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スパ24時間:雨で波乱のレースは20号車が制しポルシェがワン・ツー。ホンダNSX GT3が殊勲の6位に

2019年07月29日 02:21  AUTOSPORT web

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スパ24時間を制したGPXレーシングの20号車ポルシェ911 GT3 Rを駆ったリヒャルド・リエツ/ミカエル・クリステンセン/ケビン・エストーレ組
インターコンチネンタルGTチャレンジ/ブランパンGTワールドチャレンジ・ヨーロッパの一戦として開催されたトタル・スパ24時間は7月28日、現地時間16時30分にチェッカーを迎えた。途中6時間近く強い雨のために中断されることになったが、波乱のレースをリヒャルド・リエツ/ミカエル・クリステンセン/ケビン・エストーレ組GPXレーシングの20号車ポルシェ911 GT3 Rが制した。2位にはフレデリック・マコウィッキ/パトリック・ピレ/ニック・タンディ組998号車が入り、ポルシェがワン・ツー。ポールポジションスタートだった『プロメア』カラーの4号車メルセデスAMG GT3は3位となった。

 世界三大耐久レースのひとつにして、インターコンチネンタルGTチャレンジのなかでも最も重要なレースと位置づけられているトタル・スパ24時間。今季は予選までは気温40℃近い酷暑のなかでのレースウイークとなっていたが、迎えた決勝日はうってかわって曇天に。決勝スタートの2時間前から雨が降り出し、ヘビーウエットのなかセーフティカースタートが切られた。

 ポールポジションからスタートしたのは、マーロ・エンゲルが駆るメルセデスAMG・チーム・ブラックファルコンの4号車メルセデスAMG。ただ、序盤から72台のGT3カーが各所で非常に激しいバトルを展開する。そのなかでクラッシュなどアクシデントが相次ぎ、フルコースイエローが多発した。

 特に激しいクラッシュとなったのは、スタートから2時間過ぎに起きた3Yテクノロジーの37号車BMW M6 GT3のクラッシュ。ケメルストレートエンドで突如横を向き、正面からガードレールにヒット。ドライバーやコースサイドのマーシャルが心配されたが、幸い無事だった。ただ、このアクシデントのガードレール修復のため、長いFCYが導入される。

 この間に路面はドライへと転じたが、暗くなった22時30分ごろにふたたび雨が。この雨は一時強くなったり弱くなったりと、各チームのタイヤ選択を悩ませることになったが、この頃から急速にアクシデントは減少していった。

 しかし、午前3時過ぎにこの雨が突如強くなりはじめ、グッドスマイル・レーシング&タイプ・ムーン・レーシングの00号車メルセデスAMG GT3の片岡龍也がクラッシュしてしまう。これにより導入されたFCY~SCは一時解除されたものの、「とても危険な状態でした(千代勝正)」と路面の水量が多く、長いFCYののち、5時43分に天候不良を理由に赤旗中断となった。

■レースは悪天候で一時中断に
 レースは6時間ほど中断され、現地時間11時37分に再開された。再開後はワーケンホルストの37号車BMWがリードしていたものの、レース終盤に向けてアウディスポーツ・チームWRTの1号車、アウディスポーツ・チーム・サンテロックの25号車、ポルシェ20号車。ローヴェ・レーシングの998号車ポルシェ、メルセデスAMGの4号車、メルセデスAMG・チーム・グループMレーシングの999号車と、ドイツメーカー3社のワークスカーに上位は絞られていった。

 終盤一度は路面が乾きはじめたものの、チェッカーに向けてふたたび雨が舞いはじめ、モデナ・モータースポーツの16号車ポルシェがガードレールにヒット。ふたたびFCY~SCとなり、上位の差が縮んでいく。

 残り15分でセーフティカーは退去するが、今度は集団のなかで、一時トップを争いつつも、終盤ニコ・ミューラーのドライブ中にクラッシュを喫し順位を下げていた1号車アウディが接触。ドライブしていたレネ・ラストはマシンを停めてしまう。ふたたびFCYとなったレースは残り5分で再開されたが、終盤の争いを制しトップに立っていた20号車ポルシェが逃げ切り優勝を飾った。2位はローヴェの998号車が入り、ポルシェがワン・ツー。ローヴェ・レーシングは98号車が5位、99号車が7位と上位に3台を送り込んだ。

 一方、ポールポジションからスタートした4号車メルセデスAMG GT3は、大きなミスもなくトップを争う存在だったが、終盤ポルシェ勢との競り合いのなかで敗れてしまい3位という結果に。とはいえ、ジャパニーズ・ポップカルチャーのカラーリングをまとったマシンで表彰台を手中に収めた。

 4位はアウディスポーツ・チーム・サンテロックの25号車、5位はローヴェの98号車ポルシェという結果となったが、6位に食い込んだのはホンダ・チーム・モチュールのマリオ・ファーンバッハー/ランガー・バン・デル・ザンデ/ベルトラン・バゲット組30号車ホンダNSX GT3 EVO。今季インターコンチネンタルGTチャレンジのカリフォルニアではポールポジションも奪っているが、決勝もミスなくレースを進め順位を上げ、終盤98号車ポルシェにかわされたものの、ドイツ車ワークス勢に次ぐ6位に。IGTCの次戦となる鈴鹿10時間に向け素晴らしい結果を残した。

 日本勢では、KCMGのアレキサンドレ・インペラトーリ/オリバー・ジャービス/エドアルド・リベラティ組18号車ニッサンGT-RニスモGT3が18位となった。予選20番手からスタートした千代勝正/松田次生/ジョシュ・バードン組KCMGの35号車GT-Rは、序盤千代のドライブ中オイルに乗ってしまいランオフに逃れたものの、そこで他車にクラッシュされてしまい、エキゾーストを破損。この修復で7周ほどを要してしまい、39位でレースを終えた。

 また、谷口信輝/片岡龍也/アダム・クリストドウロウ組グッドスマイル・レーシング&タイプ・ムーン・レーシングの00号車メルセデスAMG GT3は、序盤トップ10をうかがう走りをみせたものの、先述のとおり夜に急に雨が強くなった際にクラッシュ。二度目のチャレンジも悔しい結果となってしまった。