「JASRACから音楽を守る党 設立準備会」というツイッターアカウントが注目を集めている。7月24日に投稿された最初の呟き、「現在JASRACから音楽を守る党の設立準備を進めております。準備会の公式サイトは明日公開予定です。 宜しくお願い致します」は、1週間足らずで1.2万リツイートに達した。
「本当は設立のために1年くらいかかるかなと考えていました。思った以上に反響が大きく、早く組織作りをしなければと思いました」と語るのは、団体の発起人を務める工藤尚規さんだ。準備会は、自身がこれまでJASRACに抱いてきた疑問を礎にしつつ、21日の参院選での「NHKから国民を守る党」(以下N国党)の議席獲得に背中を押されて設立された。
「作曲家の権利保護ではなく、組織維持のためにお金を集めているとしか思えなくなった」
工藤さんは音楽大学を卒業しクラリネット奏者として活動しているほか、アーティストマネジメントやCD、DVD等音楽コンテンツ制作・配信・販売などを行う合同会社の代表も務めている。
JASRACに対する「もやもや」が最初に生まれたのは、2016年に自身で企画したコンサートを開いたときだ。著作権料がチケットの売上や入場者数ではなく、ホールの座席数を基準に徴収されることに「普通だったら手数料は売れたものにかかるのが一般的なのに」と疑問を抱いた。
その後、音楽教室での著作権料徴収を巡ってJASRACが「レッスン中に演奏権が発生する」という旨の主張をしていることや、自身でJASRACについて調べるうち「作曲家の権利を守るというより、お金を回収して組織を維持しようとしている団体としか思えなくなった」と明かす。
特に問題視しているのは、権利者本人が自分の作品を使うときの著作権料の取り扱いだ。作詞者や作曲家が自分の曲を使用する場合、現在は、権利者が一度JASRACに著作権料を支払った上で、手数料を除いて返金される仕組みになっている。
「自分のものを自分で使ったり売ったりするのに、なぜJASRACにお金を支払わなければならないのか。無料で使える例外もありますが、例外の条件は厳しいです。こういう点は改善していかなければならないと思います」
「著作権等管理事業法の改正でJASRACの問題行動は全て解決する気がしている」
今後、党として活動するための資金はクラウドファンディングを活用して集める。次の2022年の参院選を目標にしてはいるものの、自身が出馬するかどうかは検討中だ。候補者については、
「JASRACに不満を持っているミュージシャン、アーティストさんはたくさんいるので、そういった方たちから募ることができればいいなと思っています。こちらからアプローチするつもりです」
と話していた。
党として成立した後は、演奏権を「教育や指導、練習において演奏権は発生しない」と定めたいと考えている。また、権利者が自身の作品を使うときに著作権料が徴収されてしまう問題などに関しても、「著作権等管理事業法の改正で、JASRACの問題ある行動は、全て解決するような気がする」と話していた。
「JASRACから音楽を守る党」の目的はJASRACの変革だ。N国党がNHKの解体を目指しているのと比べると、方向性はやや異なる。しかし、「まだ立花さんと連絡を取り合っていないので、私の頭の中でだけの考え」と前置きしつつも、もし政党として成立した場合、選挙戦では、N国党と連携することも視野に入れていると明かす。
「国勢に出るとき、NHKから国民を守る党と競合して票が分かれてはいけないと思うんです。同じ単一政策を訴える政党になるのであれば、お互いに潰し合うのは得策ではありません。選挙戦略や選挙区の選定などで連携できたらと思います」
準備会の公式サイトは「29日の21時頃か22時頃を目安に公開したい」と話していた。