デンマークのハイクラス・レーシングから、WEC世界耐久選手権のLMP2クラスに参戦する山下健太。スペイン・バルセロナで行なわれたプロローグテスト2日目、午前のセッションを終えた山下に、現在の感触などを聞いた。
テスト初日午前のセッションから、チームのベストタイムをマークした山下。初となるスポーツカーにも「10周くらいしたら、もう大丈夫でした」とマシンへの適合はすでに問題がなく、「コースも難しくないですし」と飄々と語る。
初日午後のセッションでもチームベストをマークし、早くもチームからはセットアップのメイン担当、そしてニュータイヤでのアタック担当も「なんだか自然と、流れで」任されるようになってきた。
チームメイトがシルバー&ブロンズカテゴリーのドライバーということもあり、日本の一線級で戦う山下が“エース格”となるのは当然とも言えるが(山下のFIAドライバーカテゴライゼーションはゴールド)、初めての環境への適応能力はさすがといったところだ。
山下によれば、LMP2ベストセラーのオレカ07は「違和感なく乗れます。GT500よりも遅いけど、車重が軽いので動きはシャープに感じる」という。「ちょっと重いF3」という表現もあてはまるようだ。
2019/2020年シーズンよりLMP2クラスに供給を開始したグッドイヤーのタイヤは、“低値安定”型。トガったところもなく、「タイヤウォーマーが使えるので、走り出してすぐにグリップが引き出せる」と、タイヤのウォームアップに関する苦労はない。この点は、習熟の早さを助けていると言えるだろう。
チームのエンジニアの判断も的確で「セットアップもどんどんよくなっている感じがする」と山下は語る。その言葉どおり、取材後の2日目午後のセッションでは山下のドライビングでチームベストとなる1分33秒5をマークした。
チームとの作業も問題なくこなし、海外メディアの取材にも英語で受け応えしていたが、コミュニケーションの部分は「全然ダメです。スーパー・カタコト英語みたいな感じなので……」と山下。とはいえ、2日間という限られた時間ながら、マシンへの適合と開幕への準備という面では、ひとまず耐久レースを“戦える”レベルに達したようだ。
2日間のテストで、初めてのマシン、初めてのチームながら、山下は濃密な時間を過ごした。今回の山下のプロローグテストについては、『auto sport』8月2日発売号にて、より詳しくお伝えする。