イギリスが誇るスポーツカー専業メーカー、ロータスは7月16日にロンドンで英国初となる電動エレクトリックハイパーカーの『Lotus Evija(ロータス・エヴァイア)』を世界初公開。競争加熱が見込まれるこのジャンルで、ロータスらしい超軽量カーボンモノコックを採用した同モデルは、目標2000馬力という市販車世界最高出力を掲げている。
イギリス北東部ノーフォーク州の小さな村へセルを拠点とし、同テストトラックやスネッタートン・サーキットなどのモータースポーツで身を起こした老舗スポーツカーメーカーは、現地火曜にロンドン市内の王立園芸ホールでこの“ウルトラ・ライトウエイトEVハイパーカー”のラウンチイベントを催した。
世界の自動車業界関係者やビジネスパートナー、テクノロジーやデザイン系メディアに加えて、イギリス産業界の要人や政府関係者、そしてグループ・ロータスの筆頭株主としてブランドを傘下に収めた中国・吉利汽車(ジーリー)の上級幹部ら、350人のVIPゲストを前にアンベイルが行われた。
WEC世界耐久選手権やABBフォーミュラE選手権など、電動コンポーネントを用いたモータースポーツ・カテゴリーで技術ノウハウを蓄積する、ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(WAE)との協業で開発されたこの最新ハイパーカーは、目標最高出力で2000馬力、最大トルク1700Nmという途方もない数値が掲げられ、0-62mph(0-100km/h)加速は3秒以下、最高速は320km/h越えのパフォーマンスを示すという。
各ホイールに内蔵された4つの電気モーターと床下の低い位置にマウントされた毎時70kWh、最大容量2000kWのバッテリーを搭載しつつ、フルカーボンファイバーボディを採用することで「EVハイパーカークラス最軽量」の車両重量1680kgを実現。最大航続距離も400kmを誇っている。
2020年に生産開始を予定する『ロータス・エヴァイア』は、現状130台の限定生産となり、その販売価格には2.1億ドル(約2億1600万円)のプライスタグがつけられた。
ラウンチイベントに出席したロータス・カーズCEOのフィル・ポッパムは、このエヴァイアが「エンジニアリングとデザインの分野でロータスを再定義するモデルであり、これまでのロータス全モデルと同じく“For The Drivers(ドライバーのために)”をテーマに誕生した」と説明。
同じくデザインディレクターのラッセル・カールも「エヴァイアは歴代のどのモデル、これまで行ってきたどんな達成すらも超越した存在になった。我々は今、とても美しくて、とても新しく、劇的にユニークなものを生み出した」と、その完成度に自信をみせる。
これまでのロータスの伝統にならって、ミッドシップに搭載された最大重量物のWAE製バッテリーパックは、ガラス製リアスクリーンから視認することが可能な演出も施され、車両重量配分、空力性能、居住性など相反する要素を最適化したマウント方法を採った上で、将来的には(モータースポーツなどトラック性能を重視した性能向上など)代替バッテリーを簡単にインストールできる設計とされた。
4つのインホイールモーターとシリコンカーバイト製のインバーターは、同じくイギリス産業界を代表する技術企業のインテグラル・パワートレイン社から供給され、その全長100mmとコンパクトな円筒形のモーター・インバーターに内蔵されるシングルスピード・ヘリカルギヤ&プラネタリボックスが各輪の駆動力を制御。
1輪あたり500PS以上の出力を並外れた応答性でコントロールし、"フィールを優先するため"に電動油圧式とされたステアリングとの協調で、完璧なトルクベクタリングによるコーナリング性能を提供する。
もちろんトラックモードも備え、ロードゴーイング版にして桁外れのサーキット性能も備えた『ロータス・エヴァイア』は、仮想ライバルとしてイタリアのピニンファリーナとクロアチアの新興EVメーカー、リマック・アウトモビリが発表した『C_Two』を想定しており、こちらはポルシェと韓国のヒュンダイ、キア両社がプロジェクトに資本参入している。