トップへ

F1新規則により全マシンが同じ形状になるとチーム側が懸念。ロス・ブラウンは「馬鹿げた不満」と反論

2019年07月20日 09:11  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

パルクフェルメに停められた各チームの2019年型マシン
F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、2021年に導入される新レギュレーションによって、次世代のF1マシンはどれも似通った形状になるという意見に対して発言した。現状とほとんど変わりはなく、その懸念よりも、レースの質を上げることの方が重要であると、ブラウンは述べている。

 F1は2021年に規則を大幅に変更するプランを立て、現在、正式な確定に向けて協議は最終的な段階に入りつつある。今週、F1は新規則のコンセプトを改めて説明、そのなかで次世代マシンの設計における空力面のアプローチについて概要を明かした。中心となるのは、オーバーテイクをしやすくし、競り合いをより面白くする目的で、グラウンドエフェクトカーの概念を復活させることだという。

 しかしながら各チームは、新たな指針や規則の適用がF1マシン設計者の独創性の幅を著しく狭め、結果としてファンへのアピールに乏しい、似たような外観のマシンばかりが作られることにつながるのではないかと懸念している。

 だがブラウンは、F1の新規則が果たすべき務めは何よりもまずコース上の戦いをより面白くすることだと主張した。さらに彼は、現行の各マシンも外観はみな似ていると指摘している。

「まず、我々は非常に規範的なスタンスで物事を進めてきた。そうでなければ目的は達成できないからだ」と、ブラウンは今週行われたF1の今後に関する概要説明において語った。

「どのマシンも同じように見えてしまうといった不満や、他にも馬鹿げた意見が我々のところに届いている」

「だから試しにパット(・シモンズ)が現行のすべてのF1マシンからカラーリングを外し、それらを(壁に)掲げてみた」

「カラーリングのない状態では、それぞれの違いは分からない」

「よほどのマニアでなければ、どれが何のマシンか識別できないだろう。我々のスタッフたちですら、3台を言い当てるのがせいぜいだったほどだ。現行のマシンでもカラーリングがなければ、分からなくなってしまうのだ」

■「チーム間の競争力の差を縮めることが重要」とブラウン

 ブラウンは新規則が制限的な本質を持つ可能性について否定はしなかった。だが、創造性に富む設計者やエンジニアがレギュレーションの隙間から何かを見つけ出し、結果としてそれによってマシン同士のより接近した競り合いという目的から外れてしまわないために、一定の障壁を設けることは必要なのだと語る。

「極めて明確化されたこれらのレギュレーションのなかでも、創造性豊かなF1の人たちは異なるソリューションを見つけ出すものと考えている」とブラウンは付け加えた。

「規則を明確化するのは、確実に目的を達成すべきだからだ。ただしそこには、十分な自由裁量の余地もある」

「各チームに比較的自由度がある現行の規則と比べれば、もどかしさの増す内容にはなるだろう」

「しかし、もしも彼らが『新規則は全チームに等しく適用されるものであり、どこかのチームが他よりも良い仕事をした場合、他とのタイム差は2秒ではなく、コンマ2秒になる』という前提で取り組むならば、それこそが我々の求めるF1だ」