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F1本来の魅力を演出したフェルスタッペンとルクレールの限界バトル【今宮純のイギリスGP採点】

2019年07月23日 18:11  AUTOSPORT web

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2019年F1第10戦イギリスGP決勝 マックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレールのバトル
F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回はF1第10戦イギリスGP編だ。

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☆ ランド・ノリス(マクラーレン)
 予選8番手/決勝11位


 稀に見るタイプの新人だ。F1以前のカテゴリーのときよりデビューしてからぐんぐん伸びてきている。なにより予選の一発能力、第7戦カナダGPから4戦連続でチームメイトのカルロス・サインツJr.を上回った。

“レースメイキング”などマスターすべき点はまだあっても、19歳ですっかりマクラーレン色に染まりつつある。母国GP直前にチームが来季体制の継続を発表したのも分かる(フェルナンド・アロンソはもういらないという意味も含めて)。

☆☆ ダニエル・リカルド(ルノー)
 予選7番手/決勝7位


 低速コーナーはベター、高速域ではコントロールがシビア。そんな今のルノーのパフォーマンス特性でプッシュするのが彼の真骨頂だ。FP2ではパワーユニット(PU/エンジン)関連のトラブルでロングランができなかったが、決勝でサインツと6位バトルを展開した。

☆☆ ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
 予選17番手/決勝9位


 土曜までなりを潜めていたのに入賞圏までくるとは“実戦派”クビアトらしい。一夜をはさみ、パルクフェルメでマシンをいじれなくても“心をセットアップ”。走りを自己修正したのだろう。

☆☆☆ アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)
 予選9番手/決勝12位


 今シーズンでもっとも難しい、試練のレースだった。“パワーユニットの高電圧(異常値)”症状が起き、13周目にミディアムタイヤに換えてからピットインができず、そのまま走り続けるしかない危機にさらされた(ピットインしてタイヤ交換するとメカニックたちが感電する恐れあり)。

 そのまま39周をカバーするのはタイヤ摩耗の限界点に近く、入賞圏内にいながら最終盤に次々抜かれた。どんなに悔しかったことだろう。タイ国籍でもイギリスは準・母国GPだっただけに……。

☆☆☆ キミ・ライコネン(アルファロメオ)
 予選12番手/決勝8位


 みるからにストレートが遅い今回のアルファロメオC38。しかしコーナーではなんとかできる。そう察知したベテランは“メリハリ”が効いたドライビングでワンストップ作戦に没頭。いつのまにかの8位ではない、ベテランらしい3戦連続の技あり入賞だ。

☆☆☆ カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
 予選13番手/決勝6位


 復興への階段を速足で上りだしたマクラーレン。どんどん投入されるアップデートを試し、評価を下す彼の判断力がマクラーレンMCL34を軌道に乗せている。まさに“走るエンジニア”だ。2018年のコンストラクターズランキングは6位=62点。現在第10戦時点でランキング4位=60点。後半戦のマクラーレンはどこまで伸ばせるか。

☆☆☆ バルテリ・ボッタス(メルセデス)
 予選PP/決勝2位


 1000分の6秒差でハミルトン5年連続PPを阻んだラップ、ぎりぎりまでマゴッツ~ベケッツ~チャペルを攻めた結果だ。ルイス・ハミルトンに対抗したアタックは素晴らしかった。だが結果としてセーフティカーがらみの戦略面で太刀打ちできなくなり、今季10戦で5度目の2位に。スタート後、引くことなくメルセデス勢の迫真バトルを見せたのは敢闘賞に充分に値する。

☆☆☆☆ ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)
 予選5番手/決勝4位


 急にドライビングが一変したわけでもないが、FP1トップ発進のフランス人に新しい波を感じた。さらに日曜に驚いたのは相手が誰だろうと、迫力の接近戦をつづけたクロスプレー。

 シャルル・ルクレールとのバトルが自身を完全に蘇らせるきっかけになった(のではないか)。これまでのキャリアを顧みてもガスリーは徐々にレベルアップしていくタイプ。後半にレッドブル・ホンダ1-2もありえるか……。

☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
 予選4番手/決勝5位


 第9戦オーストリアGPでの歓喜の1勝後、彼らは空力バランスと土曜から使用するホンダPUをさらに最適化。ピークモードを必要なときにしぼり込む“使い方”を入念に設定した。

 フリー走行まではガスリーが先行、予選からスロットル全開アタック、そこで出力のラグ症状が出て予選4番手。惜しまれるが今後への糧になるだろう。

 それにしてもセバスチャン・ベッテルに追突され、宙を舞い、着地しながら復帰して自己ベストラップ・ペースは鬼神のようだった(RB15は頑丈な戦車みたい)。

☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
 予選2番手/決勝1位


 剣闘士か勝負師か。バトル・オブ・シルバーストーンをしめくくる最終周の最速ラップは圧巻だった。2年前の1分30秒621を3.252秒も短縮するコースレコード。30周以上したハードタイヤで『データを超える』ハイパーラップ、日曜に予選アタックをもういちど14万1000人に見せた王者。

☆☆☆☆☆ルクレール(フェラーリ)
 予選3番手/決勝3位


 アグレッシブでもラフなドライビングではなかった。フェルスタッペン、ガスリーとのせめぎ合いこそ『F1本来の魅力』。いつからかサーキットはハイテクパークになっていたが、ワンダーランドであってもいいのではないか……。

 いまフェラーリSF90を完全に自分のものにしているから、攻撃も防御も自由自在にできる。カナダGPから4戦連続表彰台。ルクレールのほうがベッテル以上の戦績を連ねている――。