴らしいバンドはたくさんいた。そんな新たな発見ができる上に、会場内には様々なショップが軒を並べ退屈することはない。


 会場内での買い物はリストバンドにお金をチャージして払うシステムになっていた。余った金額はバックされるが、代わりに手数料を25%取られる。パンクバンドメインのフェスでも、大規模になるとこういったシステムが普及していくようになるのだろうか。今後のフェス文化として、各国でどうなって行くのかが興味深いシステムであった。


 出演バンドにはビールと食事、ソフトドリンクのチケットが配布され、バックステージスペースで使用できる。海外フェスでは当たり前なのだが、食事はビーガンフードでどんな人間でも食べられるようになっていて、筆者のようなベジタリアン寄りの人間でも安心して食事ができる。会場内にもビーガンフードが軒を並べるストリートもあり、世界でのベジタリアン、ビーガンの数を考えれば、こうした食事は今後日本のフェスでも対応しなければならない課題だろう。


 今回FORWARDにしては珍しく1回限りのライブだった。まだまだ知名度の低いFORWARDだが、日本のバンドとして恥ずかしくないライブができたように思う。


 ライブスタート時には観客はまばらであったが、筆者が1曲目からステージを降りて客席で歌い始めると、観客も反応を見せてくれ徐々に盛り上がっていくのが肌で感じられた。最終的にはアンコールも生まれ大成功のステージだったと思う。


 MCも拙い英語ではあるが伝わったようで、フェス期間中も会場内を徘徊していると「お前らを観て、日本という国を初めて知った」「本当に驚いた」などたくさんの反応があり、一緒に写真撮影した数も数えきれないほどになった。


 ライブ終了後ホテルに帰っても、見知らぬ人間が部屋に来てパーティーになるなどかなり手ごたえのあるライブだった。


 このフェスには、毎日延べ5000人ほどの観客がやってきたようだ。FORWARDを全く知らない観客がほとんどのなかで演奏するという状況は、バンドにとってこれほどのチャンスはない。幸い海外では「知らないバンドでも観てみよう」という観客が非常に多く、ライブの楽しみ方を知っているので、観てくれさえすれば本気の魂は伝わっていく。世界中どこへ行っても「お前のこと知ってるぞ!観たことあるぜ!」と言われる嬉しさは、本気で伝えた証であろう。全力で本気のステージをやることで、実際に目の前で世界が繋がり合い広がっていくことが、ライブというものだと思っている。これからも生命の続く限り、こうした世界を広げていきたい。


 最後にオーガナイザーのCURBY、コンタクトを取り俺たちを担当してくれたF.O.A.D Records、Cripple BastardsのGIULIO、ドイツに住む日本人彫師の雪子鬼に最大の感謝を送ります。本当にありがとう。また世界のどこかで会いましょう。(ISHIYA)