F1第11戦ドイツGP決勝レースでは、路面コンディションがウエット、ドライと状況によって変化するなかレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝、そしてトロロッソ・ホンダのダニール・クビアトが3位表彰台を獲得した。まさにチームワークの勝利とも言える結果だが、ホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクターは今回のレースをどのように見ていただろうか。
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――今日の勝因はなんでしょうか?
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):この難しいコンディションの中、チームとドライバーができる限りのことをやってくれ、波乱に飲まれずに最後まで走りきってくれたことが最大の勝因です。
――スタートで出遅れましたが……。
田辺TD:あれはデータを解析してみないとわかりませんが、ヒヤっとしました。
――設定のミスですか。
田辺TD:いろいろな組み合わせの結果です。
――この2勝目はホンダにどんな意味をもたらしますか。
田辺TD:この前の勝利と今日の勝利は、いろいろ内容が違います。今日は特にチームとドライバーによって、勝ち取った勝利だと思います。
予選も含めて週末は悪い流れではなかったんですが、また違った意味での勝利だったと思います。ただ状況やレース内容がいろいろ違っても勝利は勝利。素直に喜びたい。とはいえ、まだシーズンは半分残っています。予選での戦闘力向上など、やるべきことはまだまだあります。
――前回はクルマの戦闘力での勝利だとしたら、今日は戦略も含めたチーム全体の総合力で勝ち取った勝利と言っていいですか。
田辺TD:少し慌てた部分もあったような気がしますが、タイヤの選択とピットインするタイミングに関して、ドライバーとエンジニアがしっかりとコミュニケーションしていたことはたしかです。
――金曜日と土曜日にはパワーユニット(PU/エンジン)のデータ設定に関して、若干の不具合が発生していましたが、日曜日のレースではどうだったのでしょうか。
田辺TD:今日はレース中、パワーダウンすることもなく、ドライバーからのコンプレイン(不満)もありませんでした。パワーユニットとしては、スムーズでした。
今日のレースは、週末初めて臨む雨のセッションになったため、ホンダのエンジニアたちがエネマネ(回生エネルギーのマネージメント)を雨用にセッティングしていましたが、そのへんもスムーズにいきました。ドライバビリティが悪くてドライバーの足を引っ張ることは今日はありませんでしたし、ドライバビリティが良かったことも(優勝できた)要素のひとつだと思います。
■トロロッソにとっては2008年以来、2度目の表彰台の快挙
――今日のレッドブルは本当に素晴らしい仕事しました。
田辺TD:今日だけでなく、いつも常に前向きです。
――トロロッソの表彰台については?
田辺TD:ここ数戦、エンジニアとドライバーのコミュニケーションがうまく図れていなかったようなケースも見受けられましたが、今日はレース前の全体ミーティングでもそのへんが改善されていて、レースでもしっかりとやっていました。
――今日の表彰台はトロロッソにとって、2008年以来、2度目のことです。その快挙をホンダが見事にサポートしました。
田辺TD:ホンダがトロロッソにパワーユニットを供給するようになった2018年シーズンから、私はF1のテクニカルディレクターとして、F1にやってきました。
トロロッソとともにいろんな準備をし、レースを学び、一緒に成長させてもらったと思っています。それがなければ、現在のレッドブルとの関係もなかった。もちろん、マックス(・フェルスタッペン)の優勝もうれしいんですが、それにまったく劣らない、あるいはそれ以上にクビアトの表彰台はうれしく思っています。
――後半、4台ともポイント圏内を走っていましたが。
田辺TD:最後に全員がドライタイヤに履き替え終えた段階で、ようやく勝利が見えてきました。さらに4台がそろってトップ10以内にいたのですが、後ろの方でホンダ勢同士がバトルしているな、と。
――(アレクサンダー)アルボンに(ピエール)ガスリーが追突しました。
田辺TD:レースなので、仕方ありません。
――ヘルムート・マルコ(レッドブルのモータースポーツアドバイザー)が言う「年間5勝」が見えてきましたか。
田辺TD:まあ、そのうち、見えてくるかもしれません。
――次は再び暑くなりそうなハンガリーGPです。期待していいですか。
田辺TD:いつも期待していただいてくれるとうれしいです。次こそ、4台完走を目指します。