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伊沢拓司率いるQuizKnockの動画はなぜ面白い? “クイズ王”ならではの企画力に迫る

2019年07月22日 18:02  リアルサウンド

リアルサウンド

伊沢以外にクイズ王はいないの!?ガチ早押し大会でクイズ王決定

 クイズって、やっぱりおもしろい。QuizKnockの動画をみているといつもそう思う。テレビで観てきたクイズバラエティ番組を更新する勢いすらあるのではないかと。


(関連:伊沢拓司率いるQuizKnock、『沼にハマってきいてみた』出演 メンバーの実力が分かる動画は?


 “クイズ”に特化した動画を週4~5本アップしているYouTubeチャンネル・QuizKnockは、東大生クイズ王の伊沢拓司を中心とするクイズプレイヤーたちによって構成されている。登録者は77万人、総再生回数は3億回越え(2019年7月22日現在)と、成長著しいチャンネルだ。彼らの動画はなぜここまでおもしろいのか? なぜ次々に再生ボタンを押してしまうのだろう? そんな理由の一端に迫っていきたい。


■流行りや定番に加えられる“ひねり”の巧さ
 まずもって飛び抜けているのは、一つひとつの動画のクオリティ、そして彼らの企画力の高さだろう。QuizKnockの動画には、ナンジャモンジャゲームなどのボードゲームやテレビのクイズバラエティ番組を基にしたものから、まったくのゼロベースで作り上げられるものまで、たくさんのおもしろい企画があるわけだが、そのすべての動画に今までに観たことのない“ひねり”が効いている印象だ。


 具体的な例として取り上げたいのは、「Google翻訳翻訳クイズ」というクイズ企画を披露した動画。言わずもがな高精度を誇るGoogleの翻訳機能だが、日本語で書かれたクイズ問題を英語→中国語→ロシア語への翻訳を経て最後に再び日本語へと変換するとどうなるか、元の問題文からはかなりかけ離れたなものになるであろうその問題を解いてみるというものだ。たとえば「日の丸弁当において、ご飯の中央に乗せられる食材は何?」という問題が、「日光の米の中心部にはどんな食材を置くことができますか?」と変換されてしまうなど、元の問題文を導き出す推理力が求められる、文字通り“ひねりの効いた”動画になっていた。


 しかし驚いてしまうのは、すごく変な問題文になっていても、答えを導き出してしまうメンバーがいること。他にも、コンピュータを使っているとたまに目にするだろう“文字化け”に焦点を当てそれを読み解くことに挑戦する企画や、問題文を1文字ずつ開けていきできるだけ早く解答を導き出す企画など、高次元のクイズにチャレンジしながらもしっかりと解けてしまうのだから、ほんとうに恐ろしい……。東大生を中心にした頭のいい人たちが作り上げる動画というのは、それだけで特異的な魅力を発するのだ。


 一般的に“頭のいい”とされる東大生が、ある事柄に挑戦してみたらどうなるか。そうした視点が介入する動画もやはり人気コンテンツだと言えるだろう。たとえば灘中学校や開成中学校といった名門中学の入試問題を解いてみたり、Googleの入社試験に挑戦してみたり。あるいは読書感想文をどれだけ早く書けるか、ということを真剣に競い合ってみるなど、そこには常に彼らへの“期待”がはらんでいるように思う。そうしていつも視聴者の期待を上回る結果が出てしまうのだから、これほどの楽しさはないのだ。


■スポーツ観戦にも似た“観る快感”
 期待を常に上回ってくるという意味合いとも似ているが、QuizKnockの動画にはいつも“観る快感”が備わっているように感じられる。それはスポーツ観戦にも似た類の快感だ。QuizKnockの動画で展開されるクイズ問題というのは、レベルが高すぎるがゆえに、たとえば筆者のような凡人には到底答えることができない。それでも観ていておもしろいと思わされてしまうのは、彼らが“真剣に”クイズに取り組んでいる姿が、しっかりと描写されているからだろう。どの動画を観ていても、その“真剣さ”に胸を掴まれるのだ。これは他のYouTube動画を観ていても、なかなか得ることができないものでもある。


 真剣に取り組んでいるからこそのおもしろさ。それが一番あらわれるのは、ガチのクイズ問題にガチで挑戦する動画だろう。クイズプレイヤーとしての彼らの実力を直に垣間見ることができる企画だ。


 「クイズ王はひとりじゃなくてもいいのでは?」という疑問からクイズ王の伊沢拓司を除くメンバーで競われた「ガチ早押しクイズ大会」。これに関しては観ていただいた方が早いかもしれないが、観ればおそらくその真剣さと彼らの一挙一動に驚かされるはずだ。得てして、メンバー個々の魅力も浮かび上がってくる。それはもうほとんど、サッカープレイヤーを観ているのと同じ目線かもしれない、圧倒的なスキルへの畏敬のあらわれだ。


 こうしてYouTube界だけでなく、クイズエンターテイメント界をも揺るがし続けるQuizKnock。テレビや出版の世界への進出も目立っているが、本日7月22日には『沼にハマってきいてみた』(NHK Eテレ)にて「クイズ沼」という企画をプロデュースし、出演することも決まっている。どんな魅力的なコンテンツを届けてくれるのか。クイズのおもしろさを伝え続ける彼らの活躍に、今後も大いに期待していきたい。(文=原航平)