KTMのロゴがボディカウルやリヤウイング翼端板などに散見される謎のGTカーがイタリア、モンツァで目撃された。この車両は現在、KTMとライター・エンジニアリングが共同開発を行っている車両で、両社によれば将来のレースプログラムの基礎形成を狙ったものだという。
オーストリアの二輪メーカーであるKTMとドイツの名門チューナー、ライター・エンジニアリングが制作したコンセプトカーは最近、イモラで実走テストを行った。
FIA-GT4規格のKTMクロスボウGT4と比べ、そのボディサイズは大きく、まったく新しいフロントエンドエアロやリヤディフューザー、リヤウイングを備える同車だが、その内部に搭載する動力限は小排気量。アウディ製2.5リットル5気筒ターボエンジンが採用されている。
「今のところは単なるコンセプトカーだ」と説明するのは、ライター・エンジニアリングの創設者兼オーナーであるハンス・ライター氏。
「(提携相手である)KTMは、このようなコンセプトに将来性があるのかを知りたがっているんだ。最近のGTカーをみるとV8ターボのような大排気量のエンジンが搭載されているが、我々のクルマは5気筒ターボを積んでいる」
「いま、私たちはテストを重ね、このコンセプトを使用して何ができるのかを確認しているんだ」
複数の情報筋がSportscar365に伝えたところによると、KTMとライターはSROモータースポーツ・グループが提唱している“GT2”向けの車両を製造する計画を持っているという。これが事実であれば、新しいGTカテゴリー向けに車両を公開したアウディや、マシン投入が噂されるポルシェといった欧州のプレミアムメーカーと肩を並べることになる。
しかし、KTMとライターは新しいコンセプトカーがGT2カーの基礎を形作ることができるかを語るのは時期尚早であり、小排気量エンジンを搭載するコンセプトを採用した方向性はまだ定まっていないと述べている。
■テストプログラムには実戦投入のオプションも
ライター氏とKTMのPRおよびカスタマーレーシング部門を率いるマンフレッド・ウォルフによれば、彼らはすでに新型コンセプトGTカーで5000kmを走破しているといい、今後もこのテストを継続し今年10~11月の間に、将来についての決定を下す予定だという。
また、テストプログラムには今年後半に行われる耐久レースイベントに登場する可能性があることも示唆された。
「これらのテストやレースで学ぶことで、私たちはどの方向に進むかを決めることができるだろう」とウォルフ。
「そのため、基本的には現在のクルマ(クロスボウGT4)に固執することから他のレーシングカテゴリー用に新車を発売することまで、あらゆる可能性がありえるんだ」
前述のとおり、2社が開発中のコンセプトGTカーはアウディのロードエンジンを搭載し、現在は約400馬力で走行しているが、ライター氏はエンジンパワーを600馬力以上に引き上げたときに何ができるのかを確認することも計画しているという。
新しいGT2規定は性能面でGT3とGT4の中間に位置し、約700馬力を発揮するようマシンによるカテゴリーとして設計されている。
「現時点では、間違いなくGT4のスペックを完全に上回るだろうが、必ずしもGT2カーになるとは限らない」とライター氏。
「私たちは今、それをテストで確認している。そして、可能であれば10月か11月に、私たちは新車がどのチャンピオンシップに役立つか、どのような種類のレースで使えるのかを決定するだろう」