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WEC:トヨタ、ライバルとの“接近”を歓迎。「プライベーターは間違いなく勝てる」

2019年07月26日 12:11  AUTOSPORT web

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2019/20年WECプロローグで総合首位となった7号車トヨタTS050ハイブリッドと同3番手につけた1号車レベリオンR13・ギブソン
TOYOTA GAZOO Racingのテクニカルディレクターを務めるパスカル・バセロンは今週、スペイン・バルセロナで行われたWEC世界耐久選手権の公式テスト“プロローグ”の結果を基に、2019/2020年シーズンはLMP1クラス内で他陣営との優勝争いができるだろう考えている。

 7月23~24日、スペインのカタロニア・サーキットを舞台に行われた2019/2020年WECプレシーズンテストは、7号車トヨタTS050ハイブリッドと8号車トヨタTS050ハイブリッドが、全4回のセッションすべてでトップ2を独占する結果に終わった。

 しかし、総合トップタイム1分29秒141をマークした7号車トヨタと総合3番手につけたレベリオン・レーシングの1号車レベリオンR13・ギブソンのギャップはわずか0.267秒で、首位と約0.5秒差の4番手となったチームLNTの6号車ジネッタG60-LT-P1・AERをはじめ、今回のテストに参加した計4台のプライベーターLMP1カーはいずれも王者トヨタに対して1.1秒以内に迫ってみせた。

 トヨタはこのテストの間、ロングランと新しいミシュランタイヤの仕様開発に集中していたが、それでもバセロンはノンハイブリッドカーを走らせるプライベーター勢の賜わぬ努力の成果に感銘を受けたという。

「今年の傾向はチャンピオンシップにとっては非常に良いものだと言える」とバセロン。

「レベリオンのペースは驚くべきことではない。だが、ジネッタ(チームLNT)が達成したことは注目に値する。これは選手権にとって良い動きだ」

「トヨタ、レベリオン、ジネッタ、皆が非常に接近している。上位4台が0.5秒以内に収まった結果はプライベーターチームに大きな勢いを与えていると思うよ」

「彼らがレースで勝てるウインドウの中に居ることは確かだろう。そして、我々が(テスト前に発表された)サクセスハンディキャップを受けたとき、プライベーターチームは間違いなく勝つことになる」と断言する。

 また、バセロンはプロローグ前にトヨタに課された、14kgのマシン重量増加がプレシーズンテストのタイムに反映されたことを確信している。

 しかし、彼はトヨタのクルマが昨シーズンのどのラウンドよりも重い状態であっても、9月に行われる開幕戦シルバーストン4時間レースでは、勝利に向けた戦いを期待できると強調した。

「シルバーストンは、カタロニアよりもう少しグリップがあり高速コーナーが多いが、ダウンフォースを必要とするいう同じ性格のサーキットなのでデータ的にはかなり近いところにあるはずだ」とバセロン。

「そこでもレベリオンは我々のすぐ近くにいるものと確信しているよ。今や、彼らは我々と一緒に前線で戦う準備ができているはずだ」

「ジネッタは2、3戦分の時間がかかるかもしれないが、(優勝を争う)3つめのチームにふさわしいと考えている」

■レベリオンはオフシーズンの規定変更に満足

 レベリオン・レーシングのチームオーナーであるアレキサンドレ・ペシは、バルセロナでのレベリオンR13のペースに満足していると言い、2019/20年シーズンはLMP1クラスで優勝争いが展開されるというバセロンの主張に同意した。

「WECとFIA、ACOフランス西部自動車クラブの技術部門がノンハイブリッド車のための規制に変更を加えたことで今シーズン、我々の競争力は確実に高まるだろう」と語ったペシ。

「私たちのチームはクルマの開発を続け、(テスト2番手の8号車)トヨタTS050ハイブリッドとラップタイムで0.221秒差に近づいた。さらに、このプロローグよって、レベリオンR13に搭乗する新しいドライバーをテストすることができた」

「来月開幕するシルバーストン4時間レースでは新しいEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)の下、本当の意味でLMP1カテゴリーを戦うことができることを願っているよ」