草なぎ剛から学ぶ、小さな失敗を恐れずに大きな挑戦に挑む心意気

　草なぎ剛は、年々若返っている。そう思ったことがあるのは、筆者だけではないはずだ。無邪気な笑顔と共に繰り広げられる率直なコメントは、大人になると誰もが空気を読んでしまい、口に出すことが難しい。だが、親友の香取慎吾とパーソナリティを務めているラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』（bayfm）7月21日放送回を聞いても、相変わらずのマイペースっぷりを披露している。

（参考：稲垣吾郎＆草なぎ剛＆香取慎吾、七夕の『ななにー』で語った願いとホンネトーク）

　夏ということで話題がフェスになると、「フェスって知ってますか？　イメージ言ってみて」という香取の問いかけに、「なんかさ、人がいっぱいいて、外で、暑い中、なんかダラダラやってる感じ」と率直に答える草なぎ。もちろん、香取から「ちょっと、言い方（笑）！　ダラダラって怒られるよ！」と注意を受けるのだが、「え？　そうなの？　でも、きっちりはやらないでしょ？　ルーズにね、ルーズ（笑）」とマイペースを崩さない。そんな彼の無邪気さに、私たちは救われるのだ。

　言動はより自由に、チャレンジにはより柔軟に。そうして、常に新しいことにトライすることで、人はいつまでも若々しくいられるのかもしれない。7月22日に発売された雑誌『JUNON』（2019年9月号）のインタビューでも、「基本的なことが刺激になる」と話す草なぎ。10代からトップアイドルとして芸能界をひた走ってきた彼は、新幹線や飛行機のチケットを自分で取ることもなかったという。「僕、若いときからほとんど何もしてきてないから、初めてのことが多くて、それは得っていうか」と語るように、経験値の少なさを“得”と表すのが、なんともポジティブな草なぎらしい。

　ゼロになる覚悟でスタートさせた、新しい地図。新体制の中、草なぎは舞台の稽古場に電車で通ったと語っていた。「なかなか気づかれないの！」と楽しんでいる彼の話を聞きながら、きっと誰もが気づいていながら“はじめてのおつかい“を見守るかのように、そっと応援していたのではないだろうかと想像してしまった。草なぎ剛はスターでありながらも、なぜか保護本能をくすぐるのだ。

　そんな彼が、常に“初体験“に挑んでいるのが『ユーチューバー草なぎチャンネル』だ。最近では、YouTube界の流行りネタを率先して取り入れているが、それがことごとく失敗していて微笑ましい。チャーハンがホットワードだということで、いつものように気ままにクッキング。いつも「いいの、いいの、テキトーで！」と言いながらも美味しい料理を完成させてきた草なぎだが、今回はそのテキトーぶりが加速して大失敗。

　だが、この大失敗動画がまさかのバズりまくり。考えてみれば、草なぎは絵をかけばその独特な画風がクセになるタイプの人だった。失敗する姿に可愛げがあるというのは、草なぎ剛の持つ才能かもしれない。とはいえ、失敗のまま終わらせまいと、今度は油を控えめにチャーハンづくりをリベンジ。「これは全部入れたらダメ。学習能力！」と言いながら、気づけば「どんどん入れちゃえ！　なんか量が多くなってきちゃった！」と大騒ぎ再びな展開になるのもたまらない。

　また、バターまるごと一本を使った料理ネタが流行ると、今度はオムライスに挑戦。そもそもバターの使用量が規格外なので大成功するわけはないだろう……と多くの視聴者が見守る中、草なぎは予想の斜め上を行く大惨事を引き起こす。にも関わらず「味は最高！　大成功でした」とケロッとして、笑いを誘うのだ。

　誰もが失敗する。その度に、私たちは必要以上に落ち込んだり、次の一歩を踏み出すことに臆病になったりする。大人になれば、なおさらだ。だが、草なぎのように新しいことにチャレンジして大失敗をしても、うまくできたところを「大成功」と言ってのけてしまう明るさがある。また、ツッコまれたら「ここは学習しました」と聞き入れるピュアさ、そしてなかなかうまくいかないことこそ一緒に笑って、「これは研究課題！」と切り替える柔軟さも。みんながそうして小さな失敗を恐れずに大きな挑戦ができるようになれば、人生は、この世界は、もっとやさしく、面白くなるのではないだろうか。

　流行りネタといえば、Twitterで大流行中のタピオカを飲む姿を動画でアップした草なぎ。「タピってる？　みんな！」とハイテンションだが、一口飲んでみるとその反応は……。そろそろ草なぎ剛×流行りネタ＝失敗が多い（？）という法則が見えてきたようだが、どうだろうか。もともと革ジャンの「味を出したい」と夏にもかかわらず革ジャンを着込み、部屋で掃除をするときにも「肩がこる」なんて思いながら着続けているなど、プライベートから少年のような生活を送っている草なぎ。そんな天然の面白さが引き出されるような、チャレンジ動画をこれからも見届けていきたい。（佐藤結衣）