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KinKi Kids、THE ALFEEとのジャンルの枠を超えた関係性 「メリーアン」コラボまでの軌跡を辿る

2019年07月24日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド編集部

 7月24日に放送される『FNSうたの夏まつり』(フジテレビ系)で、KinKi KidsとTHE ALFEEがコラボレーション企画で共演することが発表された。楽曲は、THE ALFEEの代表曲の1つである「メリーアン」。『堂本兄弟』『新堂本兄弟』(ともにフジテレビ系)で共演することも多かった2組のコラボセッションには、2組のファンのみならず『堂本兄弟』ファンからも熱い注目が集まっている。


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 2001年から2004年までの間、フジテレビ系で放送されていた『堂本兄弟』。その後2004年10月からは『新堂本兄弟』にリニューアルし、2014年まで放送される長寿番組となった。KinKi Kidsと様々なミュージシャンがトークを繰り広げたり、コラボセッションを披露したりといった、この番組でしか見られないような貴重な企画にファンは多く、放送終了後も特番が組まれたりと、KinKi Kidsファンのみならず“伝説の番組”として語り継がれている。


 そんな『堂本兄弟』『新堂本兄弟』に出演していたミュージシャンは、西川貴教や槇原敬之など第一線で活躍している豪華な面々ばかり。中でもKinKi Kidsと親交が深く、トークもセッションも好評を博したのがTHE ALFEEだ。


 前身番組『LOVE LOVE あいしてる』に坂崎幸之助(Vo/Gt)がレギュラー出演、バックバンド・LOVE LOVE ALL STARSのギタリストを担当。THE ALFEEがゲスト出演する機会もあった。その後『堂本兄弟』でKinKi Kidsのパフォーマンスの際にバックバンドを務める「堂本ブラザースバンド」のギタリストとして、高見沢俊彦(Vo/Gt)が参加。高見沢は番組内で披露する曲の解説を行うコーナーも持っており、THE ALFEEのメンバー全員がゲストとして出演し、KinKi Kidsと一緒に楽曲のパフォーマンスを見せることも多かった。


 『新堂本兄弟』の放送が終了後も2組の共演は続き、現在放送中のKinKi Kidsの冠番組『KinKi Kidsのブンブブーン』(フジテレビ系)にも高見沢がゲスト出演。音楽番組などでの共演も多く、“ジャニーズアイドル”と“ロックバンド”という枠を超えた良き先輩・後輩関係が形成されているようだ。


 元々KinKi Kidsはジャニーズグループの中でも高い歌唱力と楽曲のクオリティに定評があり、メンバー2人ともが作詞作曲の素養を有しているという点でも異色のユニット。またこれまでにもTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉や玉置浩二、山下達郎など様々な有名ミュージシャンからの楽曲提供を受け、幅広い音楽性を表現し続けている。剛はソロアーティストとしての存在感も大きく、光一も自身主演の舞台『Endless SHOCK』の音楽を手掛けている。ジャニーズグループでは唯一、MTV主催のアコースティックライブ『MTV Unplugged』に出演した経験もあるほどだ。


 そんな、ミュージシャンとしての高い評価と実力をKinKi Kidsが身に着けたのは、『堂本兄弟』でTHE ALFEEをはじめとしたミュージシャンと共演し、その音楽性や人柄に親しむことで学んだものが大きいのではないだろうか。


 THE ALFEEは今年デビュー45年を迎える長寿バンドだ。これまで大きなメンバーチェンジもなく、フォークソングを源流に持ちながらもロックやメタルまで様々な音楽性を貪欲に吸収しながら活動を続けている。桜井賢(Vo/Ba)、坂崎、そして高見沢の3人ともがリードボーカルを執り、スイッチボーカルができるため、豊かな表現力に魅了されるリスナーは現在でも尽きない。そのクリエイティビティや表現力の高さと仲の良さが、それぞれの音楽活動を貪欲に拡大しながらも2人で支え合い、結成から26年もの長い時間を過ごしてきたKinKi Kidsに与えた影響は決して少なくはないだろう。


 KinKi Kidsが2013年にリリースした『L album』には、高見沢が提供した楽曲「命のキセキ」が収録されている。“LOVE”と“LIFE”をテーマに、奥田民生や矢野顕子などの豪華なミュージシャンが制作した楽曲が集結した中、高見沢は“LIFE”をテーマに制作されたこの楽曲の中で、〈倒れても立ち上がる 逃げない勇気を持て/挫折の涙をバネにして 夜の闇を駆け抜けろ〉とKinKi Kidsへのエールのような歌詞を綴っている。


 45年以上もの長い活動の中で、THE ALFEEにも決して順風満帆とはいかない時期もあっただろうことは想像に難くない。KinKi Kidsも同じように、決して順調なだけの活動ではなかった。“アイドル”と“バンド”というスタンスは異なりながらも近しい部分のある2組の間には、この2組にしかない関係性が確かに存在しているのだろう。


 今回『FNSうたの夏まつり』でKinKi KidsとTHE ALFEEがコラボセッションをする「メリーアン」は、ロックサウンドを基調としつつも哀愁のある歌メロと切なく情感豊かな歌詞で、THE ALFEEのファンのみならず幅広い層のリスナーを魅了してやまない名曲だ。切なく狂おしくもどこか耽美的でストーリー性を感じる楽曲の世界観は、KinKi Kidsの楽曲のすべてに通底する歌謡曲的な雰囲気にも通ずるものがある。番組のパフォーマンスではどんな音色を聴かせてくれるのか。今後のKinKi KidsとTHE ALFEEの共演にも引き続き注目したい。(五十嵐文章)