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F1ドイツGP決勝【詳報】大荒れのレースを制したフェルスタッペンが今季2勝目、クビアトが3位に入りホンダ勢2台がW表彰台

2019年07月29日 00:41  AUTOSPORT web

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2019年シーズンの2勝目を挙げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
7月28日現地時間午後3時10分、F1第11戦ドイツGP決勝が行なわれレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝を飾った。トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトが殊勲の3位表彰台を獲得。アレクサンダー・アルボンは6位入賞を果たしている。

 前夜の雷雨の後も朝からどんよりと曇っていた空から、午後0時頃になって強い雨が降ってきて路面は完全ウエットに。一旦は止んだ雨が午後1時40分頃から再び降り始め、ウエットコンディションでセーフティカー先導で全車エクストリームウエットタイヤを履いてのレーススタートとなった。気温は21℃、路面温度は26℃。今季初のウエットレースであり2017年シンガポールGP以来となる。

 パルクフェルメでキミ・ライコネン(アルファロメオ)は今季3基目のICE(エンジン)、TC(ターボチャージャー)、MGU-H(熱エネルギー回生システム)を投入したが、予選で使用したものと同スペックだったためグリッドに影響はなし。セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は3基目のCE(コントロールエレクトロニクス)、ランド・ノリス(マクラーレン)は3基目のMGU-K(運動エネルギー回生システム)、ES(エネルギーストア)、CEを投入してそれぞれ10グリッド降格。予選はトラブルで出走できなかったため最後尾スタートのペナルティを受けているベッテルが20番、ノリスは19番グリッドからのスタートとなっている。

 レースはセーフティカー先導のまま“フォーメーションラップ”扱いの周回を重ね、3周走って路面コンディションが向上したところでセーフティカーがピットに戻り各車がグリッドにつきスタンディングスタートが切られることに。走行した分だけ周回数が減算となりレースはここから64周で争われることになった。

 スタート加速でレッドブル勢が大きく遅れ、首位はポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)がキープ、その後方にはターン1で飛び出しながらもチームメイトのバルテリ・ボッタスが続き、3番手にはライコネンが浮上し4番手に落ちたフェルスタッペンがプレッシャーをかけていく。ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)は8番手まで後退するが、2周目には目の前でカルロス・サインツJr.(マクラーレン)がターン6で押し出され、これを抜いていく。

 2周目のターン11でセルジオ・ペレス(レーシングポイント)がスピンしてクラッシュしセーフティカー導入。上位勢はすでにピット入口を過ぎており、2周目はベッテルとアルボンだけがピットインしてインターミディエイトタイヤ(雨用と晴れ用の中間タイヤ)に交換する。

 翌3周目にはほぼ全車がピットインしてインターミディエイトに交換し、ウエットタイヤのままステイアウトしたケビン・マグヌッセン(ハース)が2番手に浮上するが、5周目にレースが再開するとすぐにボッタス、フェルスタッペンがこれを抜いてポジションを奪い取る。

 さらにルクレールもマグヌッセンに襲いかかり翌周にはパス。その後ろはニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、ステイアウトしたランス・ストロール(レーシングポイント)、ライコネン、そしてピットインのタイミングでベッテルが9番手まで浮上してきた。ガスリーはターン6のブレーキングでロックしてオーバーシュートし最後尾まで落ちてしまった。

 8周目にはライコネンとベッテルがマグヌッセンを抜いて6番手・7番手に浮上。ウエットのストロールはたまらず7周目にピットインしてインターミディエイトに交換し、まだ雨が降ってくる予報のためマグヌッセンもウエットのままステイアウトしたものの耐えきれずに8周目にピットに飛び込んだ。

 首位ハミルトンはファステストラップを連発しながら後続とのギャップを3秒に広げていく。10周目を迎える頃にはレーシングラインが乾き始めるが、依然として雨が降ってくる予報もあるという、レース戦略を考える上で難しい状況となった。ルクレールは最終コーナーのソーセージに乗ってリヤが流れるが、フルカウンターで何とかマシンを立て直しスピンを回避した。




 順位は首位ハミルトン、2番手ボッタス。3番手フェルスタッペン、4番手ルクレール、5番手ヒュルケンベルグ、6番手ライコネン、7番手ベッテル、8番手サインツ、9番手アルボン、10番手アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)。12番手を走行していたダニエル・リカルド(ルノー)はパラボリカの長い全開区間でエンジンがブローアップしてターン8にマシンを止めた。

 これで15周目にVSC(バーチャルセーフティカー)が出てルクレールとヒュルケンベルグがピットインし新品のインターミディエイトに交換する。ルクレールは右フロントの交換に手間取って4.8秒の静止時間となるが4番手はキープ。ヒュルケンベルグも6番手に留まった。

 17周目のターン6でボッタスのインを伺ったフェルスタッペンだがスペースは残されておらず、なんとかマシンを止めアウト側に逃げて接触を回避した。タイヤ交換したルクレールは、2秒以上速いペースで走行し3番手のフェルスタッペンに迫っていく。ヒュルケンベルグも同様に快走を見せてライコネンを抜き5番手に浮上した。

 18周目にはサインツが最終コーナーでワイドになり、ランオフエリアでスピン。なんとかクラッシュは回避したが14番手まで後退してしまった。

 このあたりで再び雨が降り始め各車ともタイヤ交換のタイミングを掴めずに走りつづけるが、21周目にマグヌッセンがピットインしてソフトタイヤに交換。このタイムを見て23周目にはベッテルがピットインしてソフトに履き替え、ロマン・グロージャン(ハース)の後方11番手まで後退する。

 25周目、なかなかボッタスを攻略できないフェルスタッペンがピットに飛び込みミディアムタイヤを履く。しかし翌周のターン13出口でスピンを喫し、翌周ピットインしたボッタスが前に留まる。27周目にノリスがパワーを失ってストップしVSCが出され28周目にハミルトンがピットインしてソフトに交換しトップのままコースに戻る。


 それと時を同じくしてルクレールがターン16入口で挙動を乱してコースオフし、濡れたランオフエリアで止まりきれずクラッシュ。グラベルに埋まってセーフティカー導入となる。

 さらになんと29周目のターン16でハミルトンが同じようにコースオフしフロントウイング左側を破損。ピットに飛び込むがタイヤが用意されておらず、履かせるタイヤを何にするのか混乱して長時間ロスした末にインターミディエイトに交換してピットアウトする。

 しかしピット入口のボラード外側から進入したため審議対象となり、ハミルトンに対して5秒加算ペナルティが科された。さらにセーフティカー先導中に必要以上にスロー走行したとして審議対象となる。

 ここで雨が強くなっていき各車がピットインしてインターミディエイトに履き替えていく。ハミルトンの混乱もあって反応が遅れたボッタスは、翌30周目にセーフティカーの後方についてからのピットインとなり3番手、ハミルトンは5番手まで後退してしまった。

 レースは34周目に再開となり、首位はフェルスタッペン、2番手は地元レースでありいまだ表彰台獲得経験のないヒュルケンベルグ、3番手ボッタス、4番手にここまでタイヤ交換のタイミングがピタリとハマったアルボン、5番手ハミルトン、6番手サインツ、7番手ライコネン、8番手にリスタートでベッテルをパスしたガスリー、10番手ジョビナッツィとなった。しかしベッテルはすぐにガスリーを抜き返して8番手を取り戻す。

 ハミルトンは36周目にアルボンを抜き、ボッタスは37周目にターン6でヒュルケンベルグを捕らえてポジションを上げる。しかしこの間に首位フェルスタッペンとは8.6秒もの差が開いてしまった。



 ヒュルケンベルグは38周目にハミルトンに抜かれ4番手に後退してしまった。さらに39周目にはライコネンがターン16でコースオフして9番手まで後退。そして40周目にはヒュルケンベルグが同じ場所でコースオフし、コースに戻りかけたところでスケートリンクのように滑りまっすぐに進んでバリアにクラッシュ。

 これでまたしてもセーフティカーが出て、大きなギャップを築いていたフェルスタッペンはピットインして新品のインターミディエイトに交換しステイアウトしたボッタスの前で戻る。ベッテル、グロージャンもピットインし新品のインターミディエイトに履き替えた。

 46周目にレース再開となり、フレッシュなタイヤを履くフェルスタッペンは一気に後続を引き離していく。しかし雨が止んだことで路面は一気に乾いていき、ラインドライとなったためその周にフェルスタッペンはピットイン、ボッタス、サインツ、ガスリー、アルボンらもピットインし、セーフティカー中にソフトに履き替えるギャンブルに出ていたストロールが首位に立ち、リスタートと同時にピットインしていたクビアトが3番手に浮上した。

 フェルスタッペンはすぐにストロールを抜くが、ストロールはそのまま2番手に留まりクビアトを抑えていく。47周目にピットインしたハミルトンは5秒加算ペナルティをここで消化することとなり12番手まで後退。4番手ボッタス、5番手サインツ、6番手アルボン、7番手ベッテル、8番手マグヌッセン、9番手ガスリー、10番手グロージャンというトップ10になった。さらにハミルトンは53周目のターン1縁石で360度スピンを喫し13番手へ後退する。

 ライコネンはハース勢を抜いて8番手に上がり、56周目のターン6ではハース勢がまたしてもチームメイト同士で接触、抜かれたグロージャンが怒りをぶちまける。

 それと時を同じくしてボッタスがターン1のイン側縁石でスピンしバリアにクラッシュ。これでまたしてもセーフティカー導入となる。首位フェルスタッペン、2番手クビアト、3番手ストロール、4番手サインツ、5番手ベッテル、6番手アルボン、7番手ガスリー、8番手ライコネン、9番手グロージャン、10番手ジョビナッツィ。ハミルトンは同一周回でウイリアムズ勢の後方14番手という大荒れの展開となった。

 60周目にレースは再開。路面はもう完全にドライとなり、ベッテルはターン6でサインツのインに飛び込んで4番手に浮上し、さらに前を追う。ベッテルは62周目のターン6でストロール、そして63周目にクビアトを抜いて2番手に上がった。しかしフェルスタッペンは61周目に1分16秒645のファステストラップを記録、ベッテルを寄せ付けることなく64周を走り切って大荒れのレースを制し今季2勝目を挙げた。

 2位ベッテル、3位にクビアトが入り2008年モンツァ以来となる表彰台をトロロッソにもたらした。ストロールは4位、5位サインツ、6位アルボンを抜こうとしたガスリーは、ターン10立ち上がりでインを狙うがアルボンとラインが交錯し追突。ここでリタイアとなり、ライコネンが7位、8位ジョビナッツィ、9位グロージャン、10位マグヌッセン。ハミルトンは0,902秒とどかず11位という結果になった。

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