鈴鹿8耐ウイークでようやくそろったヤマハワークスライダー 2019年の鈴鹿8時間耐久ロードレースで5連覇に挑むヤマハのファクトリー(ワークス)チーム、YAMAHA FACTORY RACING TEAM。今年は第2回公式合同テストで3人のライダーがようやく集結。7月26日からスタートする公式予選を前に、中須賀克行、アレックス・ロウズ、マイケル・ファン・デル・マークの3人にチームの状況などを聞いた。
ファン・デル・マークがスーパーバイク世界選手権(SBK)第7戦イタリア(ミサノ)で右手首とろっ骨2カ所を骨折したことにより、YAMAHA FACTORY RACING TEAMは一時、中須賀、ロウズの2名体制で鈴鹿8耐に挑むのではと予想されていた。だが、ファン・デル・マークは順調に回復し、第2回公式合同テストに登場。テスト初日から走行を重ねていた。
骨折の状況をファン・デル・マークに聞くと「何の怪我だい?」と一言いい、次のように状況を語った。
「(骨折に関しては)大丈夫だよ。スーパーバイクにも出られているし。いい調子だと思っている。(コンディションは)完ぺきではないけど、このイベントが大好きだから絶対にミスしたくない気持ちだ」
ファン・デル・マークが2019年仕様のヤマハYZF-R1を走らせるのは今回が初となる。第2回公式合同テスト初日に走行した感触については「いい調子だったよ。テストには参加できなかったけど、鈴鹿8耐に戻ってこられてうれしい」と語る。
「最初のライディングとしては、感覚を取り戻すために走っていた。タイヤ本数が限られているから、速さにはこだわっていない」
■ロウズ、ケニー・ロバーツデザインのヘルメットは「やりたいと自分から言った」
ファン・デル・マークの負傷について、スーパーバイク世界選手権のチームメイトであるロウズは「もちろん心配はしていたよ。彼の彼女と話し、そのときに最初に聞いたセリフが『鈴鹿までに回復したい』だったんだ。3人がそろうことは大切だし、レースに向けていい調子だよ」とコメントする。
2019年の鈴鹿8耐でヤマハはエースゼッケン21のオリジナルである、1985年の鈴鹿8耐に参戦したヤマハTECH21(テック21)チームの復刻カラーで戦う。テック21カラーのマシンは30年以上前のことになるが、ロウズはこのカラーについては「もちろん知っているよ。昔の写真を見ていたからね。この色は個人的に好きだし誇りに思っている」と話す。
また、今回ロウズは当時ライダーに起用されたケニー・ロバーツの黄色いヘルメットを模したヘルメットデザインで走行している。このヘルメットデザインについてはこう語る。
「(ケニー・ロバーツは)昔から知っていて、すごく好きなライダーだったから、自分からやりたいと自分から言ったんだ。彼のヘルメットデザインで走れてうれしいよ」
■中須賀、3人集結し「落ち着ける」
チームを引っ張る中須賀は、ファン・デル・マークの転倒をライブで見ており、気にかけていたという。
「マイケル選手のことはもちろん心配していました」と中須賀。
「彼らのレースは今年開幕から気にして見ていますし、(ファン・デル・マークが転倒した)レースをフリー走行から見ていました。まさかあんな転倒をするとは思っていなかったので、思わず大声を出してしまいました」
「転倒も激しかったので心配していたのですが、メールで鈴鹿8耐にはなんとか間に合うという言葉は聞いていたので、戻ってくることを信じていたし、ウイークに入って3人そろって自分も落ち着けます。いいスタートを切れたと思っています」
ロウズ、ファン・デル・マークとチームを組むのは今年で3年目を迎える。「3人で連覇を成し遂げてきましたし、このチームで組むのは3年目。レーシングライダーなので、もちろんライバルではありますが、お互いがリスペクトし、尊重しあえているので、一緒のレースを戦う友としての気持ちが強いですね」
マシンについては「去年、自分が土曜日の走行で怪我をして、(決勝は)彼らの好きなポジションで走ってもらったので、まずはそこに自分が合わせられるように考えながらテストを進めてきたつもりです。あとは乗ってみてですね。このウイークでも少しずつ変えながら、いい方向に進んでいます」とコメント。
決勝レースで目標に掲げている220周の周回数については次のように語る。
「220周を目標に設定していないと勝利はないと思っているし、実際、2016年には218周は達成したので、219周は行けたと思います。年々、各チーム、メーカーも力を上げているので、1周でも多く目指さないといけません。そこを目標にし、チーム一丸となって挑戦することが勝利への近道だと思っているので、220周が可能かどうかは状況もあるのでわかりませんが、とにかくそこを目指していくだけです」
鈴鹿5連覇をかけた戦いに挑むYAMAHA FACTORY RACING TEAM。最後に中須賀はこう締めくくる。
「3人そろって走ることを楽しみにしていましたし、やるべきことは毎年一緒です。勝ちを目指してライダー、チームが力を合わせてやっているので、そこを達成して表彰台の真ん中に立てるようにやっていきたいです」