2019年07月21日 12:01 弁護士ドットコム
姑による嫁いびりが原因でうつ病と診断されましたーー。姑に慰謝料を請求したいという女性が弁護士ドットコムに相談を寄せています。
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相談者夫婦はお互いにバツイチで再婚同士。相談者は子連れで再婚しています。姑とは結婚当初から同居していたようです。
姑は相談者に対して「連れ子のいない、もっと若い人にしろって(息子に)言ったのに…」などと嫌味を言ったり、毎日のように前妻の話をしたり、子どもを無視したりするなどの言動を繰り返していたといいます。
「仕事もできなくなり、未だに自傷行為をしたり、号泣したりすることがあります。何度も死のうとして、階段から飛び降りました」という相談者。離婚も視野に入れているようですが、姑に慰謝料を請求することはできるのでしょうか。
慰謝料は、精神的な苦痛に対する損害賠償のことをいいます。そのため、姑の言動によって精神的損害を受けたことを証明できれば、相談者は姑に慰謝料を請求することが可能となります。
ただし、慰謝料が認められるには、姑の行為が違法な「不法行為」であることが前提となります。つまり、相談者自身が精神的な苦痛を感じているだけでは慰謝料は認められず、姑の行為が「不法行為」であると認められなければならないのです。
そして、「不法行為」であると認められるためには、姑の行為が客観的にみて限度をこえている必要があります。たとえば、暴力があったり、追い出したりするなどの常識を逸脱した行為があれば、「不法行為」と認められる可能性はあるでしょう。
一般的に、姑に対する慰謝料請求は難しいといわれています。しかし、過去には、姑の言動が「不法行為」にあたるとして、慰謝料の支払いを認めた裁判例もあります。
今回の事例の場合、姑への慰謝料が認められる可能性はあるのでしょうか。
山口政貴弁護士は「あまりにも執拗かつ常軌を逸した言動が継続されるような場合には慰謝料が認められる可能性は十分にあります。もっとも、裁判ではそのような言動があったことを立証しなければなりませんので、本格的に裁判で争うのであれば、長期間にわたって姑の言動を録音しておく必要があるでしょう」と話しています。
【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/index.html