大会2連覇を狙うオット・タナク マニュファクチャラー王者として2019年のWRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは8月1~4日、チームの地元であるフィンランドで開催されるWRC第9戦フィンランドに臨む。チームは同ラウンドにおいて、大会連覇を目指すオット・タナック、同国出身のヤリ-マティ・ラトバラ、今季からチームに加わったクリス・ミークの3名を引き続き起用。トヨタ・ヤリスWRCの3台体制で母国ウインを狙う。
WRCは6月半ばに行われた第8戦イタリアの終了後、ひと足早くサマーブレイクに突入した。このラリー・フィンランドは、その第8戦から7週間ぶりに開催されるWRCイベントだ。また、同ラウンドでは、全14戦で争われる2019年シーズンの後半戦がスタートする。
ラリー・フィンランドの特徴はなんといっても、WRC屈指のハイスピードステージで構成される点だろう。戦いの舞台はサービスパークが置かれる同国中部ユバスキュラ周辺の森林地帯。コース路面は非常にスムーズで流れるようなコーナーが続き、その途中にはジャンピングポイントとなるクレスト(丘)も数多く存在する。
一歩抜けた平均スピードを誇るフィンランドは、他のイベントに比べてタイム差がつきにくい一方で、コースサイドには木々が立ち並び僅かなミスが命とりになることも。そのため、ドライバーには精度の高いドライビングと、より正確なペースノートの作成が求められる。
そんな同ラウンドは、トヨタにとってはホームイベントであり、チームが得意とする一戦でもある。WRC復帰初年度、2017年は当時新人のエサペッカ・ラッピがトヨタ・ヤリスWRCで初優勝を飾り、昨年はMスポーツ・フォードから移籍してきたタナクがヤリスWRCを駆り、2位に30秒以上のギャップを築いて独走優勝を果たした。
また、過去3勝を誇るラトバラを筆頭に、3名のドライバーはいずれもラリー・フィンランドを制した経験を持っていることからトヨタチームの母国ラウンド3連覇に期待がかかる。
「(フィンランドの)ハイスピードなグラベル(未舗装路)を走ると、いつも本当に楽しい気分になるんだ」と語るのは、母国戦に臨むラトバラ。
「自分にとってフィンランドの道はホームのようなものだ。2018年はフィンランドで表彰台に立ち、シーズンの流れが良い方向に向かった。だから、今年もそうなることを期待している」
また、ミークは「僕が初めてヤリスWRCを運転したのはフィンランドだった」と語り、「フィンランドの道でのヤリスWRCは、いつも信じられないくらい素晴らしいフィーリングなんだ」と続けた。
第8戦終了時点でドライバーズランキング首位にたっているタナクは「昨年このラリーで優勝した時は最高の気分だったよ」とコメント。
「もちろん、今年も同じ結果を望んでいるけれど、金曜日はSSの出走順が1番手なのでより困難な戦いになると思う」と語っている。
■トミ・マキネン代表「勝つチャンスは充分にあるが、油断はできない」
チームを率いるトミ・マキネン代表は「言うまでもなく、ラリー・フィンランドは我々チームにとって特別な一戦だ。過去2年間優勝しているし、3戦3勝も充分可能であると考えている」と自信を覗かせた。
「我々はステージと道の特徴を熟知している。また、クルマもフィンランドの道にとても合っていると思う。3人のドライバーはこのラリーを気に入っており、全員優勝経験があるので、勝つチャンスは充分にあると考えているよ」
「とはいえ、ライバルもまた、このラリーに向けて一生懸命改善に取り組んできているため、油断はできないだろう。最高の結果を得るためには、集中し全力でラリーに臨む必要があるね」
8月1日に開幕する今季のラリー・フィンランドは、コースの約65%が更新された2018年大会と多くのステージが重なる。競技は初日の夜、ユバスキュラ市街地でスタートを迎え、ターマック(舗装路)とグラベルの両路面を走行する『ハルユ1』で最初のSSが実施される。
翌2日からは本格的なグラベルステージに移り、各チームと選手たちは4日間で合計距離307.58kmに達する23本のSSを戦っていく。今ラリーのリエゾンを含めた総走行距離は1373.67kmだ。