2019年07月29日 10:21 弁護士ドットコム
男友達に入浴しているところを盗撮されたーー。こんな性被害の相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
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被害にあったのは、男友達の自宅に泊まった際のこと。盗撮が発覚したきっかけは、その男友達から1年2カ月後に動画が送られてきたことでした。相手は昔から仲の良い友人だっただけに、「裏切られた思いや屈辱感がとても強く苦しい」と打ち明けます。
被害から1年以上が経過している中、警察に捜査してもらうことはできないのでしょうか。柳原悠介弁護士に聞きました。
「まずは、相談者の男友達がした盗撮行為は犯罪ですので、警察に対して被害届を提出することが考えられます。
盗撮行為は、軽犯罪法で規定されている窃視行為に当たり、拘留または科料もしくはその両方を科すということになると思います」
被害から1年以上が経過していますが、大丈夫ですか
「軽犯罪法違反の犯罪の公訴時効は、犯罪終了時点から1年とされています。これは、犯罪が終了した後一定期間が経過することにより、検察官がその犯罪について起訴することができなくなるという制度です。
そのため、盗撮行為から1年以上が経過している本件では、相手方がこの軽犯罪法違反で処罰される可能性は極めて低いです」
他に盗撮行為を取り締まる法令はありますか
「各自治体が定めている条例にも、盗撮行為に対する罰則規定が存在する場合があります。
例えば、東京都が定める『公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では、実際に盗撮する行為に対しては1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科すということになっています。
ただ、各自治体が定める条例は、自治体ごとに内容が異なり、盗撮行為の禁止の範囲やそれに対して科すことができる刑罰の重さに差があります。
そこで、今回の相談に関しても、犯罪が行われた場所の自治体に盗撮行為を禁止する条例が存在するかどうかやその内容を確認していただき、警察に被害届を提出することをご検討いただければと思います」
民事ではどうでしょうか
「相談者は、相手方からの盗撮被害に遭ったことを知った時から3年以内であれば、相手方に対して不法行為に基づく損害賠償、つまり金銭での賠償を請求することができます。
このときに請求できる内容としては、盗撮により精神的にダメージを負ったことに関する慰謝料が主になると思います。金額は事例によって異なるものの、過去の裁判例などからすれば30万円~50万円前後となるでしょう」
【取材協力弁護士】
柳原 悠介(やなぎはら・ゆうすけ)弁護士
2009年に弁護士登録して以降、犯罪被害者支援や、DV・ストーカー問題を含む男女トラブル支援に注力しており、日々警察署や民間の被害者支援団体などと連携しながら支援活動に取り組んでいる。
事務所名:あまね法律事務所
事務所URL:http://amane-law.com