ハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーは、2週間前に開催されたF1第10戦イギリスGPのオープニングラップに発生した同士討ちと2台揃ってのリタイアについて、今も激しい怒りが収まっていないと明かした。
ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンは、イギリスGPの決勝レースの1周目に、ターン5に入るところで接触した。双方のマシンがともに激しく損傷し、結局ふたりともレースからのリタイアを余儀なくされた。
レース直後、シュタイナーはふたりに対して怒りをあらわにしていた。チームにとって、シルバーストンで貴重なデータを蓄積し、ポイントを獲得できそうな機会が台無しになったからだ。
「自分ではまだ切り替えられていない」と、今週シュタイナーは認めた。
「あの時、彼らにはそれなりのチャンスがあった。今シーズンの我々は、複数のレースで苦戦してきたのだ。ふたりは私個人の期待を裏切ったのではない。チームの期待を裏切ったのだ。そのことに失望している」
「先に話したように、私はまだ切り替えられていない。普段ならすぐに切り替える性格だが、今回は別だ」
「我々は第5戦スペインGP(での同士討ち)の後に話し合って、やるべきこととやってはいけないことについて明確にした。それが守られなかったことにがっかりしている」
「ふたりともチームの現状を理解する必要があるが、それができていないことに私は失望している」
■ハースF1、2020年のドライバーラインアップは夏休み後に決定か
これほど激しい言葉からは、グロージャンとマグヌッセンがチームオーダーを守れないという今の状況を止めるために、シュタイナーがどちらかひとり、あるいはふたりを2020年にチームから外すという最後のステップに踏み切る可能性も感じられる。
その可能性について問われたシュタイナーは、「私の権限については分かっていると思う。私には多くのことができるが、今はまだどうするか分からない」と語った。
「来年に向けてどうするのかについては、(サマー)ブレイクの後に決定する。ブレイクが終われば、ドライバーに関するすべてが決まっているはずだ」
「スパ・フランコルシャンで、皆さんが全員集まってドライバーに関する我々の決定を聞いてくるだろう。そのとき私は、『ほぼ決まっている。あと少し段階を経たうえで話すつもりだ』と言うはずだ」
イギリスGPの予選で、ハースは苦しい戦いを強いられ、マシンに開幕戦仕様の空力コンポーネントを積んだグロージャンが14番スタートとなり、さらにマグヌッセンがそのすぐ後ろの16番グリッドに並んだ。
だがシュタイナーは、決勝レースでふたりがリタイアさえしなければ、ともに順位を上げるチャンスがあったはずだと考えている。
「金曜日(のフリー走行で)は、ロングランのタイムは非常によかった。比べてみれば分かる」
「それが決勝でも続けば、100%とは断言できないまでも、良いレースができる可能性は高かったはずだ。それがターン5でふいになってしまった」
2019年シーズンのハースは、直近4レースで連続してポイントを獲得していない。現在コンストラクターズ選手権ではトロロッソとウイリアムズにはさまれて、ランキング9位と低迷している。
9位という現状についてシュタイナーは、「今のポジションはチームの実力を反映していないと思っている」と語った。
「浮き沈みの激しいシーズンを送っている。良いレースができたかと思えば、次に何らかの形で悪い戦いをしてしまう。非常に苛だたしい状況だ」