ルノーF1チームのニコ・ヒュルケンベルグは、今季が彼にとって、F1でのシートを維持する価値があるか否かを判断する最後の1年になるというパドックの噂には、特に驚いていないと語っている。
31歳のヒュルケンベルグは2010年のバーレーンGPにおいてウイリアムズからデビューを飾って以来、これまで166戦のグランプリに出場してきた。しかし9年半にわたるシーズンをF1で過ごしてきたにもかかわらず、彼はいまだに一度も表彰台に上がれていない。
「正しいタイミングで正しい場所にいて、正しいマシンに乗り、正しいチームに所属している必要があるんだ」とヒュルケンベルグはF1公式サイト内で語っている。
「残念ながら僕はキャリアの中で、タイミングが完璧だったことが一度もない。スイートスポットにあったことがないんだ」
「もちろんレースで勝利を飾ったり、チャンピオンになったりはしたいよ。けれども、そうしたことがF1でどのように決まるかを僕らは承知している」
2019年シーズンこれまで、彼はトップ10圏内でのフィニッシュを4回達成している。なかでもメルボルンとモントリオールでは、新たなチームメイトであるダニエル・リカルドとの戦いの末、最高位の7位につけた。
ルノーのなかではリカルドの方がヒュルケンベルグよりも少しばかり優位な立場にいるようであり、ヒュルケンベルグがF1で過ごせる期間が終わりつつあるのではという囁きも聞こえてきている。
噂についてヒュルケンベルグは「そんな話を聞いたのは初めてだ」と答えた。
「けれども、驚いてはいないよ。僕らがやっているのは、非常にパフォーマンスを重視する競技とビジネスだし、普通のことだ。パフォーマンスが良くなければ、自分が気がつく前に追い出されてしまう。だから心配もしていないし、驚きもしない」
「僕の、自分自身に対する期待値はとても高いんだ。そしてもちろんチームも同じだ。彼らは理由があって僕を雇っているのだから、ドライバーとしては当然、結果を出さなければならない」
ヒュルケンベルグは、チームがトップ3に挑戦できるだけのマシンを提供できるようになることを切望しているが、それは実現しないだろうと認めている。
「そうしたことは保証されていないし、保証されていることなどなにもない」とヒュルケンベルグは言う。
「確かに多くの投資がなされてきて、多くの作業が注ぎ込まれている。設備は今ではかなり変わって、作業は早くなった。ファクトリーのインフラもそうだし、多くの人々が働いている」
「チーム全体のオペレーションが成長を遂げたんだ。これまでの1年間で、多くの良いことが起きるのを目にしてきた。今では良い基礎ができあがっていると感じる」
「けれども僕らは、そうしたことを証明しなければならないんだ。仕事をやり遂げる必要がある。だからこそ、僕らは長い道のりを歩んでいけると確信している。どれだけの道のりになるかって? 時間が経てば分かるよ」
「全体として感じるのは、自分がハッピーで良い場所にいるということだ。もちろんもっと良い状況だったらよかったけれど、過去に対して大きな後悔や苦い思いはないよ」
2015年にル・マン24時間で勝利を飾っていはいるものの、もしもヒュルケンベルグが新たな居場所を探し始めるとしたら、おそらくそれは耐久レースではなく、F1内でのことになるだろう。
「2010年にF1で走り始めたとき、僕の確かな目標や意志は、F1で長く良いキャリアを築き上げることだった。F1ドライバーであるということは、僕が常に追い求めてきたことだ」
「良いキャリアを築いてきたと思う。僕はいつだってベストを尽くしてきたと感じているし、しばしば自分が手にしていたものから、それ以上のパフォーマンスを発揮してきたと思っている」
「レースに勝てるマシンを持っていないなら、それが自分にできる精一杯のことだよ」