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フルEV化を果たす伝統の雪上戦、アンドロス・トロフィーにルノーがワークス復帰へ

2019年07月29日 13:21  AUTOSPORT web

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『アンドロス・トロフィー』の2019/20シーズンからワークス参戦を開始する新型『ルノーZOE』
フランスを代表するモータースポーツとして知られる“氷上の格闘技”こと『アンドロス・トロフィー』シリーズで、2019/20シーズンからトップカテゴリークラスの車両がフル電動化されることを受け、これまでトップチームとして活躍を演じてきたDAレーシングをバックアップする形で、ルノーがワークス復帰を決断。3年間の契約で新型『ルノーZOE』を投入することが明らかになった。

 かつてイバン・ミューラーが10度のシリーズ王者に輝き、F1やWRC世界ラリー選手権、ツーリングカーなど異種目のスタードライバーが数多く参戦してきたアンドロス・トロフィーは氷上、雪上を舞台に行われるラリークロス競技のひとつ。2010/11シーズンからアンドロス・エレクトリックという電動マシンクラスが設けられている。 

 同クラスでは、ニコラ・プロストが初代王者から連覇を果たし、2017/18シーズンにはオーレリアン・パニスがタイトルを獲得するなど、段階的にエレクトリック車両の導入を進めてきた。

 そしてこの電動車両クラスが、満を持してこの2019/20から従来のエリート・プロクラスに代わってトップカテゴリーに据えられることが決まり、自動車市場でもいち早く電動化を推進してきたルノーがファクトリープログラムを開始することを決断した。

 そのルノーとのジョイントが決まったDAレーシングは、アルプスを本拠地とするレーシングチームで、WolrdRX世界ラリークロス選手権への参戦と並行して、このアンドロス・トロフィーでは名門チームとして活躍。過去4シーズンはルノー・クリオ、同キャプチャーのボディを架装したマシンでエリート・プロ・クラスを戦い、ジャン-バティスト・デュブールが4連覇を達成している。

 この新トップカテゴリー・クラスに投入されるのは、2019年6月に新型に切り替わったEVモデルの『ルノーZOE(ゾエ)』となり、フランス本国を始めとした欧州では7年ぶりのフルモデルチェンジで2世代目へと移行している1台だ。

「ルノーのような大手マニュファクチャラーからのファクトリー・サポートという恩恵を得られたことは、チームのこれまでの努力や戦績が認められたことを意味する」と語るのは、チーム代表のドミニク・デュブール。

「我々に新型ルノーZOEのアイスレース仕様を開発する役割が与えられたことは、とても光栄で誇りに思うし、チームにさらなる自信を与えてくれた。過去4シーズンにわたってアンドロス・トロフィーのタイトルを獲得してきた実績を踏まえて、EVモータースポーツという新たな挑戦への準備は整っているよ」

『アンドロス・トロフィー』の主催団体は、この6月にも新トップカテゴリーの概要をアナウンスしており、従来までの内燃機関V6エンジン搭載モデルと同様に4輪駆動と4輪ステアの構造は維持。その上で、350bhpを発生する2基の電気モーターを採用する。このEVマシンは昨シーズンにはV6車両との混走も試されるなど、電動車両への移行準備が進められてきた。

 昨年のパリ・ラウンドでは、そのEVマシンをドライブするニコラ・プロストやセバスチャン・ローブらを打ち破って勝利を飾ったジャン-バティスト・デュブールは、ルノーのバックアップを受けて戦えることを「非常に光栄で、誇りに思う」と、新シーズンに向けた意気込みを語った。

「アンドロス・トロフィー4連覇を達成したあと、こうしてルノーのワークスドライバーとして新型ZOEをドライブする機会を得られて最高の気分だ」と続ける、ユーロRX王者でもあるデュブール。

「ここからの3年間は、技術的にも、スポーツとしても、本当にチャレンジングな3シーズンが待ち受けているだろう。その挑戦が今から待ちきれないよ」

 このアンドロス・トロフィー2019/20シーズンは12月7~8日に開幕。サイクルロードレースの最高峰であるツール・ド・フランスでも“名物超級山岳”として知られ、2019年大会では最終日シャンゼリゼの前日に設定されたヴァル・トランスのスキーリゾートを舞台に、新EV時代のオープニングを迎える。