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「部下に仕事を任せられない。自分でやったほう早い」をやめるには 不安になるのは「あなたが部下をよく知らないから」

2019年07月22日 07:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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私が開催する"上司力セミナー"では、参加者から、メンバーに仕事を任せることがなかなか出来ないといった声が聞かれます。「自分がやった方が早い」「自分がやった方が安心」「メンバーに任して、失敗されたら困る」といった思いがあるようです。

今回はそのような思いを持つマネージャーの皆様が、部下に仕事を任せていく際に心がけていきたいポイントをお伝えしてまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

部下の育ってきた環境、強み、大切にしている価値観を答えられるか


仕事を部下に任せきれない原因は、皆様の心の奥底にある部下への不安です。そしてその不安は、部下をよく知らないために生まれます。

我々人間の脳は"知らない"といった状況を嫌います。知らない状況が起こると、脳の中には満たさなければならない空白が出来てしまいます。脳はその空白を埋めようとしますが、相手をよく知ることが出来ないと、空白は埋められません。すると脳は不安という感情を出してしまうのです。

さて、皆さんは部下のことを知っていますか?以下のような質問にすぐに答えられるでしょうか?

「部下はどのような環境で育ってきたのでしょうか?」
「部下はどのような強みを持っているのでしょうか?」
「部下が仕事で大切にしていることは何でしょうか?」

知っているようで知らないのが現実です。まずは、自分は部下のことを知らない、と認めましょう。

仕事を頼む時は、仕事の目的と部下の価値観をリンクさせる

まずは部下の生い立ちを聞いていきましょう。なぜならその生い立ちの中に、部下が培ってきた強みや価値観が隠されているからです。価値観とは部下が仕事で大切にしていること、もしくは仕事を通して得たいと思っている何かです。部下の価値観をマネージャーの皆さんが知れば知るほど、仕事を任せやすくなっていきます。

そして、掴んだ部下の価値観と、任せたい仕事の目的や意義をリンクさせながら仕事を任せていきましょう。任せられた仕事を通して、自分が大切にしている価値観を感じられたならば、やりがいを感じ、自律的に仕事をしていくようになるからです。

例えば"成長"を大切にしている部下の場合「この仕事をやり遂げることによって、ものすごい成長につながると思うよ。君に任せたいんだ!」と伝えるだけでいいのです。非常に簡単です。「価値観」のキーワードは、人を強く動機づけます。

成功体験を積ませ育てれば、マネージャーの時間が増える

さて、仕事を部下に任せられるようになってきたら、任せた仕事で部下を育成することを考えていきましょう。研修や上司からの薫陶でも人は成長していきますが、一番の成長源泉は成功体験です。任せた仕事をしっかりやり遂げるように応援し、成功体験を積ませてあげましょう。

これで部下が成長し、仕事をどんどん任せられるようになっていけば、マネージャーの皆さんの時間が増えていきます。増えた時間を、更に組織や人の成長に振り分けていきましょう。このサイクルが皆さんの上司としての力をますます上げていきます。

以上、なかなか仕事を部下に任せられない問題から、部下に仕事を任せ、上司としての力を向上させていくことに繋げるといったことをご説明させていただきました。まずは"部下のことを知る"ためのコミュニケーションの場を設定することから始めていきましょう。

【著者プロフィール】田岡 英明

働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント

1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。